紫檀と言っても様々あります。
私が見たことがある二胡に使われていた紫檀の名前。
木の硬い順番に書きます。
ホンジュラスローズウッド(マリンバの材料)
アフリカ紫檀
手違い紫檀(チンチャン)
ココポロ。
ブラジリアンローズウッド。
日本でいう本紫檀(現地名パユン)
アフリカ小葉紫檀
小葉紫檀(日本名コウキ)皆さんが紫檀と言ったときに一番思い起こすのがこの木の音色でしょう。
大葉紫檀(二種類あります)
ソノケリン(薔薇紫檀とも呼ばれます)
バリサンダー(マダガスカルローズウッド)
12種類ですね。
これだけあります。
これらは伐採したばかりでは殆ど赤い色あるいは紫を含んでいます。
アフリカ紫檀の除いて、みなマメ科の木です。
これらの木は、アフリカ紫檀を除いてみな熱をかけると曲がります。
熱を掛けなくとも曲がりやすい木というのもあります。
アフリカ紫檀は捻じれます。ですから二胡の胴の6枚の板にした時、比較的胴の割れの多い木です。
バリサンダーなどは木としては比較的柔らかいのですが、繊維質が強く二胡の棹に作っても曲がりにくいです。
この中で特に曲がりやすいのが、小葉紫檀とソノケリンそして本紫檀(パユン)ですね。
乾燥が十分でなければ、どの木も二胡の棹に使うと曲がっていきます。
乾燥が十分になったとしても、細いと曲がってしまいます。
昔の二胡の棹は丸かったですね。16ミリの丸でした。
それが今から40年ほど前でしょうか、断面を涙滴型にすることによって曲がりにくくしたのです。
それにしても、小葉紫檀とソノケリン本紫檀は曲がりやすいです。
これは木そのものが柔らかく弾力があるからでしょう。
ですから、二胡の胴に使うととても甘い音色になったりもするのでしょうね。
二胡の棹には弦の一本当たりDAに調弦すると、約9キログラムの重さが掛かります。
弦二本で約18キロの重さが掛かっています。
小さな子供一人くらいの重さですかね。
このおかげで、ゆっくりと棹が曲がっていきます。
中国では棹が曲がってしまうとその二胡は使わなくなると言います。
でも小葉紫檀は今とても高い材料になってしまっています。
この棹が曲がったのは直せるのです。
ゆっくり熱をかけて元に戻していく方法と100度くらいの熱を使う方法があります。
この小葉紫檀でもすべての材料が曲がるわけではありません。
木の芯のすぐそばの材料はほぼ曲がりませんが、材料としてはとても取りづらくひび割れの多いところでもあるのです。
ですので、ほんとに高級な小葉紫檀の二胡の棹は少し太目に作られていたり、あるいは木の芯に近いところを使っていたりするので、曲がりにくいようです。
これはどちらも小葉紫檀です。色の濃いところが柔らかい周辺部です。
柔らかい木が曲がり始めるとどんどん進行していきます。
硬い木が曲がるのは、木目が曲がっている時です、これは木が十分な乾燥(含水20%以内くらい)であればそれほど曲がりませんが、乾燥度が低いと曲がってきます。これは直らないといっても良いかもしれません。
木は必ずしも真っ直ぐに育つ(木目が真っ直ぐ)わけではありませんね。
育った周囲の環境によっては曲がって育ちます。
でも製材の時にはその木目には関係なく真っ直ぐに製材されてしまう場合も多いのです。
その時には木は製材されて乾燥している間に木目の通り曲がっていってしまうのです。
二胡に使う紫檀類は乾燥にとても時間がかかいります。
丸太のままでおいて置いたら、それこそ表面以外は数十年は乾かないでしょう。
ですから、昔の家具や建物に使っていた木材を使うとかなり良い乾燥になっているのです。そして狂いにくいですね。
二胡の棹は80センチくらいあります。三味線などは長いように見えますが、62センチくらい(義太夫系はもう少し長いです)です。
その長い二胡の棹は曲がっていってしまうと上手く調弦もできませんし、いくら千斤を締めあげても駒が皮を振動させにくくなります。
棹が前に傾いたところを想像してみてください。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ