二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の学校 調整講座

2015-11-23 15:05:12 | ■工房便り 総合 
どの位集まるのかわかりませんが、かなり高難度の調整講座にしようと考えています。

どんな楽器を触ってもその楽器の最大限の鳴りをするように出来る講座にしたいです。

ホントなら皮の張替までやりたいのですが、それは私が見せるだけぐらいかもしれません。

せめて弓毛の張替ぐらいはやれるように。

あるいは、竹の硬さの調整ぐらいはできるようにしたいです。

楽器として、演奏家も含めて素人が適当に調整できる二胡と言うのは、楽器としての完成度は民族楽器の域を出ていない感じがします。

ご自身で、千斤巻きなおしたり駒を交換する方というのは、かなりいらっしゃると思います。

上手い下手はあってもとりあえずは、千斤も巻けるし、弦も交換できるし、駒も交換できるよ。

人にやってもらうほどの事ではないと、あるいは自分なりの調整、音の出し方があるからその方が良い、とお考えの方も多いと思います。

確かにご自身の楽器であればかなり良い状態にできる方もいらっしゃるでしょう。

しかし楽器に何かあれば、どうなのでしょう?

何かあるというのは、例えば、経年変化で木がやせて来る、

皮が緩くなりすぎる。

あるいは木軸が細くなってくる。

胴のひび割れ、棹の曲がり、そんなことまで演奏には影響が出てきます。

まあ、二胡は安いからまた買い替えればよいという方も多いと思います。

問題は、買い替えたとしても今お持ちの楽器より良い物が手に入るとは限らないのが二胡です。

この3年ほど、先生から購入して、あるいは中国で買って来て、

あるいは楽器屋さんで一番高いの買って来て。

有名な二胡製作かの物を購入して、など。かなり高額。

西野二胡より高い物を買ってはみたが、という方の楽器の調整や、皮の張替など、多数やらせてもらっています。

それだけ二胡の質が落ちてきています。

その反面10年以前に購入して大分使い込んだけれどと言う楽器は、殆ど修理というのをやらないで済んでいます。

せいぜい木軸の削りや、台の がたつきの直し程度で済む物が多いのです。

それだけ昔の物はしっかりと乾燥させてある木を使っていたのでしょう。

明らかに木目がはっきりわかる(※木目が見えるうちは新しい)老紅木という販売のされ方をしている楽器屋さんもあります。

木が古くなって、よく乾燥しているからこそ、老ではないのかと思いきや、老紅木と言う、良い、スバラシイの意味であると言われると返事のしようはありませんが、、、

老にはその意味もありますから、尊称ですかね。

まだ楽器が新しく、動いている最中だからこそ、調整は必要です。

年々動いていく木と緩んでいく皮とにちゃんと対応した、二胡の調整というのはまだ確立してはいません。

二胡は雑音ぽいのが良いところ、と言ってしまう楽器屋さんもありますが、

その楽器屋さんで販売されている中国の演奏家のCD の音を聴いてみると雑音ぽくは無いですね。

また先生方は、自身の楽器は何とか普通に調整できるはずですし、そうやっている方も多いです。

しかしその楽器にしてもさらに良く鳴るとは考えておられないようです。

以前お会いした関西の先生は「千斤なんか巻いてあればよい」とおっしゃっていましたが、

最近では、かえって、ここのところの音がとか、この裏返り音がなどとおっしゃるようになったのは、少しほほえましく、嬉しくなります。

その楽器の最大限の力を発揮してあげるようにするのが、楽器の調整です。

二胡の調整の難しさは、かえって誰でもできそうなことであるから、より難しく高度なのかもしれません。

年、10回、楽器の分解、組み立て、不良部分の発見その手当、台の修正、

弦の交換と皮に対応する適性判断、駒の削り高さ上げ、駒の新規製作。皮の弾力に対しての駒の高さ調整。

質の選び方。駒の底面の削り方。

千斤の質、巻き方、あるいは千金の位置と、弦の種類による千斤の巻き方。

低音二胡の駒の設定および製作。

ウルフ音の直し方。(駒による直し方、皮による直し方。胴の木による直し方。)

弓の竹の調整方法。弓毛の張替え。弓毛の選別など、

そして皮の張替の試し。

などを行います。

調整というのはこれだけのことが必要なのです。

(もし、他の楽器屋さんがこのブログを見ていたらこれはどうぞ参考にしてください。)

あと2回で、実地にお客さまの楽器の調整。お客様に協力していただきます。
但し私が最終はきちんと出来るものに関してだけ、お客様の了解を得て、です。
ご心配なく。

そんな感じでやろうと思っています。
















Comments (2)    この記事についてブログを書く
« 楽器の塗装について。 | TOP | 日本人と二胡の音色の歩む道... »
最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
石原さん (nisino )
2015-11-24 10:12:55
久しぶりですね。ヴァイオリンは駒を少し動かしても、とんでもなく鳴りが変わります。理由は駒と、胴の中の魂柱です。楽器それぞれに、駒と魂柱の位置関係が変わりますから。
二胡も、駒の位置によって相当鳴りが変わります。多大ただし、かなりレベルの高い楽器に限りと言ってよいと思います。そして、駒はしばらく同じ位置に置いておかないと鳴りが一定になりません。理由は、鱗の形状です。硬い鱗ですが、駒を一定の位置に置いておくことで、鱗が駒の底面に馴染みます。馴染んだ頃になり始めます。
但しこれもかなり完成度の高い楽器であればです。
因みに、ヴァイオリンの個体差というのは、二胡と変わりありませんよ。お友達のを弾かせてもらってください。
特に木で出来た、弦楽器は個体差はかなりあります。
二胡の場合皆さんちゃんと調整できているだけと錯覚しているのだと思います。作業が簡単ですから。と、それぞれが、自分の好みの二胡の音はこれだと思いこんでいることにも原因はあるかもしれません。
返信する
二胡は合奏メインじゃないから? (石原)
2015-11-23 21:38:38
何時も楽しみに拝見しております。
バイオリンを習ってから二胡とバイオリンの
違いに驚く事が多く大変勉強になります。
調整の件でもバイオリンは技術者の仕事ですし
駒の位置を不用意に変える事も駄目だそうです。
考えたのですが二胡は個体差が有り過ぎて
合奏が難しいですよね。(やっては居るが音が混濁している)
西洋楽器の様に他人と合わせる。
では無く独奏メインだから、好き勝手な調整で
事足りるのですかね?
返信する

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ■工房便り 総合