二胡工房 光舜堂

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二胡の修理百科、裏返り音。

2013-05-31 08:21:40 | ■工房便り 総合 
二胡を弾いている時に裏返るような感じで、実音の出ない雑音というのが有ります。

ウルフ音という方もいますし、中国では狼音というようです。

これは擦弦楽器にどうしても付き物のようです。

チェロ等はこのウルフ音の出ない楽器を探すのが大変な位です。

どのような理由で、どのような原因でこの音が出るのかは、擦弦楽器ではまだ解明されていないようです。

特に良く鳴る楽器に多く、少し鈍い位の発音きりしないものには殆どこれは現れません。

二胡の場合、この雑音が出るのは、D調を弾いた時に第二ポジションの中指か、薬指のあたちに出ることが多いです。

Fの音ということになります。

これは、皮を張り替えても直りません。

ということは胴か棹に原因のある事と考えられます。

そこで棹を取り替えてみても、この雑音は出ます。

ですから原因は、胴の木の部分にあると考えられます。

私自身でいろいろ胴を試したところ、良く鳴る楽器というのは、胴が普通より少しでだけ薄い部分が有るようなのです。

二胡の胴は基本的に全体に、6ミリ前後の厚みに削り出されています。

特に黒檀等にはこの裏返り音の出やすい楽器というのが多いのです。

木それぞれに本来ならば厚みというのを設定すれば良いのですが、木の部分はどうしても量産ですから、同じ厚みに削り込んであります。

しかし木にはそれぞれ硬さの違いというのが有り、ある特定の木の硬さの楽器を鳴らすための方法、或いは厚みの設定というのが未だ出来上がっていません。

ですから同じ厚みに削ってしまうと、どうしてもその木によっては、ある一定の音の波長では振動し過ぎてしまうということが有るようなのです。

それが原因になっているようです。

ちなみに、それら裏返り音の出やすい楽器の、胴の皮を張るあたりの木の部分に同じ材料の薄い板を張り込みますと、この裏返りり音というのは止まります。

木の厚みが足りなかったのですね。

しかし、その為には、皮を張り替えるきり有りません。手を入れて作業が出来ないからです。

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