二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

鳴る楽器、ならない楽器。

2015-03-11 10:53:02 | ■工房便り 総合 
蛇皮の耐久力はどのくらいあるのですかとよく聞かれます。

単に、そのまま置いておくだけなら、たぶん、30年以上持つでしょうね。

楽器としての二胡の皮としてはこれは、最初に張った時の状態によりますとしか言えません。

よく私の楽器はもう20年以上使って問題はないという先生もいます。

それはそうです、先生が気に入って中国の工房から譲り受けた、一品ものの楽器ならそうでしょう。

それを一概にすべてのニ胡に当てはめるわけにはいかないというのが、私の意見です。

いくら名人といわれる人が張ったとしても、おおもとの皮の状態、

そして張る時の気候や最終の熱加工の状態など、いろいろ考えなければいけない要素が多いです。

それらを含んで考えると、

二胡の楽器としての蛇皮の耐久年数というのは、3年から30年としか言いようがありません。

よい皮を十分に伸ばして、良い張力で張って、良いボンドを使って、最終の熱加工がうまくいけば

そして環境の良いところに保存できれば、

そう、たぶん15年くらいは良い音で鳴るでしょうとしか言えません。

先日来、人工皮を約30台分くらい張ってきたでしょう。

一番古いのは、ガラスの二胡に張った人工皮です。

2年くらいたっていてもうかなりよい音に変化しているということは聞いていますから、たぶん2年ぐらいは間違いなく、そしてその前の実験で作ったものはもう3年近くなりますが、問題もない状態です。

ただし、この人工皮そのものも4枚を重ねてプレスしたものですし、

その上にさらに私は和紙を張り合わせていっています。

そしてこれらはみな熱に弱いものです、たぶん50度を超えた熱には皮そのものが伸びて行ってしまうことが考えられます。

50度といえば,最終的に二胡の皮を加工する時の熱ですから蛇皮にもよくはないでね。

あとは衝撃で剥離するということも考えられます。

いってみるとこの人工皮も蛇皮も同じで、熱にも衝撃にも弱いです。

いくら木でできているといっても、木自体は数百年という耐久力を持ちますが、

楽器になれば、みな微妙な力のバランスの上に成り立っています。

ヴァイオリンや三味線などもそうですが、

ある意味これを壊れないように作り上げれば、それは鳴らない楽器になってしまいます。








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