二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

季節は変わり、皮も変わる。

2016-04-14 11:46:54 | ■工房便り 総合 
タシュクルガンという曲がありますね。

何も二胡で弾かなくともというくらいに早く、

なおかつ、最高音、もう、左の指が胴に付くぐらいのところまで音を出します。

極端にいうと、この曲が弾けるくらいな楽器が良い二胡の一つの条件でしょう

そうも言えるし、またこの曲を弾けるというのは、二胡の音楽家としての一つの条件でもあるのかもしれません。

ヴァイオリンの人達が、超絶技巧のパガニーニの曲を弾きたいというのと同じくらいに、

二胡の演奏家を引き付ける曲なのかもしれません。

二胡と言う楽器に取っては過酷な条件の曲でもあります。

元々が高音の出がたい楽器ですから、最後の胴に近い所の4音など、もう音とも言えない感じになるのが普通です。

特にこの季節、

胴の木は、未だ冬場の乾燥が残っています。

湿度に敏感に反応する、蛇皮は、この雨の湿気で緩くなります。

そんな時期には、今までで、なんということもなく弾けていた音が出なくなったりもします。

特に楽器が新しいとその傾向は著しい物が在ります。

このような時には、

色々調整の仕方があります。

一番激しいのは、

二胡の胴の後ろから、水を霧吹きで吹き込むのです。

皮も緩みますが、湿気というより水分という感じの霧吹きの水ですから、胴の木も膨らみます。

そうすると、出なかった最高音が出てきたりもします。

これは流石に皆さんはやらないでしょうが、

こういう時には、振動の強い駒を使うと、改善されることが多いです。

皆さんの持っている一番強い音が出る駒を使ってみて下さい。

光舜堂の駒で一番強いのは、フェルナンブーコでしょう。

彪駒、あるいは黒彪駒は、今市販されているどんな駒より強い振動を皮に与えます。

その中でもフェルナンブーコ材で作った駒は、普通の状態の二胡なら音が割れてしまうくらいな威力があります。

しかし、

この時期、皮だけが緩くなりやすいような時期には、

また、楽器が新しく皮がどんどん変化していくような時期にある楽器には最適です。

但しそれも、その一時にしておいた方が良いでしょうね。

薬と同じで、強い久留里を飲み続けていると、どんどんエスカレートしていくのと同じです。

皮がその強い駒でないと鳴らなくなってしまうということがあります。

むしろ強い駒は変化の時期だけにしておいた方が良いと思います。

皮が良い状態に落ち着いた、4、5、年経った二胡には、むしろ、松富士のような安定した物の方が、

その後の二胡の音のためには良い結果になるとおもいます。

季節は変わり、皮も変わると共に、駒も替えることが良い時もあります。








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