二胡工房 光舜堂

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二胡の胴割れ続々と、、、

2015-10-28 11:26:41 | ■工房便り 総合 
二胡の胴はいずれ割れます。

勿論すべての二胡の事です。

今すぐという事ではありません。

理由は簡単です。

木が動くからですし、胴の6枚(8枚の場合もある)の木を接着しているボンドがその強度をなくすからです。

でも間違いなく治すことも出来ます。

ただいままでの二胡には胴の割れを直すという感覚がありませんでした。

理由は中国では二胡の金額はそれほど高い物ではないからです。

今から7年ほど前私が二胡を作り始めたころ、中国での二胡の販売価格というのは

殆ど5000元(日本円にして7万円)ぐらいが一番高い物でした。

最高級品と言われる、インドの小葉紫檀も、密輸状態ながらまだ中国に入っていましたが、

インド政府の厳しい取り締まりによって、今や全くインド国外に持ち出されるということが無くなってきました。

その頃からですかね、そのインドの小葉紫檀に変わって、

アフリカの小葉紫檀、あるいは大葉紫檀と言われる木が二胡にも使われるようになってきました。

あるいはインドネシアや、オーストラリアのソノケリンというインド小葉紫檀を植林した者たちです。

これらはみな素晴らしい鳴りを、それぞれにもっています。

また、何でこれが老紅木と思うような色(緑がかった黒のストライプ)オバンコールという阿夫利坐剤も入ってきています。

ここで問題は、これらが使われるようになったのは家具材としてはこの15,6年であり、楽器として使われるようになってきたのは、つい10年ほど前です。

紫檀の類は十分な乾燥をするためには、20年ぐらい、あるいはその製剤の仕方にもよりますが、最低でも10年ぐらいはかかります。

それがこの7,8年たくさん出てきています。

当然乾燥度が悪く、木の動きも大きいのです。

ですからその木の動きに負けて胴は割れます。

殆どが、木の接着部分での割れです。

あるいは割れないまでも、木が収縮して、皮が緩みます。

ですから、皆さんが楽器を購入して、1年ぐらいするといきなり音が出なくなったりもします。

音は出ますがぶーぶーととても二胡の音とは思えない音になりますし、ほとんど高音は出なくなります。

これは、二胡の製作地の蘇州あたりがとても空気の湿った土地であること、その上

日本で今エアコンのない環境というのは考えられず、エアコンの乾燥した空気がいきなり胴の表面だけを乾かすと、

木は、とても大きく動いてしまうのです。

皆さんの中には梅雨時になると家のドアが閉まりが悪くなったり、障子や雨戸が開けにくくなったりした経験をお持ちの方もまだいらっしゃると思います。
(現在の建築は良く乾いた木を使いますのでそんなことはほとんどないと思います)

今までだったら、かなり安い楽器でしたから、買い替えればよいと気軽に次の楽器をお求めになる方もいらしたでしょうが。

今販売されている物は楽器としては10年前の楽器と同じ金額だとしたら、ほとんど半分くらいの値打ちきり有りません。

10年前、40万円する二胡など想像もつきませんでした。

今は普通にあります。

100万円するものがたくさん売られています。

しかし、感想という点ではほとんど信用置けないのが今の二胡です。

ある日本の商社が、その辺の事も考え、中国の楽器メーカーと提携しているようなところも最近では出てきています。

日本人の目で管理していることもあり大手のそのメーカーが、大手である有利さで相当古い良く乾いた木を持っているということもあり、割と安心な、平均値の高い楽器を販売しているところもあります。

それにしても木ですから、いずれは動いていき胴割れあるいは皮のゆるみ歪みというのは必ず来ます。

こから益々、木は高くなります。

脅かしているのではなく事実です。

以前チーク材というのはかなり高級とはいえ、船の船体、あるいは甲板などに大量に使われていまして、

家具材の中では、比較的安い物でした。

言ってみれば、銘木と言われる飛騨高山の檜より安かったのです。

ところが5年ほど前から、輸出規制がかかり、今では材料としてもほとんどお目にかからなくなってきて、まれにあっても今までの10倍くらいの金額がしてきています。

最近家を建てたり、マンションを購入された方はご存知でしょうが、もう、家の中には木など使われなくなってきています。
シートと言われるまるで木目のような見た目ではわからないプラスティックの紙になってきています。

たぶんそのシートの見本を見せてもらって、ドアなどを決めたのだと思います。

益々貴重になる二胡の材料、それが形になっているとしたら、本当に大事にしたいですね。

因みに、胴割れを起こした楽器を直しますと、以前より間違いなく良い音になるというのは不思議です。



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