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共産教育論(連載第37回)

2019-02-25 | 〆共産教育論

Ⅶ 専門教育制度

(3)医歯薬系学院
 生涯教育の一環として位置づけられる高度専門職学院は、各種専門職ごとに多数あり得、そのすべてを列挙することはできないが、本節以下では、主要なものに絞って各論的に概観しておきたい。
 まずは、広義の医療に関わる医歯薬系学院である。医歯薬系学院は、高度専門職学院の中でも典型的に高度な専門性を有するゆえに、高度専門職学院の代表例となる。
 個別的に見れば、医師/歯科医師を養成する医学院/歯学院をはじめ、薬剤師を養成する薬学院、さらには看護師を養成する看護学院もこの系統に含まれる。なお、獣医師を養成する獣医学院も対象は動物であるが、この系統の類型に含め得るだろう。
 これらの医歯薬系学院はすべて同格であり、学院の種別間に優劣関係はない。例えば、医学院を頂点に、他の学院はその劣位にあるというわけではない。従って、薬学院や看護学院も医学院と同格的であるから、そこで養成される各医療専門職間にも階級的優劣差はなく、職務内容の相違があるにすぎない。
 医歯薬系学院の修学年限も、すべて同等である。その場合、短期集中教育を旨とする高度専門職学院の修学年限はおおむね3年であるが、医歯薬系学院については、その専門性の高さから一律に4年とすることも一考に値するであろう。
 医歯薬系学院の主要任務がそれぞれの分野における高度専門職の養成にあることは言うまでもないが、その養成に必要な学科の研究活動も任務とするため、部分的には学術研究センターと同様の機能を持つ。例えば、医学院であれば、臨床医学はもちろん、基礎医学分野や社会医学分野の研究活動も行なう。
 しかし、医学院(歯学院も同様)は教育・研究用の付属病院を持たず、周辺地域の認定外部病院に研修委託することによって、学生の実地教育を行なう。従って、付属病院を頂点とする学閥ネットワークが形成されることはなく、教育・研究を担う医学院と医療の実務を担う病院網は別個独立である。
 なお、医療系専門職として、検査技師や各種の療法士のような医療技術職もあるが、医師の指示に基づき特定の医療技術のみを提供するこれらの専門職の養成は高度専門職学院ではなく、専門技能学校で行なわれる。

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