森・川・海のつながりの大切さ、河川工作物の問題について具体的に考えてみます。
まず、アユ仔魚の降河問題です。群馬県水産試験場の調査研究で利根川のアユ産卵場は新上武大橋の上流付近にあることが確認されました。調査では10~12月に川を下るアユ仔魚が採捕され、特に10月下旬から11月上旬にかけて多かったようです。
さて、問題はこのアユ仔魚が4日以内に海にたどり着けるかどうかなのです。孵化したアユ仔魚にはお腹の部分に卵嚢があって此処に蓄えられた栄養で4~5日は餌を口にしなくても生きていけるそうですので、その期限内に海にたどり着いてシオミズツボワムシなどの小さなプランクトンを食べられればセーフ、そうでなければアウトと言うことになります。
利根川の産卵場から銚子の河口までは約170kmです。アユ仔魚は泳ぐ力は弱く、かつ太陽の光に弱いのだそうで、日没後に浮き上がって川の流れに身を委ねて夜に川を下るそうですから、これらの条件と流速を勘案して到達日数を予測すると、どうも3日以上掛かってしまうようです。
さらに産卵場から河口までの間には湛水して流速が緩やかになっている利根大堰と利根河口堰があるのですから、さらに日数が掛かってしまうのではないかと推測できます。
(利根大堰の上流、武蔵水路側から)

しかし、利根川から海まで下るルートは他にも2系統があるのです。一つは利根大堰で取水される武蔵水路から荒川を経て東京湾に下るルート、もう一つは関宿から分流した江戸川を通って東京湾に下るルートです。
(利根川の流域図)

武蔵水路に流れ込むアユ仔魚は相当数いるようで、埼玉県水産試験場の報告書の利根川のアユ資源復活のために行なった調査結果の中に武蔵水路での仔魚の調査報告があります。このルートは農業用水や工業用水、水道用水が目的で設置されているため途中での利用が多く、荒川に入り秋ヶ瀬取水堰を通過して海にたどり着ける量はそれほど多くないのかも知れません。
次に江戸川ルートですが、こちらは産卵場から約110kmと利根本流よりも60数kmも短くて期待が持てるのですが、利根本流と江戸川にどんな割合で流下していくのかが不明です。さらに河口付近には江戸川放水路の行徳可動堰(開いたことがない!)と江戸川水閘門があって、此処でも流速が遅くなってしまうのです。
利根川を下るアユ仔魚の量は数億から数十億匹と推測されているのですが、その内どのくらいの仔魚が海まで辿り着けているのか・・・全く分かっていないのが現状です。
一方、対策として利根大堰を管理する独立行政法人水資源機構の利根導水総合事務所では、アユ仔魚の降河をスムーズに行えるように、降河時期の堰の放水方法を変更して川の中央部に流速が強い部分を作って武蔵水路に迷入しないような措置を取り始めたりしています。今後、色々な調査研究が進んで有効な手法が見つかり対策が取れる日が来ることを願うばかりです。
次回は、海で育って春に川を遡上する稚アユの問題を考えてみたいと思います。
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まず、アユ仔魚の降河問題です。群馬県水産試験場の調査研究で利根川のアユ産卵場は新上武大橋の上流付近にあることが確認されました。調査では10~12月に川を下るアユ仔魚が採捕され、特に10月下旬から11月上旬にかけて多かったようです。
さて、問題はこのアユ仔魚が4日以内に海にたどり着けるかどうかなのです。孵化したアユ仔魚にはお腹の部分に卵嚢があって此処に蓄えられた栄養で4~5日は餌を口にしなくても生きていけるそうですので、その期限内に海にたどり着いてシオミズツボワムシなどの小さなプランクトンを食べられればセーフ、そうでなければアウトと言うことになります。
利根川の産卵場から銚子の河口までは約170kmです。アユ仔魚は泳ぐ力は弱く、かつ太陽の光に弱いのだそうで、日没後に浮き上がって川の流れに身を委ねて夜に川を下るそうですから、これらの条件と流速を勘案して到達日数を予測すると、どうも3日以上掛かってしまうようです。
さらに産卵場から河口までの間には湛水して流速が緩やかになっている利根大堰と利根河口堰があるのですから、さらに日数が掛かってしまうのではないかと推測できます。
(利根大堰の上流、武蔵水路側から)

しかし、利根川から海まで下るルートは他にも2系統があるのです。一つは利根大堰で取水される武蔵水路から荒川を経て東京湾に下るルート、もう一つは関宿から分流した江戸川を通って東京湾に下るルートです。
(利根川の流域図)

武蔵水路に流れ込むアユ仔魚は相当数いるようで、埼玉県水産試験場の報告書の利根川のアユ資源復活のために行なった調査結果の中に武蔵水路での仔魚の調査報告があります。このルートは農業用水や工業用水、水道用水が目的で設置されているため途中での利用が多く、荒川に入り秋ヶ瀬取水堰を通過して海にたどり着ける量はそれほど多くないのかも知れません。
次に江戸川ルートですが、こちらは産卵場から約110kmと利根本流よりも60数kmも短くて期待が持てるのですが、利根本流と江戸川にどんな割合で流下していくのかが不明です。さらに河口付近には江戸川放水路の行徳可動堰(開いたことがない!)と江戸川水閘門があって、此処でも流速が遅くなってしまうのです。
利根川を下るアユ仔魚の量は数億から数十億匹と推測されているのですが、その内どのくらいの仔魚が海まで辿り着けているのか・・・全く分かっていないのが現状です。
一方、対策として利根大堰を管理する独立行政法人水資源機構の利根導水総合事務所では、アユ仔魚の降河をスムーズに行えるように、降河時期の堰の放水方法を変更して川の中央部に流速が強い部分を作って武蔵水路に迷入しないような措置を取り始めたりしています。今後、色々な調査研究が進んで有効な手法が見つかり対策が取れる日が来ることを願うばかりです。
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