ピラカンサ (橘もどき 赤塚植物園)
11月句会も終わり連衆の講評を聞いていて自分の
選句の能力の無さを嘆くばかり・・・・
いや、それだけ佳句が多かったのだと思う。
採りそこなった佳句の鑑賞
子を叱る声がつつぬけとろろ汁
何人かの子供とお母さんと卓袱台が見えます。
真中にはとろろをすったすり鉢。
「ほらほら、ちゃんと食べないと口の周りが痒くなるよ・・」
「あ~あ、お箸が落ちたじゃない!」
「手、洗ってらっしゃい!」
既視感というより、子供の頃の我家を垣間見た思い。
いつもながら季語の斡旋がうまい作者です。
早漬の大根かぶらや通夜の席
通夜ぶるまいの景。一般の弔問のお客さまにでは無く読んだ。
小働き、お手伝いの人へのちょっとしたお茶請けなのだろう。
このお句も早漬けという鮮たるものと人の終焉との取りあわせが
良い。作者の意識ははかり知れないが読者としては惹き付け
られる。私の余計な提言から、なお推敲されたようです。
作者の熱心さに頭が下がります。
途中から数へる貨車や大根畑
このお句の良さは、大根畑とそのまわりの景色の雄大さを
貨車の長さに託したことだろうと思う。
読み返すたびに本選に逃したことが悔やまれる。
青々と修道院の大根畑
初見では青々が必要なくも感じた。しかし作者の目には
そう感じとった感覚がある。一つ一つの色であり、全体の色彩。
そこには光もある。佳句だと思います。
まろび出るやうな大岩紅葉山
まろび出る(今にも転げてきそうな)大岩。
峡谷の紅葉。自分の語彙不足で採りこぼした大景でした。