7月 12日

2020-07-11 13:22:12 | Weblog
                        汗・汗ばむ・玉の汗・汗水


     汗の児のやうやく懐く別れ際           栗田やすし


     塩一石汗一石砂積み崩し             沢木欣一


     子の髪の汗の匂ひを知りてゐる          細見綾子 


     眼鏡押し上げて汗拭く通夜の僧          丹羽康碩


     予科練の名残の痣ぞ汗拭ふ            矢野孝子


     珠洲の塩味見て汗を拭ひけり           佐藤とみお


     汗ばめり地下道長き大手町            伊藤範子


     気前よくまけて汗拭く七味売           鈴木みすず


     再会の汗ばむ肩をたたき合ふ           奥山ひろ子


     雨の日の赤子抱く腕汗ばめり           小島千鶴


     汗の玉散らし腕振る測量士            三井あきを


     太鼓打つ女に汗の力瘤              森 靖子


     溶接工汗の上汗滴らす              ころころ




          



     汗ばみて加賀強情の血ありけり          能村登四郎


     洗ひ髪ひたいの汗の美しく            星野立子


     石を切る身のやはらかく汗を噴く         正木ゆう子


     馬なでし布もて己が汗も拭く           今瀬剛一


     ひとすぢの流るる汗も言葉なり          鷹羽狩行 


     八人が育ちし乳房汗を拭く            千田とも子


     眼尻に汗ながれこむ訃の一つ           福永耕二



          
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