2月 20日

2020-02-19 16:36:15 | Weblog
                   芹・芹摘み・田芹・水芹・芹の水・根白草


     長城やみんなみさして芹の水           沢木欣一


     川底に日がとゞき芹芽ぶきけり          細見 綾子


     芹摘みし籠を舳先に渡し船            栗田やすし


     朝粥に散らす丹波の芹清し            都合ナルミ


     田芹摘む鵜山の裾の水明り            下里美恵子


     芹青む富士湧水のきらめきに           栗田せつ子


     石ひとつだけの田の神芹青む           関根近子


     寺町の光をかへす芹の水             武藤光晴


     白粥にたつぷり刻む根白草            矢野愛乃


     芹青む川の水引く寒天場             渡辺昌代


     湧水のゆるき流れや芹育つ            田畑 龍


     湧水の甘き匂ひの芹を噛む            武田稜子



          



     踏み込んで芹の青さのせめぎあふ         今瀬剛一


     芹洗ふ流のなかが暖かし             中村汀女


     芹つむや光あそべる橋の裏            正木浩一


     根元まですきとほる水芹を摘む          荒井英子


     芹匂ふオモニは風の中に立つ           夏井いつき


     摘みかさねても一握の母の芹           福永耕二



          
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2月 19日

2020-02-18 19:05:22 | Weblog
                     雛飾る・古雛


     古雛が古き顔いて春に逢ふ            細見綾子


     二年生雛飾らんと爪立ちに            栗田やすし


     天井に水陽炎や雛飾る              都合ナルミ


     うつし世の影まざまざと古雛           鈴木みや子


     雛飾る昔廓の託老所               角田勝代


     吾が齢ともに添ひたる雛飾る           小島千鶴


     臈たくる肌持つ享保立雛             山下 護


     塩の道箱階段に享保雛              上田博子


     蔵窓の日にぬくもれり古雛            長江克江


     居間占めて白秋生家雛飾る            巽恵津子


     冠失せし享保雛の面の艶             小柳津民子




          



     仕る手に笛もなし古雛              松本たかし


     母様のその母様の古雛              佐土井智津子


     雛飾がらんどうなるものばかり          神野紗希


     古雛の唇と笛とのあはひかな           奥坂まや


     菱形のたましひのせし雛飾            太田保子


     古雛をみなの道ぞいつくしき           橋本多佳子




          
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2月 18日

2020-02-17 17:35:48 | Weblog
                    菜の花・花菜・油菜


     菜の花がしあはせさうに黄色して         細見綾子


     菜の花や旅路に古りし紺絣            沢木欣一


     菜の花の転がつてをり汚れずに          栗田やすし


     花菜風甘し絣の糸干し場             都合ナルミ


     見当たらぬ疎開せし家花菜径           上杉和雄


     花菜より花菜へ渡る土橋かな           鈴木みすず


     眩しさに母見失ふ花菜畑             安藤一紀


     岬みち海になだるる菜畑の黄           武藤光晴


     風と会ふ花菜の迷路抜け出でて          伊藤範子


     菜の花を載せて帰れり耕耘機           谷口千賀子


     鼻失せし地蔵を撫づる花菜風           八尋樹炎


     花菜和へ利休好みの杉の箸            日野圭子




          



     菜の花にばけつ叩いて子の合図          中村汀女


     関ケ原菜の花の黄はペンキ塗り          山口誓子


     花菜咲き家に暗き間明るき間           岡本眸


     北上は声なく流る花菜敷き            山口青邨


     旅に買ふ菓子のかるさよ花菜雨          鷲谷七菜子


     胃袋に菜の花詰まる牛の艶            津田清子


     菜の花のおのが黄に倦む入日中          能村登四郎




          
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2月 17日

2020-02-16 15:57:23 | Weblog
                    きらん草・地獄の釜の蓋・金瘡小草


     キラン草とは、日本に自生するシソ科の多年草。
     花や葉にうぶ毛のような白い毛が生えているのが特徴。
     地面に張り付くように広がる様子から、「地獄の釜の蓋」という別称がつけられています。
     きらん草とは違い西洋きらん草は20~30センチにも背が伸びます
     別名 西洋十二単(セイヨウジュウニヒトエ)



     伊賀に来て摘めり地獄の釜の蓋          栗田やすし


     地の果ての崎に地獄の釜の蓋           国枝隆生


     円墳の裾に地獄の釜の蓋             若山智子


     指差してこれが地獄の釜の蓋           安藤清子


     きらん草ほつほつ咲けり峡の道          中根多子


     円墳に地獄の釜の蓋繁る             林 尉江


     被爆樹の影に地獄の釜の蓋            青木しげこ


     膝ついて地獄の釜の蓋覗く            兼松 秀


     東大に咲くや地獄の釜の蓋            牧野一古



          

            西洋十二単<セイヨウジュウニヒトエ>



     きらん草古代紫展げけり             後藤比奈夫


     すみれぐさも地獄の釜のふたも紫         加藤三七子


     蹈んずけてゐるのは地獄の釜の蓋         高澤良一


     山頂の磐座おほふきらん草            深野カツイ



          

            十二単<ジュウニヒトエ>
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2月 16日

2020-02-15 18:53:41 | Weblog
                    木瓜の花・緋木瓜・花木瓜・草木瓜・更紗木瓜
                          <表題は更紗木瓜>


     木瓜燃ゆるところ杜国の細き墓          細見綾子


     木瓜咲くや怠け教師として終る          栗田やすし


     終活は遅々と進まず木瓜の花           上杉和雄


     聞き役に徹してひと日木瓜の花          岸本典子


     風化せし寄せ墓白し木瓜の花           武藤光晴


     放哉の庵の跡や木瓜咲けり            小島千鶴


     蛸壺にぼけの花さす乾物屋            河村恵光


     更紗木瓜枝にあまたのみくじ札          中根多子


     一葉の露地にはみ出す木瓜の花          松本恵子


     客人の絶えし茶室や更紗木瓜           金原峰子


     噛み合はぬ父との会話木瓜の花          佐久間寿子



     



     木瓜を見てをれば近づきくる如し         石田 波郷


     木瓜挿して壷中の闇をつらぬけり         中嶋秀子


     降りつつむ雨の明るし更紗木瓜           水原秋櫻子


     木瓜咲きぬ歯と飯茶碗欠けもせで         秋元不死男


     腹空けばそのことばかり更紗木瓜          八木林之助


     木瓜咲いて天日近き山家あり           大峯あきら


     母を訪ふひととき明し更紗木瓜           山田みづえ



          



          

             草木瓜
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2月 15日

2020-02-14 13:40:25 | Weblog
                    下萌・草萌・草青む


     西行の跡いくたびの草の萌え         細見綾子


     草萌ゆる予科練生の夢見し地         栗田やすし


     弁当の蓋の米つぶ土手青む          河原地英武


     空濠に角突く鹿や草萌ゆる          奥山ひろみ


     草萌に鱗とばして鯛捌く           上杉美保子


     下萌や杭一本の馬の墓            森垣一成


     誰もゐぬ鵜舟溜りや草青む          倉田信子


     下萌の地のずれまざと地震のあと       山たけし


     御手洗の水の煌めきなづな萌ゆ        武田稜子


     草青む野につながれし山羊二匹        清水弓月


     飛火野に鹿のぬた場や草青む         江口ひろし


     下萌えや子羊乳房へ駆け寄れり        中根多子



          



     萌え出でしばかりの草を耘れり        富安風生


     てらてらと目刺を干して草青む        清崎敏郎


     断崖に萌え出てすでに石蕗の艶        能村登四郎


     獄に棲み鋲のごとしや下萌ゆる        秋元不死男


     もの縫へば何やら安し草萌ゆる        中村汀女


     下萌えて土中に楽のおこりたる        星野立子


     四阿の柱をめぐり草萌ゆる          山口青邨




          
     
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2月 14日 

2020-02-13 19:06:18 | Weblog
                   聖バレンタインデー


     富士真白バレンタインの朝晴れて         伊藤範子


     病む母とバレンタインの街に出る         高橋幸子




          


     バレンタインデーと言ふ日の佐渡が見ゆ      吉田鴻司


     バレンタインデー心に鍵の穴ひとつ        上田日差子


     秘めごととならざるバレンタインチョコ      稲畑汀子


     バレンタインのチヨコ携へて出講す        山田みづえ


     薔薇抱いてバレンタインといふ日かな       友田美代


     聖バレンタイン斬首されし日咲く椿        林 翔




          
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2月 13日

2020-02-12 19:34:05 | Weblog
                    まんさく・万作・満作・金縷梅・銀縷梅


     春に他の花に先駆けて咲くので”まず咲く花”ということで
     だんだんに”まんさく”になっていったらしい。
     また、花がたくさんつくので「豊年満作」から
     命名されたとも。  ( ネットの知識です )

     表題の写真はしなまんさく


     まんさくは煙りのごとし近よりても        細見綾子


     金縷梅の一枝足せり大花瓶            奥山ひろみ


     まんさくや荒れ放題の母の庭           熊澤和代


     まんさくの雨が明るし伊勢の海          田畑龍


     金縷梅や民家の庭に城趾の碑           尾﨑 孝


     満開のまんさく見ゆる雑木山           加藤百世


     まんさくの花の細やかマタギ村          長江克江


     金縷梅や水車の廻る峡の寺            山本法子


     まんさくの花のほぐるる石舞台          角田勝代



          

          阿哲まんさく


     谷間谷間に満作が咲く荒凡夫           金子兜太


     金縷梅や硯作りの肩力              森澄雄


     吉兆の糸を繰り出す花まんさく          佐藤美恵子


     まんさくに水激しくて村静か           飯田龍太


     まんさくの花盛りなる古葉かな          綾部仁喜


     まんさくに朝日こぼれて峠口           鷲谷七菜子


     金縷梅や登校うながす母の声           岡本眸



          

           ときわまんさく
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2月 12日

2020-02-11 18:39:19 | Weblog
                     蓬(よもぎ)・餅草・艾草・蓬摘む


     搗き終へし杵にほのかや蓬の香           栗田やすし


     ペーチカに蓬燃やせば蓬の香            沢木欣一


     西行庵十歩離れずよもぎ摘む            細見綾子


     庭先の餅草摘める夕べかな             矢野愛乃


     地震跡に山の日射しや蓬摘む            金原峰子


     道草を刈るや蓬の匂ひけり             夏目隆夫


     エプロンにくるむ蓬の匂ひ濃し           玉井美智子


     大利根の風をうなじに蓬摘む            横森今日子


     身妊りし子とゆく土手や蓬萌ゆ           吉岡やす子


     初瀬川土手の餅草香り濃し             廣島幸子


     古里の土手やはらかし蓬の芽            菊山静枝



          



     灸にする餅にする蓬摘みにけり           政岡子規


     ふるさとの海は鳴る海蓬餅             藤田湘子


     指先の傷やきのふの蓬摘み             能村登四郎


     川上に鉄橋の弧や蓬摘               鷹羽狩行


     庭先へ廻りて一つ草の餅              草間時彦


     舟伏せしその辺蓬萌えてをり            清崎敏郎



     
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2月 11日 建国記念日

2020-02-10 20:30:39 | Weblog
                    白梅


     白加賀といふ白梅のうすみどり         細見綾子


     白梅や包丁を磨ぐ寺男             沢木欣一


     白梅や釘含み打つ宮大工            栗田やすし


     縁切寺出て白梅を振りあふぐ          下里美恵子


     山窪に朝の日差しや梅真白           矢野孝子


     白梅や頬ふつくらと吉祥天           鈴木みすず


     白梅や母の手擦れの絞り台           山口登代子


     咲きそめて白梅庭を明るうす          吉川利雄


     白梅や奉書結びの巫女の髪           朝比奈照子


     白梅の一枝夫の枕辺に             鈴木真理子


     白梅や一気に上る男坂             菊池佳子



          

           白加賀


     梅のあと紅梅の深空あり            飯田龍太


     白梅の仄か色めく夕日ざし            林 翔


     白梅のひかりの中に枝の影            長谷川素逝


     白梅の咲きつくしたる暗さかな          岩井久美恵


     白梅や室千軒の点りそむ             石原八束




          


    


     


     
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