2月 10日

2020-02-09 16:56:19 | Weblog
                     紅梅・薄紅梅


     入園の児が紅梅を帽に挿す         栗田やすし


     紅梅を面映えて見し石の上         細見綾子


     紅梅や筆塚に日の廻り来し         下里美恵子


     紅梅の名残りの一花綾子句碑        若山智子


     紅梅の蕾きざせり義民の碑         清水弓月


     紅梅の莟に昨夜の雨しづく         武藤光晴


     紅梅へ寄せやり妻の車椅子         梅田 葵


     紅梅や花器となる土足で練る        森 靖子


     紅梅や土橋石橋たもとほる          こころ  
<向島百花園>



          



     伊豆の海や紅梅の上に波ながれ       水原秋桜子


     紅梅や枝々は空奪ひあひ          鷹羽狩行


     紅梅や病臥に果つる二十代         古賀まり子


     紅梅や沖より変る潮の色          渡邊千枝子


     紅梅の一枝に憑かれ来し歩み        福永みち子


     紅梅の見えるところの玻璃くもり      能村登四郎




         


     
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 9日

2020-02-08 20:53:40 | Weblog
                    苜蓿(うまごやし)・苜蓿(もくしゅく)・クローバー


     苜蓿や義肢のヒロシマ人憩ふ           沢木欣一


     男女たることに素直にクローバー         細見綾子


     袖口でぬぐふハモニカ苜蓿            河原地英武


     寝ころんでしろつめくさの冷たさよ        関根切子


     試験管にクローバ一本科化学室          山 たけし


     クローバーの花に埋れし舟つなぎ         倉田信子


     苜蓿や土手に古りたる農具小屋          磯野多喜男


     母と子が顔寄せて摘むクローバー         矢野愛乃


     クローバーの土手やはらかや犬駆くる       奥山ひろ子


     小刻みに揺るる苜蓿馬場の跡           砂川紀子



          



     子の頬杖父の手枕うまごやし           鷹羽狩行


     めぐり踏むグラバー邸の苜蓿           深見けん二


     番人と銃のけだるきうまごやし          秋元不死男


     寝ころんで夢見しむかし苜蓿           森澄雄


     うまごやしハンケチ敷きてやさしき座       山口青邨


     雨三日日和二日のうまごやし           鈴木真砂女
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 8日

2020-02-07 19:50:03 | Weblog
                    針供養・針休み・針祭・針納め


     関東では2月8日・中部以西では12月8日に行われるようですが
     これらの両日は事八日と言われ仕事納め・仕事始めの日とされています
     ちなみに事八日とは神様を迎え入れるために一定の期間飲食控え
     心身を清める物忌の日だったそうです (ネットの知識でした)


     母の針箱身ほとりにおき針供養          細見綾子


     針供養豆腐に五彩の糸張つて           牧野一古


     町医者も畳屋も来る針供養            坪野洋子


     結ひ上げし髪艶やかや針供養           長谷川美智子


     待針に豆腐はなやぐ針供養            日野圭子


     裁ち直す母の身幅や針供養            大嶋福代


     手作りの紅絹の針山針納め            牧 啓子


     小町針納むジャム瓶薬瓶             服部鏡子


     待針に子の名書かれし針納む           安藤幸子


     赤き糸付けて縫針納めけり            小田二三枝


     母の針和紙に包みて納めけり           鈴木真理子



          



     古びたる注射針をも針供養            瀧澤伊代次


     紐巻きてアイロン休む針供養           百合山羽公


     親方が一人男や針供養              瀧 春一


     法螺貝を吹きて始まる針供養           山田弘子


     針供養針一本で子を育て             岩永草渓


     すこやかに姉妹は老いて針供養          飴山實




          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 7日

2020-02-06 19:24:03 | Weblog
                    春寒し・春さむ・寒き春


     春寒や子規全集の一書欠く            栗田やすし


     春寒や赤の広場の古銭売り            河原地英武


     春寒や歯を抜きし顔ピエロめく          下里美恵子


     邪鬼いつも上目遣ひや春寒し           国枝隆生


     剥製の熊の親子や春寒し             若山智子


     春寒や綴ぢ目ほつれし流人帳           鈴木みすず


     春寒や山肌ゑぐる演習地             平 千花子


     検査待つ一人の部屋や春寒し           高橋幸子


     春寒し堰落ち切らぬゴムボール          東口哲半


     春寒し舌に残りし貝の砂             梅田 葵


     春寒や画鋲ばかりの掲示板            森垣一成


     春寒し草屋にひびく沢の音             こころ



          


     春寒の老僧ちぢみやまぬかな           金子兜太


     登呂春寒生きたる声の小学生           加藤秋邨


     春寒や鴎は尻を丸出しに             安住敦


     春寒の星存分に大菩薩              飯田龍太


     鶴唳の春寒き水ひびきけり            秋元不死男


     蜜豆を二度見る夢や春寒し            前田普羅




          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 6日

2020-02-05 19:03:06 | Weblog
                    春浅し・浅き春・早春・春淡し


     百済仏夢まだ醒めず浅き春            細見綾子


     師と交はす祝杯の夢浅き春            栗田やすし


     浅春の朝市男鹿の鉈売女             倉田信子


     剥落の千手観音春浅し              鈴木みすず


     朝靄に滲む外灯春浅し              山本法子 


     春浅し鴫の足跡残る浜              武藤光晴


     どの絵馬もハートの型や春浅し          市原美幸


     淺春やたつぷりつける化粧水           岡島溢愛


     トースターの片焦げぐせや春浅し         佐々木美代子


     春浅し素描のやうな雑木山            小原米子


     浅春の日差しを背に太宰読む           奥山ひろ子


     引けば鳴る母の箪笥や春浅し           内田陽子



          



     春浅く火酒したたらす紅茶かな          杉田久女


     手織紬愛し着つづけ春浅し            及川貞


     春浅き夜のラヂオの青江三奈           石塚友二


     春浅き水を渉るや鷺一つ             河東碧梧桐


     春浅き水音めぐる都府楼址            能村登四郎


     春浅し相見て癒えし同病者            石田波郷
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 5日

2020-02-04 19:27:29 | Weblog
                    宝蓋草・三界草・仏の座

     ホトケノザ と言えば 春の七草に出てくる
     セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ
     と思い浮かばれることでしょう
     この春の七草のホトケノザはコオニタビラコ
     今日の仏の座は食べることが出来ません
     シソ科オドリコソウ属の一年草または越年草です



     首里はるか激戦の地に仏の座           栗田やすし


     仏の座長くる一向一揆跡             若山智子


     みちのくの残土覆へり仏の座           武藤光晴


     野に戻る父祖の畑や仏の座            熊沢和代


     塩田の跡に色濃き仏の座             鈴木真理子


     仏の座神学生の墓の辺に             中野一灯


     仏の座抜いて窯場の土匂ふ            篠田法子


     赤土の畝の潰えに仏の座             中村たか



          



     雑草と言ふ草あらず仏の座            宇咲冬男


     かたまつて野火まぬがれし仏の座         石丸 誠


     遠来のもののごとくに仏の座           鷹羽狩行


     日の先にあそぶ雀や仏の座            本土みよ治


     雲割れて日矢の射しけり仏の座          豊長みのる



          

           コオニタビラコこれが春の七草の仏の座
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 4日 立春

2020-02-03 13:53:52 | Weblog
                    立春・春立つ・立春大吉・春来る


     立春大吉という言葉の意味は、
    「暦の上での春であり、古来は新年の始まりであった立春に、
     人々や社会の幸せを祈る」言葉とされます。
     立春大吉は除災招福の意味を持ち、とても縁起のよい言葉です。



     万燈のまたゝき合ひて春立てり         沢木欣一


     春立てり鑑真像を壁にはり           細見綾子


     春立つや鵜川に青きもの流る          栗田やすし


     立春や茶筅をくぐる水の音           伊藤旅遊


     春立つやふはりと焼けし玉子焼         渡辺慢房


     師と聞きし辺戸の波音春立てり         栗田せつ子


     器屋のチェロ艶やかに春立てり         鈴木みすず


     赤子泣く里の駐在春立てり           神尾朴水


     湯にをどる卵の三つ春立てり          梅田 葵


     まるまると太る乳飲み児春立てり        市原美幸


     子が好きな人連れて来る今朝の春        伊藤範子


     春立つや杉の枝打つ山の音           森垣一成



          



     立春の米こぼれをり葛西橋           石田波郷


     立春大吉髪切つて耳あらはるる         内田美紗


     立春のどこも動かず仔鹿立つ          秋元不死男


     立春大吉音立てている茹卵           森田智子


     奉納の子泣き相撲や春立てり          町田千鶴子


     立春大吉神田の町に手風琴           加古宗也



          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 3日 

2020-02-02 15:56:24 | Weblog
                    節分・追儺・鬼やらい・福豆


     追儺豆帽子をぬぎて受くるあり       細見綾子


     追儺の炎囃して太鼓滅多打つ        栗田やすし


     景品にもらふ石鹸豆まく日         河原地英武   


     年の豆日のあるうちに炒り上ぐる      下里美恵子


     節分の火打ちの火花頭に浴ぶる       上杉和雄


     笑む神の絵手紙来たり節分会        小石峰通子


     櫓より嫁を見つけて福は内         中斎ゆうこ


     枡の底叩き豆まき終りけり         都合ナルミ


     新入りの氏子小声で鬼やらふ        佐藤とみお


     横綱がむんずと掴む年の豆         伊藤旅遊


     追儺の鬼幼児あやして泣かせたり      吉岡やす子


     鬼やらふ松明あまた仁王門         山下善久



         

          柴又 帝釈天で撒く福豆



     追儺の夜餓鬼の如くに出て歩く       福永 耕二


     丹波より貢がれてきし年の豆        阿波野青畝


     福豆を炒る宮島の大しやもじ        大塚禎子


     口ボツトの犬吠えている鬼やらい      大口元通


     病む妻の裾に豆撒く四粒ほど        秋元不死男


     カツサンド見れば食べたし福豆も      藤田湘子




          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2月 2日

2020-02-01 13:57:56 | Weblog
                    日脚伸ぶ


     子が居りて花欲し日脚僅か伸ぶ       細見綾子


     自転車の弾く小石や日脚伸ぶ        河原地英武


     平積みの古書の埃や日脚伸ぶ        中野一灯


     臥す母の爪切る縁に日脚のぶ        倉田信子


     日脚伸ぶ牛舎に大き猫車          武藤光晴


     日脚伸ぶ浜で拾へり枝珊瑚         奥山ひろみ


     網を干す島の小道や日脚伸ぶ        森垣一成


     酢の蔵の小さき天窓日脚伸ぶ        伊藤範子


     立像も座像も菩薩日脚伸ぶ         田嶋紅白


     拳吸ふ赤子の機嫌日脚伸ぶ         若山智子




          



     ここにまた吾子の鉛筆日脚伸ぶ       中村汀女


     かくれんぼ隠れ上手に日脚伸ぶ       丸野 紀子


     手枕や日脚伸びたる越のくに        角川照子


     日脚伸ぶわたしが折れて仲直り       山田弘子


     日脚伸ぶ殊に港の浜通り          松本たかし


     日脚伸ぶ身をすり合ひて金魚の恋      鈴木真砂女



          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする