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踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

チャンピックスとニコチンパッチ、どちらを選ぶか?

2008年07月25日 | 禁煙・防煙
#これまでの禁煙治療で主に使われていたニコチンパッチと新薬チャンピックスのどちらを選ぶかは、まだ定まった選択方法は出ていませんが、これまでに得られた情報をもとに、当院では下記のような表を作成して患者さん(禁煙治療受診者)に選んでもらっています。

#ここに書かなかった情報として、チャンピックスは新薬のため来年4月までは4週間処方ができず、通常の5回受診ではなく7回の受診が必要になります。

#また、ニコチンパッチは「ニコチネルTTS 30, 20, 10」のうち最高用量のTTS30を除く20と10に相当する製剤が、市販薬として医師の処方なしに薬局で買えるようになりました。しかし、これは2つの点で失敗の可能性が高くなるのでおすすめしません。1)30相当品がないのでニコチン用量が足りず、初期のニコチン切れを抑えきれない可能性がある。2)禁煙外来では初回30分近い時間をかけて問診や説明を行っており、更に毎回自分で受診することが目標となって禁煙を続けられる面があり、薬局で手軽に買って簡単に禁煙しようとしても成功率が上がるとは思えず、かえって「あの薬はダメだ」などという誤った考えを持つことになる。3)保険が利かないため、診察料を含めても禁煙外来を受診して処方した方がずっと安く済む。つまり、費用が高くて成功率が低いということになります。

■ 薬物療法の選択
1)くすりの種類
   ニコチン製剤
      ニコチンパッチ「ニコチネルTTS 30, 20, 10」
      ニコチンガム「ニコレット」(保険診療では処方できません)
   経口禁煙補助薬「チャンピックス 0.5mg, 1mg」
2)ニコチンパッチとチャンピックス、どちらを選ぶか?
   虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の方にはニコチンパッチは使えません
   うつ病や統合失調症など精神疾患のある方には、チャンピックスは慎重に投与する必要があります
   過去にニコチンパッチを使って禁煙に失敗している方や、肌のかぶれなどでニコチンパッチを継続できなかった方は、チャンピックスを選んだ方が良いでしょう
   心疾患・精神疾患がなく、過去にニコチンパッチでの失敗経験がない方(大多数の方)は、どちらを選んでも構いません
   禁煙の成功率は、ニコチンパッチよりもチャンピックスの方が高いというデータが出ています
   以上をまとめると次の表のようになりますが、この選択基準は諸情報をもとに選択の目安として当院で作成したもので、まだ定まったものではありません(NRT:ニコチン置換療法、V:バレニクリン=チャンピックス)

経口禁煙補助薬「チャンピックス」の特徴と使い方

2008年07月25日 | 禁煙・防煙
#今年の5月から禁煙外来で処方することが出来るようになった新薬「チャンピックス」について、先日改訂した禁煙外来の案内から2回に分けて引用してみます。今のところまだ使用経験は少ないのですが、ここに書かれているような副作用の訴えもなく、順調に禁煙できているようで、多くの方にお勧めできる禁煙補助薬ではないかと感じています。

#主な利点は3つで、下記の特徴にあるように、最初の1週間は喫煙しながら無理なく禁煙に入っていくことができること。2つ目は、毒物及び劇物取締法で毒物に指定されているニコチンを含まないこと。3つ目は、飲み薬であるということです。

■ 経口禁煙補助薬「チャンピックス」の特徴と使い方
1)特徴「2つの作用でニコチンとサヨナラ」
   脳神経細胞の「ニコチン受容体」に結合することで、
   少量のドパミン(快感物質)を放出させ、イライラなどのニコチン切れの症状を軽くします
   外から入ったニコチンが結合するのをブロックするので、タバコを吸ったときの満足感が得られなくなり、タバコを吸いたい気持ちがなくなっていきます
2)効果
   12週間後の禁煙成功率は65.4%で、ニコチンパッチ(40%程度)よりも成功率は約1.5倍(何も使わないよりも約3倍)高くなります
3)飲み方
   第1週 喫煙しながら自然に本数を減らしていきます
      1~3日目 0.5mg錠 1日1回(時間は問わない)
      4~7日目 0.5mg錠 1日2回(朝夕食後)
   第2週~第12週 8日目に禁煙開始
      8日目~ 1mg錠 1日2回(朝夕食後)
4)使用上の注意
   ニコチン製剤と併用しないこと
   副作用などで薬を続けられない場合は0.5mg1日2回に減量することもあります
   腎機能障害がある場合は0.5mg1日1回~0.5mg1日2回
   小児・妊婦への安全性は確立していません
   めまいがみられることがあるので、車の運転には注意してください
5)副作用
   主な副作用な、嘔気、頭痛、便秘、腹痛、不眠症などです
   異常な夢を見ることがあるようですのでご注意ください
   抑うつ、不安、精神疾患の悪化などがみられることがあるので、精神疾患のある方には注意が必要です
   海外での多数の使用経験の中で自殺企図および自殺者が出ているとの注意情報が出されていますが、一般の喫煙者や禁煙者と比較して頻度が高いというデータはなく、因果関係も不明です(もともと喫煙者はヘビースモーカーほど自殺率が高い)