今中哲二『サイレントウォー 見えない放射能とたたかう』
LNTが批判に耐えられるタフな考え方。どんなにわずかでも“安全な被曝”などない。年間1mSvがガマン量の目安。最もしっかりした評価は米国科学アカデミーのベアー報告。1mSv被曝でがん発症は1万分の1。子どもは千人に1人。孫が福島市にいたら?「しゃあないなぁ」と言えるのは自然放射線+1mSvまで。食品は自分の子が小学生なら10Bq/kg、妊婦や乳幼児はゼロベクレルを目標に。(Bookmeterへの短評)
図書館から借りた本なので備忘録としてメモしておく。引用だったり要約だったりするので注意。(カッコ内は感想やコメント)
東京より北の本州太平洋側には“無視できないレベルの放射能汚染”が起きてしまった。(もちろん八戸も) 安全性は確率では語れない。百万年に1回の大災害が起こるのは今日かもしれない。
スリーマイル以来「原発は安全か危険か」ではなく「危険なものに決まっている。どのくらい危険なのか」という問題の立て方でシミュレーションしてきた。
チェルノブイリで強く感じたのは、科学的アプローチで明らかにできることは、原発事故という災厄全体のほんの一部にすぎない、ということ。
これから先、子どもや孫の代まで放射能と向き合っていかなくてはならない。一人ひとりがほどほどに判断できるくらいにならないと、かえって不安を大きくしてしまうことになる。
(第1章は、放射能を「正しく恐がる」ための基礎知識。この「正しく恐がる」はカッコ付きの「正しく恐がる」。「正しく恐がる」論者に騙されずに、かつ過剰に怖れないための「正しく恐がる」だ。)
放射能の食品基準は、規制値以下だったら安全というわけではない。私たちにとって規制値は「ガマンさせられ量」だといえる。
今の日本では子どもたちを絶対に被曝させないのは無理。「どこまで被曝をガマンするか、どこまで子どもたちを守れるか」を自分自身で判断できるようになること。
目安として、食品中の放射性セシウム1000ベクレルで20μSvの被曝。3200Bq/kgのステーキを200g食べると640Bq。12.8μSvの被曝。一部の専門家は「健康に影響はない」と。(調べてみたら安斎育郎氏だ)
年間約1mSvの自然放射線は「けっこう強い」。だからこそ、上乗せ分の被曝には注意しなければいけない。
1ベクレルは1秒間に1回原子核が崩壊。セシウム137は放射線はガンマ線を1本(0.85本)出すが、セシウム134は2本以上。ガンマ線のエネルギーは2倍以上強い。
被曝量はお金に換算して比較(お金を落とした)。
放射線従事者:1μSV=1円、100μSV=100円、
1000μSV(1mSv)=1000円(始末書もの)、
1000mSv(1Sv)=100万円(大変だ、すぐ病院へ)
被曝量はお金に換算。
一般人は10倍、妊婦・子どもは100倍。
1μSV=10円、100円。100μSV=1000円、1万円。
1000μSV(1mSv)=1万円、10万円。
年間5mSvは子どもが50万円落とした感覚(あり得ない)。厚労省基準はとんでもないもの。
年間1ミリシーベルトが「ガマン量」の目安。年間1ミリまでは大丈夫、ではない。自然放射線の変動内に入る程度なら、神経質になることはない。例えば年間0.2mSv程度。(←注意:年間200μSv!)
「直線・しきい値なし仮説」が様々な批判に耐えられるタフな考え方。100mSv以下では直線的なモデルよりリスクが大きくなる傾向がみられる。「どんなにわずかでも“安全な被曝”などない」という考え方が世界の主流(ICRP、米国科学アカデミーなど)。
被曝は「予防原則」が大前提。
次々と登場する妄言に惑わされるな。
①生涯100mSvなら安全説(食品安全委員会)、
②年間20mSvなら安全説(文部科学省)、
③年間100mSvでも安全説:「広島・長崎データ」を都合良く解釈しているだけの“原子力ムラ”住人の言葉にはくれぐれも注意を
次々と登場する妄言
④わずかな放射線は体によいというホルミシス説、
⑤「放射線の影響はクヨクヨしている人に来る」説:山下俊一教授は「ご本人がそう思うのは自由ですが、このような社会的発言をするのなら、お孫さんも含めて家族で飯舘村に移住してからにすべきでしょう」
次々と登場する妄言
⑥「ほんの少しでも放射線は怖い」説:子どもの将来を悲観し絶望的になってしまうのは避けるべき。子どもでも自然放射線の1/10(年間100μSv)くらいなら、あまり神経過敏になることもないのでは。(←線量に注意!)
外部被曝と内部被曝の怖さに違いはあるか? 内部被曝のためのICRPの係数がそれほど間違っているとは思っていない。マヤック、テチャ川などのデータをみても、ICRPの評価に比べて内部被曝が数百倍から千倍も危険ということはない。
被曝による遺伝的影響は、広島・長崎データを見るかぎりでは、それほど大きくないというのが共通認識。晩発的影響の回避策をまったく講じなかった日本国政府。
ICRP:1Sv(1000mSV)被曝でがん死は5%。1mSvなら10万分の5。2万人に1人。「原子力利用の利益と比較し、この程度のリスクは社会として受け止めましょう」というのがICRPの立場。(←ちゃんと掛け算してる。これが常識的な考え方)
最もしっかりした評価は米国科学アカデミーの「ベアー報告」。1mSv被曝でがん発症は1万分の1。子どもは大人の10倍とすると千人に1人。
日本で2009年のがん死は約34万人、2%が自然放射線とすると6800人。福島事故による被曝影響が上乗せされても、よほどの大量被曝でなければ断定は困難。
事故直後に山下先生のラジオを聞いていて「子どもたちの甲状腺被曝が心配だ」とはひとことも言わなかった。“嘘は言ってないが、嘘つきのような発言だった”と思っている。
被曝影響の観察がむずかしい小児白血病。よくわからない“がん以外”の低レベル被曝影響。チェルノブイリ周辺の子どもの健康悪化が放射線被爆によるものかはっきりしていない。
どこまでの被曝なら引き受けられるか。答えはないが、自分の家族だったら、大阪の汚染は気にならない。東京の汚染は無視できないが娘が避難するほどではない。自分が福島市に住んでいても住み続ける。孫が福島市にいたら…。答えはないが、(続)
孫が福島市にいたら…。答えはないが、「しゃあないなぁ」と言えるのは「自然放射線+1ミリシーベルト」まで。
どこまでの被曝なら引き受けられるか。自分の家族だったら、東京の汚染は無視できないが娘が避難するほどではない。自分が福島市に住んでいても住み続ける。孫が福島市にいたら…。答えはないが、「しゃあないなぁ」と言えるのは「自然放射線+1ミリシーベルト」まで。
日比谷公園 0.09μSv/h(2012年3月)、自然バックグラウンドの約2倍。逆算すると、Cs137と134を合わせて2万Bq/m2(300Bq/kg)。核実験フォールアウトをはるかに超えている。
IAEAによると、放射性セシウムの濃縮係数は、イカ・タコが9、エビ・カニが50、貝類が60、魚が100。
実効半減期=1/((1/物理学的半減期)+(1/生物学的半減期))
①物理学的半減期②生物学的半減期③実効半減期
ヨウ素131①約8日②約120日③約7.5日
セシウム137①約30年②約100日③約99日
ストロンチウム90①約29年②約50年③約18年
Cs134とCs137を含む食品を食べた場合の実効線量係数
Cs134
0歳 ~2歳 ~7歳 ~12歳 ~17歳 18歳~
0.026 0.016 0.013 0.014 0.019 0.019
Cs137
0歳 ~2歳 ~7歳 ~12歳 ~17歳 18歳~
0.021 0.012 0.0096 0.01 0.013 0.013
等価線量 実効線量 組織荷重係数
肺の組織荷重係数は0.12
胸のエックス線検査で1mSv
実効線量=0.12mSv
食品の汚染レベルをどうとらえるか。個人の目安としては「10Bq/kgの食品なら、もうしゃーない」。子どもは汚染レベルが低いに越したことはないが、自分の子が小学生なら「10Bq/kg」。妊婦や乳幼児はゼロベクレルを目標に。「わからないところでは慎重になる」
体重1kgあたり10Bqの体内セシウム量が継続していたら、年間約30μSvの内部被曝に相当する。
汚染の不安が少ない白米を選ぶか、栄養価で優れた玄米を選ぶか。各自の判断になるが、50Bqkgまでなら玄米を選ぶだろう。(←前記の10Bq/kgと矛盾するが、そこまでして玄米から栄養を取る必要はないのでは?)
一家で1冊だけ選ぶならこの本がお勧め。避難や食品の目安もバランスが取れていると感じる。
LNTが批判に耐えられるタフな考え方。どんなにわずかでも“安全な被曝”などない。年間1mSvがガマン量の目安。最もしっかりした評価は米国科学アカデミーのベアー報告。1mSv被曝でがん発症は1万分の1。子どもは千人に1人。孫が福島市にいたら?「しゃあないなぁ」と言えるのは自然放射線+1mSvまで。食品は自分の子が小学生なら10Bq/kg、妊婦や乳幼児はゼロベクレルを目標に。(Bookmeterへの短評)
図書館から借りた本なので備忘録としてメモしておく。引用だったり要約だったりするので注意。(カッコ内は感想やコメント)
東京より北の本州太平洋側には“無視できないレベルの放射能汚染”が起きてしまった。(もちろん八戸も) 安全性は確率では語れない。百万年に1回の大災害が起こるのは今日かもしれない。
スリーマイル以来「原発は安全か危険か」ではなく「危険なものに決まっている。どのくらい危険なのか」という問題の立て方でシミュレーションしてきた。
チェルノブイリで強く感じたのは、科学的アプローチで明らかにできることは、原発事故という災厄全体のほんの一部にすぎない、ということ。
これから先、子どもや孫の代まで放射能と向き合っていかなくてはならない。一人ひとりがほどほどに判断できるくらいにならないと、かえって不安を大きくしてしまうことになる。
(第1章は、放射能を「正しく恐がる」ための基礎知識。この「正しく恐がる」はカッコ付きの「正しく恐がる」。「正しく恐がる」論者に騙されずに、かつ過剰に怖れないための「正しく恐がる」だ。)
放射能の食品基準は、規制値以下だったら安全というわけではない。私たちにとって規制値は「ガマンさせられ量」だといえる。
今の日本では子どもたちを絶対に被曝させないのは無理。「どこまで被曝をガマンするか、どこまで子どもたちを守れるか」を自分自身で判断できるようになること。
目安として、食品中の放射性セシウム1000ベクレルで20μSvの被曝。3200Bq/kgのステーキを200g食べると640Bq。12.8μSvの被曝。一部の専門家は「健康に影響はない」と。(調べてみたら安斎育郎氏だ)
年間約1mSvの自然放射線は「けっこう強い」。だからこそ、上乗せ分の被曝には注意しなければいけない。
1ベクレルは1秒間に1回原子核が崩壊。セシウム137は放射線はガンマ線を1本(0.85本)出すが、セシウム134は2本以上。ガンマ線のエネルギーは2倍以上強い。
被曝量はお金に換算して比較(お金を落とした)。
放射線従事者:1μSV=1円、100μSV=100円、
1000μSV(1mSv)=1000円(始末書もの)、
1000mSv(1Sv)=100万円(大変だ、すぐ病院へ)
被曝量はお金に換算。
一般人は10倍、妊婦・子どもは100倍。
1μSV=10円、100円。100μSV=1000円、1万円。
1000μSV(1mSv)=1万円、10万円。
年間5mSvは子どもが50万円落とした感覚(あり得ない)。厚労省基準はとんでもないもの。
年間1ミリシーベルトが「ガマン量」の目安。年間1ミリまでは大丈夫、ではない。自然放射線の変動内に入る程度なら、神経質になることはない。例えば年間0.2mSv程度。(←注意:年間200μSv!)
「直線・しきい値なし仮説」が様々な批判に耐えられるタフな考え方。100mSv以下では直線的なモデルよりリスクが大きくなる傾向がみられる。「どんなにわずかでも“安全な被曝”などない」という考え方が世界の主流(ICRP、米国科学アカデミーなど)。
被曝は「予防原則」が大前提。
次々と登場する妄言に惑わされるな。
①生涯100mSvなら安全説(食品安全委員会)、
②年間20mSvなら安全説(文部科学省)、
③年間100mSvでも安全説:「広島・長崎データ」を都合良く解釈しているだけの“原子力ムラ”住人の言葉にはくれぐれも注意を
次々と登場する妄言
④わずかな放射線は体によいというホルミシス説、
⑤「放射線の影響はクヨクヨしている人に来る」説:山下俊一教授は「ご本人がそう思うのは自由ですが、このような社会的発言をするのなら、お孫さんも含めて家族で飯舘村に移住してからにすべきでしょう」
次々と登場する妄言
⑥「ほんの少しでも放射線は怖い」説:子どもの将来を悲観し絶望的になってしまうのは避けるべき。子どもでも自然放射線の1/10(年間100μSv)くらいなら、あまり神経過敏になることもないのでは。(←線量に注意!)
外部被曝と内部被曝の怖さに違いはあるか? 内部被曝のためのICRPの係数がそれほど間違っているとは思っていない。マヤック、テチャ川などのデータをみても、ICRPの評価に比べて内部被曝が数百倍から千倍も危険ということはない。
被曝による遺伝的影響は、広島・長崎データを見るかぎりでは、それほど大きくないというのが共通認識。晩発的影響の回避策をまったく講じなかった日本国政府。
ICRP:1Sv(1000mSV)被曝でがん死は5%。1mSvなら10万分の5。2万人に1人。「原子力利用の利益と比較し、この程度のリスクは社会として受け止めましょう」というのがICRPの立場。(←ちゃんと掛け算してる。これが常識的な考え方)
最もしっかりした評価は米国科学アカデミーの「ベアー報告」。1mSv被曝でがん発症は1万分の1。子どもは大人の10倍とすると千人に1人。
日本で2009年のがん死は約34万人、2%が自然放射線とすると6800人。福島事故による被曝影響が上乗せされても、よほどの大量被曝でなければ断定は困難。
事故直後に山下先生のラジオを聞いていて「子どもたちの甲状腺被曝が心配だ」とはひとことも言わなかった。“嘘は言ってないが、嘘つきのような発言だった”と思っている。
被曝影響の観察がむずかしい小児白血病。よくわからない“がん以外”の低レベル被曝影響。チェルノブイリ周辺の子どもの健康悪化が放射線被爆によるものかはっきりしていない。
どこまでの被曝なら引き受けられるか。答えはないが、自分の家族だったら、大阪の汚染は気にならない。東京の汚染は無視できないが娘が避難するほどではない。自分が福島市に住んでいても住み続ける。孫が福島市にいたら…。答えはないが、(続)
孫が福島市にいたら…。答えはないが、「しゃあないなぁ」と言えるのは「自然放射線+1ミリシーベルト」まで。
どこまでの被曝なら引き受けられるか。自分の家族だったら、東京の汚染は無視できないが娘が避難するほどではない。自分が福島市に住んでいても住み続ける。孫が福島市にいたら…。答えはないが、「しゃあないなぁ」と言えるのは「自然放射線+1ミリシーベルト」まで。
日比谷公園 0.09μSv/h(2012年3月)、自然バックグラウンドの約2倍。逆算すると、Cs137と134を合わせて2万Bq/m2(300Bq/kg)。核実験フォールアウトをはるかに超えている。
IAEAによると、放射性セシウムの濃縮係数は、イカ・タコが9、エビ・カニが50、貝類が60、魚が100。
実効半減期=1/((1/物理学的半減期)+(1/生物学的半減期))
①物理学的半減期②生物学的半減期③実効半減期
ヨウ素131①約8日②約120日③約7.5日
セシウム137①約30年②約100日③約99日
ストロンチウム90①約29年②約50年③約18年
Cs134とCs137を含む食品を食べた場合の実効線量係数
Cs134
0歳 ~2歳 ~7歳 ~12歳 ~17歳 18歳~
0.026 0.016 0.013 0.014 0.019 0.019
Cs137
0歳 ~2歳 ~7歳 ~12歳 ~17歳 18歳~
0.021 0.012 0.0096 0.01 0.013 0.013
等価線量 実効線量 組織荷重係数
肺の組織荷重係数は0.12
胸のエックス線検査で1mSv
実効線量=0.12mSv
食品の汚染レベルをどうとらえるか。個人の目安としては「10Bq/kgの食品なら、もうしゃーない」。子どもは汚染レベルが低いに越したことはないが、自分の子が小学生なら「10Bq/kg」。妊婦や乳幼児はゼロベクレルを目標に。「わからないところでは慎重になる」
体重1kgあたり10Bqの体内セシウム量が継続していたら、年間約30μSvの内部被曝に相当する。
汚染の不安が少ない白米を選ぶか、栄養価で優れた玄米を選ぶか。各自の判断になるが、50Bqkgまでなら玄米を選ぶだろう。(←前記の10Bq/kgと矛盾するが、そこまでして玄米から栄養を取る必要はないのでは?)
一家で1冊だけ選ぶならこの本がお勧め。避難や食品の目安もバランスが取れていると感じる。