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新型コロナ:人口あたりの感染率・死亡率で比較:イタリア・韓国・日本の大きな違い

2020年03月12日 | 新型コロナ

イタリアは既に人口あたりの感染率、死亡率でも中国の3倍前後に達していて、致死率(CFR: case fatality rate)でもイラン、中国を上回っています。

主にイタリア、イランの状況がWHOのパンデミック(Pandemic)宣言の要因になっているのでしょう。
endemic(地域流行)→epidemic(流行)→pandemic(世界的流行):国中や世界中で、感染症が流行すること

米国はまだ数としては多くないが、致死率CFRがイランや中国並みに高くなっている。米国は大都市の高度医療は発達しているが、医療格差が大きく、無保険者も多く、世界の経済や人の交流の中心なので、ここが主戦場になるでしょう。

日本は「検査不足による感染者数の見かけ上の少なさ」を指摘する人もいるようですが、有症状者や接触者など比較的絞り込まれた検査で発見された中では、致死率は高くはなく、人口あたりの死亡率もまだ抑えられた段階にあると言えます。
(無症状や軽症の感染者が数倍〜10倍程度いるはずだということは医師や関係者は最初から想定していることで、北大教授の推計もその前提に沿ったものです。)

今後、検査件数が多くなるにつれ、軽症・無症状者の割合が増えて致死率が低下することが期待されます。
(CFRではなく、潜在的な患者数を母数に考えれば、その1/10程度まで下がります。例えば、日本人の1割が感染して、0.1%が死亡すると考えると、1万人程度という数字=季節性インフルエンザと同レベル=が出てきます。これをどう考えるかが問題なのです。)

一方、韓国は1つの宗教団体からのアウトブレイクとその接触者つぶしをかなり徹底して行った結果、感染者数、感染率はイタリアと同等ですが、致死率は1/7程度(日本の半分程度)に抑えられており、これが「軽症者を見つけて治療しているから検査を早くした方が良い」という見解を生んでいるようです。

しかし、人口あたりの死亡率は日本の8倍もあり、軽症者の割合が多かったことで見かけ上の致死率は下がっているが、死亡率から推定すると、相応の流行が起きて重症者が多数発生していたと考えて良いので、今後の二次・三次感染の拡大がどの程度抑えられていくのか、注目されます。

日本の流行は、2月中旬に予想したよりもずっと少なく、現在、八戸市内では子どもはもちろん大人の呼吸器感染症も流行していないようです。

青森県の検査件数と陽性者数(まだゼロ)の推移が一つの目安になります。
 ↓
新型コロナウイルス感染症について
https://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/wuhan-novel-coronavirus2020.html
3月11日現在 検査件数 63件 陽性 0件

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