「想定内で判断している。想定外と言ってはいけないと肝に銘じて規制している」「どういう状況が起こっても想定外の事故が起きるとは判断していない」
【熊本地震と川内原発】「想定外ない」田中委員長が強調する安全神話 2016年4月18日
http://tanakaryusaku.jp/2016/04/00013432
田中委員長の「あらゆる想定外は存在しない(=想定している)」という、小学生でもわかる現代の「矛盾」逸話。少し古くなったけど状況は変わっていないので、蛇足のコメントを付け加えておく。
あらかじめ基準とした「想定内」があって、その外の「想定外」の事故まで想定して規制しているということであれば、その「想定外」の事故は「想定内」であり、この作業を繰り返すと「想定」の枠組みは拡大し続ける。
その「拡大した想定」の枠組みの外には更に「想定外」が存在するのではないかと推測するのが科学的だが、田中委員長の見解はそうではない。全てが「想定内」であり「想定外」は存在しない。これは、記事の見出しにある「新たな安全神話」としか言いようがない。川内原発は絶対に安全であると。
実際には、「無視していい状況」として「飛行機の自爆テロやミサイル攻撃」と「破局噴火」の2つが除外されている。前者は世界のあらゆる原発が無防備なのだから日本も同じでいい。後者は万が一起きたら周辺地域の人はみんな死ぬんだから原発だけ心配しても仕方がないというのが理屈。
(直下あるいは直近の断層による震度7の地震で問題なく緊急停止・冷温停止できるかどうかという問題はここでは直接取り上げていませんが、下記の「隙間問題」に相当)
その2つの「無視していい状況」(←別に私たちが無視していいと言ってるわけではない)と、「最大限に拡大した想定内の枠組み」の間には「何も存在しない」というのが田中委員長の仮説。当然のことながら、「想定外の破局事故」が起きない限り否定できないが、肯定する根拠もない。(賭け)
熊本・大分の群発地震は、一旦は沈静化していくと思われるが、数カ月あるいは数年単位で何が起こるか(起きないか)は専門家でも予測することは困難。破局噴火でなくても、大規模な火山噴火により、大停電や交通機能、行政機能の麻痺が起こりうることは今回の地震から容易に推測できる。
また、田中委員長は今後の地震対応について「法律上、安全上、懸念がある場合は止めることができるが、今のところ科学的根拠がない」と述べたと伝えられている。だとすると、たとえ選挙で国民の多数が川内原発の停止を求めて勝利したとしても、止めることは不可能という結論になる。
原子力規制委員会が稼働を認めた原発(現時点では川内原発)は、もし政権交代が起きようとも停止することはできない。行政、政治(主権者である国民による選挙の裁断)のレベルでは覆せない。司法も高級審での停止判断は事実上期待できない。よって規制委員会の判断は絶対権力となる。
(菅元首相が超法規的手段で停止させた例にならうのではなく、何らかの形で法制化して、状況の変化に応じて法律の枠内で停止命令を出すことができるように変えないと、規制委員会が主権者である国民・国会のコントロールが効かない存在として暴走する危険性が高い。)
【熊本地震と川内原発】「想定外ない」田中委員長が強調する安全神話 2016年4月18日
http://tanakaryusaku.jp/2016/04/00013432
田中委員長の「あらゆる想定外は存在しない(=想定している)」という、小学生でもわかる現代の「矛盾」逸話。少し古くなったけど状況は変わっていないので、蛇足のコメントを付け加えておく。
あらかじめ基準とした「想定内」があって、その外の「想定外」の事故まで想定して規制しているということであれば、その「想定外」の事故は「想定内」であり、この作業を繰り返すと「想定」の枠組みは拡大し続ける。
その「拡大した想定」の枠組みの外には更に「想定外」が存在するのではないかと推測するのが科学的だが、田中委員長の見解はそうではない。全てが「想定内」であり「想定外」は存在しない。これは、記事の見出しにある「新たな安全神話」としか言いようがない。川内原発は絶対に安全であると。
実際には、「無視していい状況」として「飛行機の自爆テロやミサイル攻撃」と「破局噴火」の2つが除外されている。前者は世界のあらゆる原発が無防備なのだから日本も同じでいい。後者は万が一起きたら周辺地域の人はみんな死ぬんだから原発だけ心配しても仕方がないというのが理屈。
(直下あるいは直近の断層による震度7の地震で問題なく緊急停止・冷温停止できるかどうかという問題はここでは直接取り上げていませんが、下記の「隙間問題」に相当)
その2つの「無視していい状況」(←別に私たちが無視していいと言ってるわけではない)と、「最大限に拡大した想定内の枠組み」の間には「何も存在しない」というのが田中委員長の仮説。当然のことながら、「想定外の破局事故」が起きない限り否定できないが、肯定する根拠もない。(賭け)
熊本・大分の群発地震は、一旦は沈静化していくと思われるが、数カ月あるいは数年単位で何が起こるか(起きないか)は専門家でも予測することは困難。破局噴火でなくても、大規模な火山噴火により、大停電や交通機能、行政機能の麻痺が起こりうることは今回の地震から容易に推測できる。
また、田中委員長は今後の地震対応について「法律上、安全上、懸念がある場合は止めることができるが、今のところ科学的根拠がない」と述べたと伝えられている。だとすると、たとえ選挙で国民の多数が川内原発の停止を求めて勝利したとしても、止めることは不可能という結論になる。
原子力規制委員会が稼働を認めた原発(現時点では川内原発)は、もし政権交代が起きようとも停止することはできない。行政、政治(主権者である国民による選挙の裁断)のレベルでは覆せない。司法も高級審での停止判断は事実上期待できない。よって規制委員会の判断は絶対権力となる。
(菅元首相が超法規的手段で停止させた例にならうのではなく、何らかの形で法制化して、状況の変化に応じて法律の枠内で停止命令を出すことができるように変えないと、規制委員会が主権者である国民・国会のコントロールが効かない存在として暴走する危険性が高い。)