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祝!タバコ規制枠組条約発効/NHKのJT広報たれ流し報道

2005年03月02日 | 禁煙・防煙
2月27日にたばこ規制枠組み条約(FCTC)が発効になりました。FCTCについては現在と将来の世代をたばこの害から守るためのアピール(2004年11月28日)をはじめとして昨年6月のblog開設以来5回ほど触れてきましたが、いよいよタバコ規制新時代が到来しました。

FCTCの内容や問題点などについては、「子どもに無煙環境を」推進協議会の「Q&A」や「政府への重点要請」などをご覧下さい。26-27日には禁煙推進医師連盟の総会・学会が開催されていて、有志でFCTCの人文字をつくったことも報道されていますが、私は残念ながら同じ東京でも日医の乳幼児保健講習会の方に出席していたので参加できませんでした。<写真>

また、各紙の記事の主なものは下記の通りですが、社説では朝日、読売が大幅値上げに言及し、産経や自販機規制にも及び腰、毎日・河北・東奥・デーリーは社説に取り上げられませんでした。

NHKではBSで英国のパブ禁煙議論について特集していたので録画したのですが、その特集と総合テレビのニュースでの表現などで4つの大きな問題がありました。(特集やニュース全体での内容はまあ問題ないし、話題にしてくれるのは良いのですが)

1)「個人の嗜好の問題であるタバコを国際条約で規制するのはなぜか」という設問のもとに解説していたが、第一にタバコは個人の嗜好の問題ではなく、ニコチン依存という薬物依存症の問題であること。喫煙者の大多数は好んで吸い続けているのではなく、やめたくても止められずに喫煙している。

2)国際条約が各国民に対して禁煙を義務づけたりするのではなく、条約が縛っているのは締結した国(国家)であり、各国が有効な規制を法制化などして実施することを義務づけているのです。そして、その内容は「現代版死の商人」であるタバコ会社があらゆる国に対して命と引き替えにタバコ販売を拡大し続けていることに対して、広告や販売規制などあらゆる手段で国が規制して国民を守ること。規制すべき悪は喫煙者ではなくタバコ会社。規制すべき主体は国。というのが普通の国なのですが、日本の場合は国がタバコ会社の筆頭株主であり、しかも法律でタバコ産業の振興を奨励しているので、規制すべき国が規制される対象でもあるという不可思議な現象になっています。そのためには、タバコ事業法の抜本改正または撤廃と、国がJT株を全て放出することが必要です。

3)最後にJT広報担当者の言い分をそのままナマで(本人のインタビューで)流していたが、これはニュースの中でJTの広報を行っていることと同義であり、それ自体がFCTCに違反している。その内容は、いつもと同じ「タバコ規制が強まっていることの一因には喫煙者のマナーの問題もあり、マナー向上につとめて喫煙者と非喫煙者の共存をはかりたい。タバコは500年の歴史を持つ文化であり、これからもその文化を培っていけるのではないか」などという全く意味のないもの。繰り返しますが、国際条約で規制すべき「悪」はタバコ会社の「利益のためには利用者の命など省みない」という企業として致命的な悪徳戦略(普通の企業だったら存立し得ない)であることを、報道関係者も国民も銘記してほしい。

4)自販機規制については、成人認識自販機にだけ触れているが、現状で(FCTC発効前から)違法状態にある全国60万台の自販機の摘発や撤去が先決であり、JTの「まやかし対策」である成人認識自販機にだけ言及するのは上記と同様にJT広報機関に成り下がっていると言えます。

たばこ規制条約 発効(読売)
[たばこ条約]「喫煙大国のままでいいだろうか」(読売社説)
「たばこ規制枠組み条約」発効 日本も4月から規制強化(朝日)
受動喫煙の診断基準作成へ 禁煙推進医師連盟(朝日)
たばこ条約――ひと箱千円だっていい(朝日社説)
【主張】たばこ規制条約 国民を煙から守る戦略を
(「タバコ」のかな表記については原文のまま。新聞社により永く保存されないページもあります)

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