踊る小児科医のblog

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福島の甲状腺がん18+25=43例 発生率は2-3/10万人に増加 二次実施者中の割合は変わらず

2013年08月21日 | 東日本大震災・原発事故
まず、新聞の速報だけ読んで増えた増えたと騒ぐのはやめようよ>脱原発派の方たち
誤解の無いように書き添えておきますが、私自身はフクシマ以前からずっと反核燃・脱原発の立場を明らかにして運動にもわずかながら関わってきました。
福島の甲状腺がん検診結果についても、非常に憂慮しつつデータを追い続けています。
大事なのは、まず自分の手でデータを見つめなおして、ごく簡単に解析してみること。

6月の時点での判断は当ブログのこのページにまとめてあります。

福島県の甲状腺がん検診結果をどう読むか 発生率1~2人/10万人はベラルーシと同じ
2013年06月11日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/7098ce074b9500449ee9c5f8dc2bfb52

今回はそれと比較してみます。

第12回「県民健康管理調査」検討委員会(平成25年8月20日開催)配布資料
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809

表 6月発表と8月発表(今回)の比較

(↑クリックして拡大。別ウインドウが開きます)

全部まとめてエクセルに入れてみました。黄色く塗りつぶした部分が今回のデータです。
甲状腺がんは確定18+疑い25=43人
前にも書いたように、疑い例のほとんどはがんと推測されるので、「確定+疑い」例を10万人あたりの有病率で表すと、6月の15.5から今回は22.3と上昇しています。

これを「スクリーニング効果が10倍(10年分まとめて診断している)」というやや過剰な数字で割ると1/10になるので、発生率は10万人あたり約2人という計算となり、前回推定した1-2人/10万人よりも多めになりそう。
特に、初年度(2011年)の発生率は3人/10万人を超えてきたことには注意が必要。
経過観察の時間が長くなれば、いずれの年度ももう少し増えてくる可能性は高い。
2012年度は、まだ二次検査が対象者の半分以下に留まっているので、実数はまだまだ増えることになります。

ただし、二次検査実施者中(今回は二次終了者中)の割合でみていくと、「確定+疑い例」は2012年度対象者でもほぼ同じ6%台で推移しています。
2011年度の数字は上昇していますが、分母が今回は終了者でとっているので、前回よりも小さくなっている分も加味されています。

これを見るかぎり、今回この2ヶ月で新たな知見が加わったわけではなく、これまでのデータから推測される範囲内で増え続けていると判断することができます。

どこまで増えるのか?
単純に36万人×20人/10万人(有病率)とすると、一巡したところで72人という数字が目安になるでしょう。

福島県の36万人の未成年から72人の甲状腺がんが発見される。
いくら10代後半の年長児が中心とは言っても、心穏やかに推移を見守るというわけにはいかないでしょう。(特に当事者の親にとっては)

結局、わからないという前回と同じ結論になりそう。
二巡目、三巡目までみてみないと。
そこまでで10年はかかる。

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