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福島の甲状腺がん検査の患者数の推計式を感度・特異度でグラフ化してみました

2013年04月04日 | 東日本大震災・原発事故
少し前に書いた福島の甲状腺がん検査の患者数の推計式をグラフ化してみました

福島の甲状腺がん検査の患者数は? 感度・特異度により3人?12人?(応用できる一般式付き)
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/6a02a115e45411901a865df6cf4dcb34

有病者数を「x」、感度「s」、特異度「p」
検査陽性者数「m」、陰性者数を「n」とすると、
x=(pm-(1-p)n)/(s+p-1)
となる、ということを説明しました。
(この式を一見してわかることは感度よりも特異度の方が重要だということ)

ここで、感度と特異度によって有病者数(ここでは甲状腺がん患者数)を推計するグラフを書くために、(わかりにくくて申し訳ないが)変数を入れ替えて、有病者数xを「y」に、特異度を変数にして「x」とします。

x=(pm-(1-p)n)/(s+p-1)
  ↓
s=0.8, 0.85, 0.9, 0.95, 1.0
p→xに
m=10
n=66
x→yに

書き換えて数値を代入した式
y=(76x-66)/(x+s-1)

y=(76x-66)/(x-0.2) s=0.8
y=(76x-66)/(x-0.15) s=0.85
y=(76x-66)/(x-0.1) s=0.9
y=(76x-66)/(x-0.05) s=0.95
y=(76x-66)/x s=1.0


(クリックして別ウィンドウで拡大)

グラフは上から下に感度s=0.8, 0.85, 0.9, 0.95, 1.0の順
横軸(x)が特異度、縦軸(y)が甲状腺がん患者数の推計値

このグラフをみると、
感度・特異度がいずれも1.0の時は10人になる(当たり前か)
感度が低下すれば取りこぼしが多くなり患者数は増える(上の曲線)
特異度が0.99以上あれば10人かそれ以上となる(感度1.0はあり得ないので)
最初に議論の前提となった特異度0.9では偽陽性が多すぎるので考えにくい

細胞診で取り逃しはあっても正常細胞をがんと判定することは考えにくい(特異度0.99以上)ので、10人前後という数字の可能性が高い。

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