八戸市医師会学校医研修会「小中学校における喫煙防止教育 喫煙率ゼロと受動喫煙ゼロを達成するために」
平成26年11月29日(土)
未成年の喫煙率ゼロという「お題目」の本質は、学校教育や家庭のしつけの問題ではない。教職員、両親や家族、大人社会が「タバコを吸ってはいけない」という共通認識の元に、自らの喫煙率ゼロを目指さない限り達成できない。
喫煙は人とメディアを介して広がる流行病(epidemic)であり、20世紀には1億人が死亡し、このまま放置すれば21世紀には10億人が殺される。青森県は最短命県で喫煙率は男性1位、女性2位(いずれも2010年)であり、小中高生の父親の5割以上、母親の4分の1が喫煙者である。親が喫煙者だと子どもの喫煙経験率は倍増し、母親が吸うとその傾向はさらに強まる。子どもの喫煙は大人が原因である。
日本人の死亡原因のトップは高血圧や運動、食塩などを引き離して「喫煙」であり、青森県の脱短命県政策は順序が間違っている。喫煙はそれ自体が病気(ニコチン依存症+喫煙関連疾患)で、喫煙者は積極的治療を要する患者であり、禁煙は最も確実かつ短期間に大量の疾病や死亡を劇的に減らすことのできる方法である。
英国医師は自らの調査で「タバコは寿命を10年縮める」ことが判明し、1960年代にタバコと決別したが、日本では1970年代末にようやくピークを過ぎ、そのツケを現在支払わされている。タバコは老化促進剤であり、非喫煙者の倍のペースで死亡していく。35~69歳の喫煙死者の平均損失余命は22年である。
喫煙者がだまされている最大の嘘は「ストレス解消神話」である。ニコチンによる一時的な多幸感は、反復摂取によって耐性を生じ、摂取回数や量が増加してニコチン依存症が形成される。同時に、二次的な環境刺激による「条件づけ(条件反射)」によって心理的依存が生まれ、ニコチン欠乏時の渇望(ストレス)が増強される。非喫煙者にはこのストレスは存在しない。タバコはストレスを増加させ、禁煙するとストレスは減少するというのが真実である。
受動喫煙により世界で毎年約60万人が死亡しており、そのうち約16万人は小児である。乳幼児突然死症候群により国内で毎年150人前後の乳児が死亡しているが、現在ではタバコの関与が最も大きいと推測されている。喫煙者の家庭のPM2.5は平均30μg/m3高く、受動喫煙による生涯死亡リスクは10~20%に達する。これは「放射線被曝100mSvによる0.5%増加」の20倍以上のリスクであり、環境基準(10万人に1人)にするには全面禁煙しかない。
WHOタバコ規制枠組み条約(FCTC)受動喫煙防止ガイドラインの求める「例外なき全面禁煙」の実施期限が2010年だったにも関わらず、日本では飲食店などの公共的施設の喫煙が放置されている。飲食店を全面禁煙にした国では心筋梗塞や脳卒中が15~20%減少したと報告されている。水俣病やアスベストなどと同様に、命よりも金が優先される政治が続いている。
「タバコは嗜好品で依存性は弱い。分煙で受動喫煙は防げる。タバコ税で社会に貢献」などといった神話はいずれも意図的な嘘や詭弁である。「タバコを吸う権利なんぞガキと貧乏人と黒人とバカにくれてやる」というタバコ会社重役の発言をビデオで紹介し、真実を学んでいる。
FCTCの求めるタバコ税大幅増税や画像警告により莫大な数の命が救えるにも関わらず実施されない。タバコ会社から広告収入を得ているメディアは、FCTCでタバコ産業の広告やスポンサーシップが禁止されていることを報じない。
「タバコに害があるから吸わないようにしよう」ではなく、タバコで誰が儲けて誰が損をしているか、どんな真実が隠されているのかを自分で判断できるようになることが重要であり、危険ドラッグなどの様々な問題にも通じる。
禁煙治療により楽に禁煙できる。喫煙する親には子どもから直接伝えるのが効果的である。
平成26年11月29日(土)
未成年の喫煙率ゼロという「お題目」の本質は、学校教育や家庭のしつけの問題ではない。教職員、両親や家族、大人社会が「タバコを吸ってはいけない」という共通認識の元に、自らの喫煙率ゼロを目指さない限り達成できない。
喫煙は人とメディアを介して広がる流行病(epidemic)であり、20世紀には1億人が死亡し、このまま放置すれば21世紀には10億人が殺される。青森県は最短命県で喫煙率は男性1位、女性2位(いずれも2010年)であり、小中高生の父親の5割以上、母親の4分の1が喫煙者である。親が喫煙者だと子どもの喫煙経験率は倍増し、母親が吸うとその傾向はさらに強まる。子どもの喫煙は大人が原因である。
日本人の死亡原因のトップは高血圧や運動、食塩などを引き離して「喫煙」であり、青森県の脱短命県政策は順序が間違っている。喫煙はそれ自体が病気(ニコチン依存症+喫煙関連疾患)で、喫煙者は積極的治療を要する患者であり、禁煙は最も確実かつ短期間に大量の疾病や死亡を劇的に減らすことのできる方法である。
英国医師は自らの調査で「タバコは寿命を10年縮める」ことが判明し、1960年代にタバコと決別したが、日本では1970年代末にようやくピークを過ぎ、そのツケを現在支払わされている。タバコは老化促進剤であり、非喫煙者の倍のペースで死亡していく。35~69歳の喫煙死者の平均損失余命は22年である。
喫煙者がだまされている最大の嘘は「ストレス解消神話」である。ニコチンによる一時的な多幸感は、反復摂取によって耐性を生じ、摂取回数や量が増加してニコチン依存症が形成される。同時に、二次的な環境刺激による「条件づけ(条件反射)」によって心理的依存が生まれ、ニコチン欠乏時の渇望(ストレス)が増強される。非喫煙者にはこのストレスは存在しない。タバコはストレスを増加させ、禁煙するとストレスは減少するというのが真実である。
受動喫煙により世界で毎年約60万人が死亡しており、そのうち約16万人は小児である。乳幼児突然死症候群により国内で毎年150人前後の乳児が死亡しているが、現在ではタバコの関与が最も大きいと推測されている。喫煙者の家庭のPM2.5は平均30μg/m3高く、受動喫煙による生涯死亡リスクは10~20%に達する。これは「放射線被曝100mSvによる0.5%増加」の20倍以上のリスクであり、環境基準(10万人に1人)にするには全面禁煙しかない。
WHOタバコ規制枠組み条約(FCTC)受動喫煙防止ガイドラインの求める「例外なき全面禁煙」の実施期限が2010年だったにも関わらず、日本では飲食店などの公共的施設の喫煙が放置されている。飲食店を全面禁煙にした国では心筋梗塞や脳卒中が15~20%減少したと報告されている。水俣病やアスベストなどと同様に、命よりも金が優先される政治が続いている。
「タバコは嗜好品で依存性は弱い。分煙で受動喫煙は防げる。タバコ税で社会に貢献」などといった神話はいずれも意図的な嘘や詭弁である。「タバコを吸う権利なんぞガキと貧乏人と黒人とバカにくれてやる」というタバコ会社重役の発言をビデオで紹介し、真実を学んでいる。
FCTCの求めるタバコ税大幅増税や画像警告により莫大な数の命が救えるにも関わらず実施されない。タバコ会社から広告収入を得ているメディアは、FCTCでタバコ産業の広告やスポンサーシップが禁止されていることを報じない。
「タバコに害があるから吸わないようにしよう」ではなく、タバコで誰が儲けて誰が損をしているか、どんな真実が隠されているのかを自分で判断できるようになることが重要であり、危険ドラッグなどの様々な問題にも通じる。
禁煙治療により楽に禁煙できる。喫煙する親には子どもから直接伝えるのが効果的である。