平成26年度母子保健講習会
メインテーマ「子ども支援日本医師会宣言の実現を目指して - 9」
平成27年2月22日(日) 東京都・日本医師会館
講演
1)医師の地域偏在、診療科偏在について
厚生労働省医政局総務課長 土生栄二
医療法が平成26年に改正され、2025年問題に向けて地域医療構想の策定が進められ、地域医療介護総合確保基金が各県に配分される。小児科医・産科医は増加しており、周産期母子医療センターや小児救急医療体制も整備してきたが、地域間格差、地域内格差が大きい。医学部定員は1509人増加し、平成28年以降、地域枠医師が313~564人誕生する。地域医療支援センターによる偏在への対応や、女性医師が働きやすい環境整備も進めている。新たな専門医制度の中で地域格差の是正機能が期待される。
2)妊婦のメンタルヘルスについて
日本産婦人科医会会長 木下勝之
妊産婦メンタルヘルスへの取り組みは遅れている。医療機関における相談事業には妊娠を望まぬ妊婦は受診せず、行政窓口も機能していない。NPOのメール相談などの仕組みが不可欠である。虐待事例は妊娠期の心の問題や産後うつ病、母子関係性障害に起因することが多い。予防には妊娠期からの取り組みが必要で、健診時の心のスクリーニング、保健師や精神科医との連携、産後カウンセリングへの公費導入、評価とフォローアップ体制の構築が急務である。
シンポジウム「子育て支援をめぐる諸問題について」
1)低出生体重児への子育て支援
大阪府立母子保健総合医療センター
母子保健情報センター長 佐藤拓代
増え続けてきた低出生体重児の割合は平成17年ごろから横ばいとなった。体重別出生数では2000g未満は変化しておらず、3500g以上が減少している。低出生体重児は虐待のリスクが高く、約2倍という報告もある。退院直後が親の不安は最も大きい。心理的、社会経済的要因、家族関係などの家族アセスメントを行い、親がSOSを出せるようなパートナーシップを基本として、保健師と連携した支援を行っている。
2)小児の在宅医療について
国立成育医療研究センター総合診療部
在宅診療科医長 中村知夫
小児の在宅医療は社会的に認知されておらず、介護保険も使えない。非がん患者が多く、長く生きることが前提で、成長・学習の支援、24時間介護者が必要などの特徴がある。連携拠点事業が平成26年度から9都県で実施されている。開業医の関与は未解決な問題が多い。医療型入所施設への通園・通所や短期入所(レスパイト)、成人期に達した患者への中核病院(小児科以外)との連携などが求められている。
3)子どもの発達障害について
Rabbit Developmental Research代表
平岩幹男
子どもから成人まで100万人以上が発達障害を抱えている。診断を受けられないリスクもあるが、早期診断が療育に繋がらないと早期絶望となり、虐待のリスクを増やす。発達障害があると自己肯定感が低下し、二次障害に繋がる。20歳の時のQOLを高めることを目指す。発達性読み書き障害は低学力児と扱われていることも多く、会話能力とテストの差があれば疑う。
4)特別養子縁組の取り組みについて
さめじまボンディングクリニック院長
鮫島浩二
虐待死は0歳、0ヶ月、日齢0児の割合が高く、多くは実母の加害による。「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」は子の幸せを第一に考慮し、次に実母の心のケアを大切にして養子縁組を行っている。養子縁組を優先させず、環境が整って撤回する場合もある。謝礼や寄付金も受け取らない。養親は45歳までとし、入院教育も行う。子どもには幼児期より告知する。
(八戸市医師会報に掲載予定)
メインテーマ「子ども支援日本医師会宣言の実現を目指して - 9」
平成27年2月22日(日) 東京都・日本医師会館
講演
1)医師の地域偏在、診療科偏在について
厚生労働省医政局総務課長 土生栄二
医療法が平成26年に改正され、2025年問題に向けて地域医療構想の策定が進められ、地域医療介護総合確保基金が各県に配分される。小児科医・産科医は増加しており、周産期母子医療センターや小児救急医療体制も整備してきたが、地域間格差、地域内格差が大きい。医学部定員は1509人増加し、平成28年以降、地域枠医師が313~564人誕生する。地域医療支援センターによる偏在への対応や、女性医師が働きやすい環境整備も進めている。新たな専門医制度の中で地域格差の是正機能が期待される。
2)妊婦のメンタルヘルスについて
日本産婦人科医会会長 木下勝之
妊産婦メンタルヘルスへの取り組みは遅れている。医療機関における相談事業には妊娠を望まぬ妊婦は受診せず、行政窓口も機能していない。NPOのメール相談などの仕組みが不可欠である。虐待事例は妊娠期の心の問題や産後うつ病、母子関係性障害に起因することが多い。予防には妊娠期からの取り組みが必要で、健診時の心のスクリーニング、保健師や精神科医との連携、産後カウンセリングへの公費導入、評価とフォローアップ体制の構築が急務である。
シンポジウム「子育て支援をめぐる諸問題について」
1)低出生体重児への子育て支援
大阪府立母子保健総合医療センター
母子保健情報センター長 佐藤拓代
増え続けてきた低出生体重児の割合は平成17年ごろから横ばいとなった。体重別出生数では2000g未満は変化しておらず、3500g以上が減少している。低出生体重児は虐待のリスクが高く、約2倍という報告もある。退院直後が親の不安は最も大きい。心理的、社会経済的要因、家族関係などの家族アセスメントを行い、親がSOSを出せるようなパートナーシップを基本として、保健師と連携した支援を行っている。
2)小児の在宅医療について
国立成育医療研究センター総合診療部
在宅診療科医長 中村知夫
小児の在宅医療は社会的に認知されておらず、介護保険も使えない。非がん患者が多く、長く生きることが前提で、成長・学習の支援、24時間介護者が必要などの特徴がある。連携拠点事業が平成26年度から9都県で実施されている。開業医の関与は未解決な問題が多い。医療型入所施設への通園・通所や短期入所(レスパイト)、成人期に達した患者への中核病院(小児科以外)との連携などが求められている。
3)子どもの発達障害について
Rabbit Developmental Research代表
平岩幹男
子どもから成人まで100万人以上が発達障害を抱えている。診断を受けられないリスクもあるが、早期診断が療育に繋がらないと早期絶望となり、虐待のリスクを増やす。発達障害があると自己肯定感が低下し、二次障害に繋がる。20歳の時のQOLを高めることを目指す。発達性読み書き障害は低学力児と扱われていることも多く、会話能力とテストの差があれば疑う。
4)特別養子縁組の取り組みについて
さめじまボンディングクリニック院長
鮫島浩二
虐待死は0歳、0ヶ月、日齢0児の割合が高く、多くは実母の加害による。「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」は子の幸せを第一に考慮し、次に実母の心のケアを大切にして養子縁組を行っている。養子縁組を優先させず、環境が整って撤回する場合もある。謝礼や寄付金も受け取らない。養親は45歳までとし、入院教育も行う。子どもには幼児期より告知する。
(八戸市医師会報に掲載予定)