先週の個展にいらしたお客様で巣鴨在住の方も何人かおられた。巣鴨にお住まいだという方には、お勧めの外食先を尋ねてみたのだが、そのなかでフランス亭の名が挙がった。この店はチェーン店の「ふらんす亭」とは全く関係が無いのだが、ハンバーグを定番にしているところは同じだ。2009年1月に帰国して最初の1ヶ月は、このフランス亭のあるマンションの斜め向かいにあるウイークリーマンションで寝起きしていて、フランス亭のあるマンションにも部屋を見にでかけたことがあり、その存在は以前から気になっていた。
昭和の洋食屋のような構えで、店先のショーウィンドーに並んでいるサンプルは埃にまみれている上に、その値札の文字も色褪せている。ただ、窓の向こうでちらちら動くシェフと思しき人影は、何時見ても白衣に細長い白い帽子をかぶっており、そこだけに別の時間が流れているかのような風情だ。気軽に入ることのできる雰囲気ではなく、なんとなく覚悟を決めて入口の扉を開けなければならないような感覚に囚われるのである。
その名を挙げた個展のお客様は「ハンバーグがおいしい」とおっしゃっていた。今日は陶芸の帰り道、ハニービーンズに寄って豆を買った後、フランス亭を訪れた。偶然なのか、ほぼ毎日なのか知らないが、今日の日替わり定食はハンバーグ定食。ランチ時間終了間際だったので、食べ終わりそうな客がひとりだけで、その人も私が料理を待っている間に出ていってしまった。店内の雰囲気は昔の純喫茶のようだ。店名にちなんでのことなのか、壁にはパリの風景の写真が額に収まって掛けられている。店先のサンプル同様、額の写真もかなりの年代物だ。
素直に日替わり定食を注文すると、キッチンからはパテをまとめるペタンペタンという音が聞えてきた。注文を受けてからハンバーグを丸めるというのは、なんとなく「あなただけのために、今こうして作っています」というような感じがして良い気分だ。
しばしばこのブログで話題にさせていただいているAero Conceptの菅野さんも同じようなことをおっしゃっている。Aero Conceptの鞄にはたくさんものが入らない。それは使う人が、その時々で必要最小限のものだけを収めて、「あなただけに会いにきました」という気持ちを表現して欲しいとの思いから、敢えて目的に応じた大きさのものしか作らないのだそうだ。
日替わり定食なら、おそらくその日のメニューのなかで最も注文が多いと予想されるものだろう。それを作り置きするのではなく、それでも注文を受けてから作り始めるというところに、店主の意気のようなものが感じられる。ハンバーグというのは洋食の定番のひとつなので、この店のハンバーグが飛びぬけて美味しいとは言えない。しかし、注文するとキッチンからパテをまとめる音が聞えてくることの豊かさを味わうことができるというのは嬉しいことだ。肉厚のパテにナイフを入れると肉汁が出てきて、上にかかっているデミグラスソースと交じり合う。そのソースを丹念に絡めて口に入れれば、当然の如くに愉快な気分になるものだ。
昭和の洋食屋のような構えで、店先のショーウィンドーに並んでいるサンプルは埃にまみれている上に、その値札の文字も色褪せている。ただ、窓の向こうでちらちら動くシェフと思しき人影は、何時見ても白衣に細長い白い帽子をかぶっており、そこだけに別の時間が流れているかのような風情だ。気軽に入ることのできる雰囲気ではなく、なんとなく覚悟を決めて入口の扉を開けなければならないような感覚に囚われるのである。
その名を挙げた個展のお客様は「ハンバーグがおいしい」とおっしゃっていた。今日は陶芸の帰り道、ハニービーンズに寄って豆を買った後、フランス亭を訪れた。偶然なのか、ほぼ毎日なのか知らないが、今日の日替わり定食はハンバーグ定食。ランチ時間終了間際だったので、食べ終わりそうな客がひとりだけで、その人も私が料理を待っている間に出ていってしまった。店内の雰囲気は昔の純喫茶のようだ。店名にちなんでのことなのか、壁にはパリの風景の写真が額に収まって掛けられている。店先のサンプル同様、額の写真もかなりの年代物だ。
素直に日替わり定食を注文すると、キッチンからはパテをまとめるペタンペタンという音が聞えてきた。注文を受けてからハンバーグを丸めるというのは、なんとなく「あなただけのために、今こうして作っています」というような感じがして良い気分だ。
しばしばこのブログで話題にさせていただいているAero Conceptの菅野さんも同じようなことをおっしゃっている。Aero Conceptの鞄にはたくさんものが入らない。それは使う人が、その時々で必要最小限のものだけを収めて、「あなただけに会いにきました」という気持ちを表現して欲しいとの思いから、敢えて目的に応じた大きさのものしか作らないのだそうだ。
日替わり定食なら、おそらくその日のメニューのなかで最も注文が多いと予想されるものだろう。それを作り置きするのではなく、それでも注文を受けてから作り始めるというところに、店主の意気のようなものが感じられる。ハンバーグというのは洋食の定番のひとつなので、この店のハンバーグが飛びぬけて美味しいとは言えない。しかし、注文するとキッチンからパテをまとめる音が聞えてくることの豊かさを味わうことができるというのは嬉しいことだ。肉厚のパテにナイフを入れると肉汁が出てきて、上にかかっているデミグラスソースと交じり合う。そのソースを丹念に絡めて口に入れれば、当然の如くに愉快な気分になるものだ。