万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

職場いじめ労災認定―微妙な判決

2010年06月24日 17時44分58秒 | 社会
職場のいじめで精神障害=富士通元社員の労災認定―大阪地裁(時事通信) - goo ニュース
 富士通元社員の女性が、職場でのいじめが原因で精神障害を発症したとして、労災の認定を求めた裁判で、大阪地裁は、原告の主張を認めたと報じられています。しかしながら、この判決、なかなか微妙なのではないかと思うのです。

 事件の全容は詳しくは報じられておらず”いじめ”の原因が職務から生じたものなのか、原告に対する個人的な理由であったのか、判然としません。原告には、何らの職務上の問題がなかったにもかかわらず、女性が上司ということだけで、部下の女性達が”いじめ”たとしますと、女性がポストに就いたこと自体が”いじめ”の原因であったことになります。そうしますと、労災は成立するかもしれませんが、女性が、女性の足を引っ張ったという構図になります。

 また、もし、原告の女性に職務上の問題点があったとしますと、女性たちの”いじめ”は、正当な批判であった可能性もあります。男女問わず、仕事に対する非難や批判は日常茶飯事ですし、仕事上の失敗は、社員が普通に知るべき情報でもあります。もし、社内の批判に耐えきれずに、原告が精神障害になったのであれば、労災の認定は怪しくなります。

 精神障害の発症には個人差があり、同程度のストレスを受けても、発症する人もいれば、しない人もいます。同じ言葉を聞いても、気にする人もいれば、耳を素通りしてしまう人もいるのです。もし、精神障害を安易に労災と認めますと、企業は、なるべく精神的にタフな人材を雇用するようになることが予測されいます。神経のか弱い人は、たとえ能力に恵まれていたとしても、就職に際して不利となるかもしれません。

 ”いじめ”のない職場は望ましいことですし、そのためには、企業でも、全ての社員の不満やストレスを和らげるよう、努力を払うべきかもしれません。しかしながら、精神障害に対する労災の認定には、より慎重であるべきではないかと思うのです。

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コメント (13)
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