万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

党首・幹事長交代―最も安易な選挙戦略か?

2010年06月10日 18時00分12秒 | 日本政治
一人で辞任は無責任=小沢氏(時事通信) - goo ニュース
 鳩山首相と小沢幹事長の2トップが辞任した途端、民主党政権の支持率は、60%台に跳ね上がり、次期参議院選挙で民主党に投票すると応えた人の率も大幅に上昇したようです。もしかしますと、この数字、2トップ辞任への評価なのではないかと思うのです。

 本日の新聞記事で、悪役を作り、その悪役を退治する英雄として新たなリーダーが登場してくるシナリオは、小泉政権の手法と良く似ているとの指摘を読みました(本日付産経新聞朝刊)。考えてもみますと、党首交代は、政党にとって、これほど楽をして支持率を回復する方法はないと言えるかもしれません。何故ならば、自らの仲間内で自作自演することができるからです。普天間基地移設問題が混迷化した理由の一つは、利害対立を調整できなかったからであり、外国政府や地方自治体、あるいは、他の政党が関係する問題の解決は一筋縄ではいきません。国家の重要な問題の解決は、常に、困難が伴うのです。しかしながら、党内の問題であるならば、当人達が合意さえすれば、簡単に解決することができるのです。こうして、本来は、自らでまいた種なのですが、それが、混迷を深めるほど、混乱の後に現れたリーダーが、国民の目には、頼もしく映ってしまうのかもしれません。

 実際、首相と幹事長の辞任劇が、書かれた筋書き通りであったのかどうか、分かりませんし、民主党の党内に自浄作用が働いた可能性もあります。しかしながら、政権発足後、民主党が、常々国民を軽視してきたことを考えますと、シナリオがあった可能性をどこかで疑っておくべきなのかもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする