万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国債という時限爆弾

2010年06月05日 13時58分20秒 | 国際経済
ハンガリー、ギリシャのような危機に陥るリスク=首相報道官(トムソンロイター) - goo ニュース
 政府が資金難に陥った時、国債発行ほど便利な方法はありません。しかしながら、この便利さは、仇となる可能性が高いのです。

 増税ともなりますと、国民から強い反発を受けますが、国債の発行ですと、この反発を難なく避けることができます。このため、政権与党は、選挙へのマイナス影響も心配しなくて済みます。また、銀行からの融資ですと、多額の資金調達には無理がありますが、小口に分けた国債ですと、資金が集まりやすくもなります。株式と違い、国債保有者に経営=政治への参加権を認めなくてよいことも、国債の魅力の一つです(中国のように、外交的圧力のカードとして使う国もありますが・・・)。

 政府にとりましては、国債は、よいとこ尽くめではありますが、その代わりに、危機は後からやってくるというリスクがあります。何故ならば、償還時期が設定されており、この”返済期限”がくると、必ず現金で償還しなければならないからです。加えて、利払いをしなければならなりません。政府は収益事業を行っているわけではありませんので、利払いは一方的な歳出増となります。このことは、時間の経過とともに、リスクが増大してゆくことを意味しています。

 ハンガリーは、ギリシャとは違い、ユーロには参加していませんので、中央銀行による救済という非常手段は使えますが、外国通貨建てで国債を発行している場合には、デフォルトは避けられなくなります。現在開催されているG20では、財政状況が悪化している国に対して財政再建を求めたと報じられていますが、国債リスクは、世界各国共通の問題になりつつあると思うのです。

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コメント (38)
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