万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

電力使用制限令―危機の本質は産業の衰退と空洞化

2011年04月05日 15時16分54秒 | 日本政治
今夏、電力使用制限令を発動へ…石油危機以来(読売新聞) - goo ニュース
 海江田経済産業省は、福島第1原発の自己による電力不足への対応として、夏場のピーク時における電力使用制限令の発動を検討しているようです。しかしながら、この対策、危機の本質を見誤っていると思うのです。

 電力不足によって生じる最大の危機は、産業の空洞化です。電力の供給が不十分な状態が長期化すれば、既存の工場の稼働率が低下すると共に、新たに工場を新設することも難しくなります。東電の管轄地域全域にわたって、産業地帯としての立地条件が失われる怖れがあり、企業の中には、海外に生産拠点を移す動きも出てくるかもしれません。現に、日本企業の工場誘致を表明している国もあります。この結果、当然に、失業者も増加し、我が国の経済規模は、縮小に向かうことになります。

 政府が第一になすべきことは、電力供給量の減少による産業の衰退と空洞化を防ぐ方策を考え抜くことであり、統制経済よろしく電力使用制限令を出しても、何らの問題解決にもならないのです。電力供給量の低下への対応は、民間企業のサバイバル作戦にも負うところが大きいのですから、政府は、民間との協力の上でこの危機を乗り越えるべきと思うのです。

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コメント (69)
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