万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

汚染水放出―説明と配慮不足が招く全漁連の怒り

2011年04月06日 15時50分10秒 | 日本政治
「許し難い行為」全漁連会長、汚染水放出に抗議(読売新聞) - goo ニュース
 東電が、昨日から、何らの事前報告もなく、低濃度の放射能汚染水の放出を開始したため、全漁連の怒りは頂点に達しているようです。風評被害も相まって、原発事故の漁業への打撃は深刻です。

 全漁連が憤るのも、政府や東電が、正確な情報を、国民に伝えてこなかったことも原因しています。本日のニュースでは、一号機の燃料棒は7割が損傷しているのではないか、との見解が報じられておりました。このニュースから推測しますと、放水による原子炉の冷却を優先しないと、格納容器から溶けだした放射性物質が大量に漏れ出し、拡散するという事態を招きかねない状況にあるのかもしれません。にもかかわらず、政府や東電は、情報を小出しにする一方で、安全を強調するのですから、国民の多くは、安易な海洋汚染の許容と受け取りかねないことになります。

 汚染水の放出に先だって、東電は、漁業関係者や国民に対して、やむを得ない措置であったことを丁寧に説明し、全漁連に対しては、発生する被害に対して補償の用意があることを伝えるべきでした。マイナス情報を隠すよりも、正直に公表し、合わせて対応策をも提案すれば、よほど、国民の協力や理解を得られるのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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