万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”工作員にならなかった男”―日本国は”密入国者天国”か

2011年04月23日 15時43分22秒 | 国際政治
工作員にならなかった男の44年 「逮捕、ほっとした」(朝日新聞) - goo ニュース
 北朝鮮で工作員教育を受けながら、工作員になることを拒否した韓国籍男性の半生が、朝日新聞に掲載されたそうです。この手記、読者の同情心に訴えようとして掲載したのかもしれませんが、意図せずして、我が国の出入国管理が如何に杜撰であり、かつ、公安上の危険にさらされているかを、明かしていると思うのです。

(1)在日韓国・朝鮮人の来日理由
 戦前の徴用による来日者の数は、全体の5%ほどと指摘されてきましたが、この男性もまた、1964年に密入国したものであり、先の指摘を裏付けています。朝鮮戦争による動乱以降、多数の密入国者が侵入したにもからわらず、日本国政府は、そのほとんどを見過ごしたことになります(在日60万人のうち、子孫を除いたとしても万単位・・・)。この点、自国民の大量密航を取り締まらなかった韓国政府にも責任が利ます。

(2)地方自治体のノー・チェック
 この男性は、日本人女性と婚姻し、家族とともに日本で生活を送っていたそうです。地方自治体において外国人登録を行っていなかったとすると、どうようにして、職を見つけ、子供達を学校に通わせ、地域社会で生活を送ってきたのか、不思議なことです。地方自治体は、全く、チェックを行っていないのでしょうか。

(3)韓国籍の北朝鮮工作員の存在
 北朝鮮の工作員は、朝鮮籍に限るわけではなく、韓国籍であっても、工作活動に従事している人々が多数、日本国内に存在していることも明らかになりました。この男性の告白が、”美談”扱いされているのも、北朝鮮からの”命令”を拒否したからであり、当然、工作員となることを受け入れた人々もいたはずです。

(4)武器使用の訓練
 北朝鮮での訓練では、拳銃や手榴弾の使い方を教わり、”何かあれば、騒ぎをおこせ”とも言われていたそうです。この男性の場合には、工作の目的は韓国国内であったそうですが、おそらく、同様に、日本国内での”破壊活動”を命じられている工作員もいるはずです。

 これまで、日本国民の多くは政府を信頼し、政府や公安が、密入国者や工作員をしっかりと取り締まってきたものと信じてきました。しかしながら、この信頼と期待は裏切られ、この男性が44年間も逮捕されなかったように、現実は、”密入国者天国”なのかもしれないのです。しかも、密入国者の中には、北朝鮮の工作員が潜んでいるのですから、危険この上もありません。我が国は、大震災といった災害に見舞われやすい国、つまり、混乱が発生しやすい国なのですから、政府は、密入国者と工作員のより一層厳格な取り締まりに務めるべきと思うのです。

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コメント (20)
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