万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

大震災の教訓―”最悪の事態に備えよ”

2011年04月18日 14時55分22秒 | 日本政治
内閣の震災対応「評価しない」60% 朝日新聞世論調査(朝日新聞) - goo ニュース
 東日本大震災では、想定外の事態が頻発し、日本国政府や東電などのリスクに対する認識の甘さが問題視されるようになりました。福島の第1原発の事故は、その象徴的な事件となったのです。こうして、大震災を機に、リスク管理の不備が露呈することになったのですが、それには、以下のような原因があるようです。

 これまで、日本国の現場では、安全第一をモットーに徹底的なリスク管理が行われてきました。日本人の国民性は、事前にリスクを避ける傾向が強く、このため、実際にリスクが発生した時の対処の策定を疎かにしてきたきらいがあります。リスクは発生以前に防止できるはず、とする思い込みが、”最悪の事態”に対する備えを手薄にしてしまったのです。

 もう一つの原因は、”最悪の事態”の発生を口にすること自体が、あってはならないリスクを認めたことになる、とする心理です。”原発神話”とは、この心理に基づくものであり、ある意味において、現在の憲法第9条への信仰と共通しています。事故であれ、外国から攻撃されることであれ、起きる可能性を完全に否定しますので、対策を立てる必要性を認めることも許さないのです(せっかくに、国内でも原発作業用ロボットを開発しながら、”原発神話”を理由に放棄してしまった・・・)。

 東日本大震災は、こうしたリスクに対する甘い認識を一変させ、”最悪の状態になえよ”という貴重な教訓を残すことになりました。そうしてそれは、理想に逃げ込まずに現実を直視し、そのリスクを見据えることでもあるのです。

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コメント (10)
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