タイでの日中協力事業 中国「一帯一路の一環」
本日3月7日の日経新聞朝刊の第一面には、スパイ容疑でアメリカから‘排除処分’を受けている中国IT大手のファウエイが、日本の電子部品メーカーに対して発注量を増やしているとの記事が掲載されておりました。
同記事では、米企業からの供給が細っているため、サプライチェーンを維持するためにファウエイは、当面、目途に在庫の積み増す必要があったと説明しております。その一方で、こうした動きは、米中貿易戦争の長期化を見越したサプライチェーンの再構築である可能性も否定はできません(ファウエイは、2019年の計画として現在64億ドルの日本企業との取引額を80億ドルに増やす予定…)。仮に後者であれば、ファウエイからの誘いは、日本国、並びに、日本企業にとりましては魔の誘いとなりそうなのです。ファウエイの誘いに応じれば企業の受注高も増え、輸出も拡大するわけですから、経済的な観点からすれば一種の‘戦争特需’ともなり得ます。“米中貿易戦争は日本経済にとってはチャンス”とする楽観的な観測の多くは、敵対し合う米中両国の間にあって双方から代替需要を取り込む状況の到来を期待しています。
果たして、米中貿易戦争は、楽観論者が主張するように日本国のみが‘戦争特需’を享受することを許すのでしょうか。仮にこれが許される条件が存在するとしますと、日本国が中立国であるか、あるいは、政治と経済が完全に分離された状態にある必要があります。しかしながら、日本国がこうした条件を満たしているのかと申しますと、そうではないようです。
先ずもって日本国はアメリカの軍事同盟国であり、中立国ではありません。米中貿易戦争は、既に通商上の貿易不均衡問題の次元を越えており、ファウエイ排除とは、まさに米中対立の政治化を象徴する事件でもありました。仮にトランプ政権が経済合理性に徹していたのであれば、‘安価で高品質の製品’を提供するファウエイを排除するという決断はあり得なかったはずです。情報漏洩という安全保障上の重大な懸念があったからこそ、ファウエイ製品はG5の政府調達から締め出されたのであり、同盟国が中国を‘仮想敵国’と見なした以上、同盟国である日本国もまた、有事に至らない段階にあっても中立を主張できず、法的義務はなくとも道義上の対米協力義務が生じるのです。
それでは、アメリカから対中制裁に関する協力を求められた場合、日本国は、この要請を政経分離論を以って拒否できるのでしょうか。しばしば、政経分離論は対韓関係において用いられており、竹島問題や慰安婦問題などの政治的な対立点があっても、経済的には協力を進めるべきとする‘ご都合主義’の論法です。この論法によって、韓国は過激、かつ、常軌を逸するような反日政策を実行しても何らの経済制裁をも受けずに済んできました。対中関係にあっても、経済面に限定して対中関係を発展・深化させることができるとする主張も、基本的にはこの経済優先主義に立脚しています(経済的な利益を得られれば、自国の安全保障や人道は犠牲になっても良いと考える…)。
しかしながら、この政経分離論は、対韓関係以上に対中関係では通用し難い論法となりましょう。何故ならば、対韓関係では日本国のみが韓国からの仕打ちを忍耐すれば事済みますが、対中関係にあっては、アメリカがそれを許さない可能性が高いからです。上述したように、アメリカは、オバマ前政権にあってその傾向の強かった政経分離路線から既に離れ、中国との対立関係を政治のステージに乗せています。つまり、アメリカは、中国との間の取引関係を継続させ、その軍事力強化、あるいは、‘中国の夢’の実現に間接的に貢献している日本企業をも制裁対象に含める可能性が高いのです。さらには、経済面で対中協力を維持している日本国をも‘仮想敵国’と見なすかもしれません。今般の中国からの誘いには経済的利益を誘因とした日米離反の政治的狙いが潜んでおり、日本国に仕掛けられた罠であるかもしれないのです。また、さらにその先を見据えれば、中国企業は電子部品を内製化し、日本企業は‘使い捨て’にされることでしょう(もっとも、中国は、日本国を自陣営に留めるために、日本企業に対して下請けや子会社としての役割や地位は残すかもしれない…)。
日本国政府は、‘民間企業の経営判断に任せる’として、‘逃げ’の態度で対応するのでしょうが、その影響は日米同盟にまで及びますので、‘我、関せず’では、あまりにも無責任なように思えます。あるいは、敢えて積極的に対応しないことで、中国陣営入りを目指しているのでしょうか。中国で開催される一帯一路会議には、日本国から親中派の筆頭である二階自民党幹事長が出席すると伝わり、また、中国は、タイにおいて日中協力の下で実施される第三国市場での協力事業について、日本国が一帯一路構想に参加したとアピールしているそうです。
国際社会において中国に対する逆風が強まる中、仮に日本国政府が中国に靡くとしますと、ナチス・ドイツと三国同盟を締結した戦前と同じく、安倍政権は、日米同盟を御破算にして国民監視体制を敷く邪悪な独裁国家と手を結んだ過去の歴史が思い起こされます。日本国民の誰もがこうした悲劇的な展開は望んではいないはずです。中国からの魔の誘いには先の先を予測し、手遅れとならぬよう傷が浅いうちに意を決して断る勇気が必要なように思えるのです。
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本日3月7日の日経新聞朝刊の第一面には、スパイ容疑でアメリカから‘排除処分’を受けている中国IT大手のファウエイが、日本の電子部品メーカーに対して発注量を増やしているとの記事が掲載されておりました。
同記事では、米企業からの供給が細っているため、サプライチェーンを維持するためにファウエイは、当面、目途に在庫の積み増す必要があったと説明しております。その一方で、こうした動きは、米中貿易戦争の長期化を見越したサプライチェーンの再構築である可能性も否定はできません(ファウエイは、2019年の計画として現在64億ドルの日本企業との取引額を80億ドルに増やす予定…)。仮に後者であれば、ファウエイからの誘いは、日本国、並びに、日本企業にとりましては魔の誘いとなりそうなのです。ファウエイの誘いに応じれば企業の受注高も増え、輸出も拡大するわけですから、経済的な観点からすれば一種の‘戦争特需’ともなり得ます。“米中貿易戦争は日本経済にとってはチャンス”とする楽観的な観測の多くは、敵対し合う米中両国の間にあって双方から代替需要を取り込む状況の到来を期待しています。
果たして、米中貿易戦争は、楽観論者が主張するように日本国のみが‘戦争特需’を享受することを許すのでしょうか。仮にこれが許される条件が存在するとしますと、日本国が中立国であるか、あるいは、政治と経済が完全に分離された状態にある必要があります。しかしながら、日本国がこうした条件を満たしているのかと申しますと、そうではないようです。
先ずもって日本国はアメリカの軍事同盟国であり、中立国ではありません。米中貿易戦争は、既に通商上の貿易不均衡問題の次元を越えており、ファウエイ排除とは、まさに米中対立の政治化を象徴する事件でもありました。仮にトランプ政権が経済合理性に徹していたのであれば、‘安価で高品質の製品’を提供するファウエイを排除するという決断はあり得なかったはずです。情報漏洩という安全保障上の重大な懸念があったからこそ、ファウエイ製品はG5の政府調達から締め出されたのであり、同盟国が中国を‘仮想敵国’と見なした以上、同盟国である日本国もまた、有事に至らない段階にあっても中立を主張できず、法的義務はなくとも道義上の対米協力義務が生じるのです。
それでは、アメリカから対中制裁に関する協力を求められた場合、日本国は、この要請を政経分離論を以って拒否できるのでしょうか。しばしば、政経分離論は対韓関係において用いられており、竹島問題や慰安婦問題などの政治的な対立点があっても、経済的には協力を進めるべきとする‘ご都合主義’の論法です。この論法によって、韓国は過激、かつ、常軌を逸するような反日政策を実行しても何らの経済制裁をも受けずに済んできました。対中関係にあっても、経済面に限定して対中関係を発展・深化させることができるとする主張も、基本的にはこの経済優先主義に立脚しています(経済的な利益を得られれば、自国の安全保障や人道は犠牲になっても良いと考える…)。
しかしながら、この政経分離論は、対韓関係以上に対中関係では通用し難い論法となりましょう。何故ならば、対韓関係では日本国のみが韓国からの仕打ちを忍耐すれば事済みますが、対中関係にあっては、アメリカがそれを許さない可能性が高いからです。上述したように、アメリカは、オバマ前政権にあってその傾向の強かった政経分離路線から既に離れ、中国との対立関係を政治のステージに乗せています。つまり、アメリカは、中国との間の取引関係を継続させ、その軍事力強化、あるいは、‘中国の夢’の実現に間接的に貢献している日本企業をも制裁対象に含める可能性が高いのです。さらには、経済面で対中協力を維持している日本国をも‘仮想敵国’と見なすかもしれません。今般の中国からの誘いには経済的利益を誘因とした日米離反の政治的狙いが潜んでおり、日本国に仕掛けられた罠であるかもしれないのです。また、さらにその先を見据えれば、中国企業は電子部品を内製化し、日本企業は‘使い捨て’にされることでしょう(もっとも、中国は、日本国を自陣営に留めるために、日本企業に対して下請けや子会社としての役割や地位は残すかもしれない…)。
日本国政府は、‘民間企業の経営判断に任せる’として、‘逃げ’の態度で対応するのでしょうが、その影響は日米同盟にまで及びますので、‘我、関せず’では、あまりにも無責任なように思えます。あるいは、敢えて積極的に対応しないことで、中国陣営入りを目指しているのでしょうか。中国で開催される一帯一路会議には、日本国から親中派の筆頭である二階自民党幹事長が出席すると伝わり、また、中国は、タイにおいて日中協力の下で実施される第三国市場での協力事業について、日本国が一帯一路構想に参加したとアピールしているそうです。
国際社会において中国に対する逆風が強まる中、仮に日本国政府が中国に靡くとしますと、ナチス・ドイツと三国同盟を締結した戦前と同じく、安倍政権は、日米同盟を御破算にして国民監視体制を敷く邪悪な独裁国家と手を結んだ過去の歴史が思い起こされます。日本国民の誰もがこうした悲劇的な展開は望んではいないはずです。中国からの魔の誘いには先の先を予測し、手遅れとならぬよう傷が浅いうちに意を決して断る勇気が必要なように思えるのです。
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