米航空2社、飛行計画通知=中国の防空圏通過で―ロイター報道(時事通信) - goo ニュース
中国が一方的に防空識別圏を設定した際、日本国政府は、中国側の要請に応えて中国当局に飛行プランの提出を行おうとした民間航空会社を押しとどめました。この問題に対して、日米両国は、通告なしで軍用機を飛行させるなど、強固な結束の下で対処してきましたが、昨日、アメリカ政府が、”期待”という表現であれ、民間航空会社による事前通知を促したとするニュースが飛び込み、日本国内では困惑が広がっています。それでは、何故、アメリカは、民間航空機の事前通知を容認したのでしょうか。
第1に推測される理由は、アメリカ自身もADIZを設定しているため、ADIZの範囲や圏内での中国軍の強硬な管轄権行使は認めないものの、その設定行為だけは認めたというものです。一昨日までの声明において、日米が揃ってADIZの全面的な撤廃を求めたばかりですので、アメリカの対応がいささか後退した感がありますが、相互主義の文脈から、自国が他国の航空会社に求めている事前通告だけは、同様に中国側にも認めたのかもしれません。日本国にとりましては、中国のADIZの設定範囲や管轄権行使そのものが自国の安全保障を脅かしていますので、この点、日米の温度差は、致し方ない側面もあります。
第2に想定される理由は、アメリカ国内における中国融和派が、この決定に影響力を与えたことです。アメリカ政界では、中国ロビーが活発に展開されていますし、政財界では中国との結びつきが強い一派も存在しています。時にして国防省と国務省の対立が観察されるように、アメリカ政府も決して一枚岩ではありませんので、事態の展開によっては、二つの顔が交互に現れることもあります。米中二国による世界の分割コントロールを目指すG2論が、中国のみならずアメリカサイドからも聞こえてくるのは、一部ではあれ、米中連携勢力があるからです。
第3に、アメリカは、敢えて民間航空会社に飛行プランを提出させることで、中国に対して自国の民間機の安全を迫ったとも考えられます。ADIZの仕組みでは、当局に事前通告された航空機に対してスクラブルをかけるということはしません。つまり、この場合、中国軍が、民間機に対して”指示”や”武力による防御的な緊急措置”をとらないよう、間接的に中国軍の行動を牽制していることになります。
日本国政府曰く、この情報の真偽は未確認ということですので、まずは、正確な情報を収集することが先決ですが(追記:実際の会見では、民間航空会社の自主的判断に対して、アメリカ政府が、今のところ、提出の停止を求めていない、といったニュアンスらしい…)、懸念すべきは、中国側がアメリカの譲歩と解釈することです(もっともこの点に関しては、アメリカも釘を刺している…)。日本国政府によるICAOでの検討提起案は、アメリカをはじめイギリスやオーストラリアも賛意を示したと報じられておりますので、今度こそ、結束して中国の野望を封じるべきではないかと思うのです。
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中国が一方的に防空識別圏を設定した際、日本国政府は、中国側の要請に応えて中国当局に飛行プランの提出を行おうとした民間航空会社を押しとどめました。この問題に対して、日米両国は、通告なしで軍用機を飛行させるなど、強固な結束の下で対処してきましたが、昨日、アメリカ政府が、”期待”という表現であれ、民間航空会社による事前通知を促したとするニュースが飛び込み、日本国内では困惑が広がっています。それでは、何故、アメリカは、民間航空機の事前通知を容認したのでしょうか。
第1に推測される理由は、アメリカ自身もADIZを設定しているため、ADIZの範囲や圏内での中国軍の強硬な管轄権行使は認めないものの、その設定行為だけは認めたというものです。一昨日までの声明において、日米が揃ってADIZの全面的な撤廃を求めたばかりですので、アメリカの対応がいささか後退した感がありますが、相互主義の文脈から、自国が他国の航空会社に求めている事前通告だけは、同様に中国側にも認めたのかもしれません。日本国にとりましては、中国のADIZの設定範囲や管轄権行使そのものが自国の安全保障を脅かしていますので、この点、日米の温度差は、致し方ない側面もあります。
第2に想定される理由は、アメリカ国内における中国融和派が、この決定に影響力を与えたことです。アメリカ政界では、中国ロビーが活発に展開されていますし、政財界では中国との結びつきが強い一派も存在しています。時にして国防省と国務省の対立が観察されるように、アメリカ政府も決して一枚岩ではありませんので、事態の展開によっては、二つの顔が交互に現れることもあります。米中二国による世界の分割コントロールを目指すG2論が、中国のみならずアメリカサイドからも聞こえてくるのは、一部ではあれ、米中連携勢力があるからです。
第3に、アメリカは、敢えて民間航空会社に飛行プランを提出させることで、中国に対して自国の民間機の安全を迫ったとも考えられます。ADIZの仕組みでは、当局に事前通告された航空機に対してスクラブルをかけるということはしません。つまり、この場合、中国軍が、民間機に対して”指示”や”武力による防御的な緊急措置”をとらないよう、間接的に中国軍の行動を牽制していることになります。
日本国政府曰く、この情報の真偽は未確認ということですので、まずは、正確な情報を収集することが先決ですが(追記:実際の会見では、民間航空会社の自主的判断に対して、アメリカ政府が、今のところ、提出の停止を求めていない、といったニュアンスらしい…)、懸念すべきは、中国側がアメリカの譲歩と解釈することです(もっともこの点に関しては、アメリカも釘を刺している…)。日本国政府によるICAOでの検討提起案は、アメリカをはじめイギリスやオーストラリアも賛意を示したと報じられておりますので、今度こそ、結束して中国の野望を封じるべきではないかと思うのです。
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