らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

Hugo Wolf

2009年12月03日 23時53分22秒 | クァルテット
 例の事業仕分けのおかげで、毎日落ち着きが無く不安な日々にさらされていますが、前を向いてゆかなくてはなりませんので、今日は、山形Q第34回定期演奏会にプログラミングしたフーゴ・ヴォルフについて少し書きます。定期演奏会の際に配っているプログラムではスペースがあまり無いので、ブログに書きます。

 Hugo Wolf フーゴ・ヴォルフ(1860~1903)
は、オーストリア出身のスロヴェニア系作曲家で、そのキャリアはブラームス派を妥協なく辛辣に評する音楽評論家として始まりました。ワーグナー派を賛美する極端な音楽評論家だったようです。

 それは作曲を志しブラームスを訪ねたとき、言われたアドバイスを自分への批判と受け取ったためとも言われています。当時ワーグナー派とブラームス派の対立に便乗して仕事を得ていたとも言えます。

 性格的な神経質さと激しさを併せ持っていたとも言われていて、周りの支援なくしては生活が成り立たないほどの気難しさがあったそうです。

 作曲家としての評価は、歌曲の作曲家というイメージですが、弦楽四重奏曲もニ短調の弦楽四重奏曲とイタリアのセレナード ト長調(1886)など3曲あります。

 ヴォルフは、梅毒に冒されて精神的に病んでしまい精神病院へ強制的に入れられたり、自殺未遂をするなど狂気のまま42歳で亡くなるのですが、元気で一番創作活動も活発だった時に作曲されたのが、イタリアのセレナード ト長調(1886)です。

 曲はイタリアの気候や気質のようにカラっと晴れわたっているような、陽気な節回しが続きます。ヴォルフが神経質で他人への批判めいたことばかり口にするような人物像はとても想像できないです。音楽はその人の本質をあらわすと言いますから、もしかしたらヴォルフの本当の性格はこういう明るい面もあったのかもしれませんね。

 曲は、ヴォルフ自身の手により1892年に管弦楽曲に編曲されています。

 オーケストラの定期演奏会のプログラムの中心は交響曲に偏ってしまいがちですが、弦楽四重奏団の定期演奏会でも何某作曲の弦楽四重奏曲第**番のような曲が選曲されがちで、この曲のような小品が選曲される事が少ないのです。今回の山形Qの定期演奏会では、このH.Wolfや林光の小品を入れることによって目新しさを求めてみました。

 小品は、楽章がない分、その短時間に全てがつまっているので実は演奏面で非常に難しさがあります。しかし、やりがいは沢山あります。実はこのイタリアのセレナード ト長調は私が山形響に入団が決まる直前に東京で最後の弦楽四重奏のコンサートに参加した時に演奏した思い出深い曲です。10年ちょっとぶりの演奏ですので、楽しみにしています。

 ちなみに来年2010年はヴォルフの生誕150周年記念の年です。

 
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