廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

15年ぶりに戻って来て驚いたこと ②

2013年12月02日 | Jazz雑記
10か月ほど前(2013年3月頃だったかな?)、何年振りかに新宿のdisk unionに行ったらジャズ館という綺麗な店舗があって、
その3FのCD中古フロアに行ったら「廃盤コーナー」というのがあって、とても驚きました。

廃盤コーナーって・・・、CDのくせに・・・、と訳が分からずにそこに置かれている商品を手に取ってみて、これまたビックリ!

「中身はカウンターにおいてございます」とのスタンプ文字が押されているじゃないですか。
しかも、値段が14,000円って・・・ これ、Steve Kuhn が Ron Carter と一緒にヴィレッジ・ヴァンガードでライヴ録音したやつじゃない? 
昔、国内盤のBlackHawkというレーベルから普通に売ってやつじゃないの? 
しかも、あれって、音質が悪くて(音圧が異常に低くて、音が籠っていた)聴くに耐えなかったよ、確か。
(実際は、手に取っていたのは「Life's Magic」とは別の盤でしたが。)

CDが1万円越え、というのが衝撃的で、しかもよく見るとそういうのがゴロゴロ置いてあります。

そうかあ、とうとうCDの世界もこんなことになってたのね、と溜め息が出ました。
マニアの皆様からみれば失笑ものなんでしょうが、やはり15年のブランクは相当のものだなということを実感したのでした。

その後調べてみたら、案の定、仕掛けたのはdisk unionと専門誌だったんですね。
日本人マニアって、本当にマスメディアに弱いんですね。

私がコレクターをやめる少し前にも、同じことが起こっていました。
寺島靖国さんの「辛口JAZZノート」が発売されて、その影響で Zoot Sims の Fontana盤やJoni James のレコード価格がいきなり高騰し出しました。
特にひどかったのは Joni James で、新宿の「八月社」ではMGMの When I Fall In Love が60,000円で飾られていました。 
本が出て、わずが1~2か月後のことだったと思います。

ネットが無かったあの時代にああいうマニア本が出るのはありがたかったんですが、だからと言って、多くの人があの本に載ったレコードを
奪い合ったのは本当に情けないことでした。 当時大学生だった私は、そういうさもしい大人たちの振舞いを見て、
こういうのを"団塊の世代"と言うんだな、恥だ、とお金がなくて買えないひがみ根性も手伝って苦々しく思っていました。

でも、今の大人たちも何も変わってないんですね。 ハハハ。

CDって、いくらでもプレスできるじゃないですか、メーカーがサボりさえしなければ。 
それに、同じタイトルでも、発売時期が新しくなればなるほど高音質化していく。
なのに、未だにdisk unionの中古CDコーナーには「初版」というコメント入りで何千円もの値段がついて並んでいて、すぐに売れてしまいます。

さっぱり理解できません。


コメント (3)
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15年ぶりに戻って来て驚いたこと ①

2013年12月02日 | Jazz雑記
レコードマニアから足を洗っていた15年の間に廃盤市場ではいろいろ状況に変化があったようで、
その中でも一番驚いたのは次の2点でした。


①欧州盤の価格高騰と崩壊

②廃盤中古CD市場の出現



復帰後、いろいろ本や雑誌を読んだりネットも一通り目を通しましたが、欧州ジャズってマニアの方々が騒ぐほど、大して良くはありません。
確かにいいレコードもありますが、数は少ないんじゃないかなあ。

当時の欧州市場がアメリカほど大きくなかったので元々発売枚数が少なく、現在となってはそのほとんどが稀少盤になった、というだけですよね。 
で、稀少だからオリジナルはありがたいってことになって、内容も良く聴こえるだけ、ということだと思います。 

アメリカのようにブルースをルーツに持たないせいで、アメリカのジャズとは曲の雰囲気が根本的に異なるから、新鮮に聴こえたりする。

欧州盤には、黒人ジャズメンのレコードがほとんどありません。階級社会なので、録音なんて認められなかったんでしょう。
実際にヨーロッパ旅行に行ってまず驚くのは、黒人の数の多さです。 特に、パリという街には黒人が大勢います。 
にもかかわらず、レコードはほとんどありません。

ジャズは輸入音楽だったので、50年代後半になってようやくビ・バップのコピーが始まります。 
わかりやすい例が、これ。





もう、モロ、パーカー&ガレスピーのコピーです。 まるで、カーネギーホールの10inchを聴いているかのよう。
この盤で聴かれるJacques Pelzer のアルトの音色は、パーカーに似ています。 
(もちろん、音の張りやフレーズのスピード感はパーカーの足許にも及びませんが。)

で、59~60年頃にようやくハード・バップのコピーが始まって、62年頃からモードのコピーが始まる。
遅れていることをまるで恥じるが如く、一番おいしいところを駆け抜けてしまった。
それは、まるで大急ぎで早送りされたビデオテープを観ているかのようです。

だから、どのミュージシャンも自分のスタイルを極めることなく、最盛期を終えてしまいました。
残されたレコードも数枚で、代表作と呼べるものも1枚か2枚あればいいほう。

そういう先人たちの失敗を見て学んだ新しい世代が立ちあがる80年代以降が、欧州ジャズの本当の始まりだったんだと思います。 


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はじめまして。

2013年12月02日 | 自己紹介
Jazz に魅せられて、30年が経ちました。

若い頃はオリジナル廃盤レコード蒐集をしていましたが、物欲に支配された自分にある時心底嫌気がさして、
1度コレクションを全て処分しました。

それから15年、レコード蒐集とは一切縁のない日々を過ごしてきましたが、人生の復路をかなり進んだ現在は、
物欲から解放されて純粋に音楽を楽しんでいます。

最近またぼちぼちとレコードを買ったりしていますが、ネットで毎日何かをチェックしたり廃盤店に足繁く通ったりすることはもうありませんし、
誰かのブログに載っているレコードを羨んで探したりすることもありません。

廃盤蒐集には確かに抗い難い魅力がありますが、一度やめるとその後はすごく楽になります。
その解放感を伝えられたらいいなと思い、ブログを始めることにしました。

よろしくお願いします。
コメント (2)
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