欧州ジャズを聴くなら、高価な半世紀前の廃盤を探すのも結構ですが、やっぱり、現代の演奏のほうがいい。
以前にも書きましたが、あのころの演奏はやっぱり発展途上で未消化のまま終わってしまった残念な記録の残骸です。
ただ、これはあながちミュージシャンたちばかりが悪かったわけではありません。 レコード制作者側にも問題がありました。
レコードを作る際、プロデューサーやアレンジャーがジャズのことがあまりわかっていなかったため、アメリカからスタッフを呼び寄せて
アレンジを任せたら、その人がウエストコーストで仕事をしていた人で、出来上がったレコードがミュージシャンが意図したわけでもないのに
いつの間にか欧州版ウエストコースト・ジャズになっていた、というケースが多かった。
こんなちぐはぐな状態の中でレコードが作られたのですから、いいものがそんなに多く残っているはずがありません。
それに比べて、現代の演奏家たちは自分のやりたいことができるので、あちらこちらでいい作品が出てきます。

Stella / Hans Kennel Group featuring Mark Soskin
Hans Kennel はスイスのトランぺット奏者ですが、あまり情報がない人です。 コレクターには僅かにEPが1枚知られている程度。
純粋なジャズをやっていた期間は例によって短かったようで、アルプホルンを吹いてアルプス音楽をやったり、ジャズ・ロックの常設バンドに
参加したり、とジャズ以外の活動のほうが忙しかったようです。
そんな中、1996年に制作されたこのCDは、ちょっと信じられないくらいかっこいいジャズになっています。
アルトサックスを入れたクインテットですが、このアルトがしっかり鳴っていて素晴らしい。 本当にひんやりとした冷たい空気が漂う中、
切れ味鋭いハード・バップが展開されて、各楽曲も素晴らしいです。 冒頭の曲を数十秒も聴けば、これは凄い、ただごとではない、
というのにすぐ気付きます。
Amazonでカナダのセラーから新品を買いました。 341円。 送料は別ですが、それにしても何なんでしょう、この値段・・・・
ジャケットデザインも酷いですね。 売る気、あるのか? と思ってしまいます。
2カ月ほど前、DU新宿店で「強力推薦盤」というコメント付きで1,800円で中古が出ていました。
DUの店員さん、よくわかってらっしゃる。 さすがです。 無くなるのは時間の問題なので、普通に買える今のうちにどうぞ。

Mare Mosso / Fabrizio Bosso Quartet
私が離れていた時期に盛り上がっていたらしい High Five Quintet のトランペット奏者、というくらいの知識しかありません。
そのグループだって、例のクイーンの「地獄に道連れ」をやってるアルバムしか知りません。
これは、グループの成功でメジャーレーベルでつまらないアルバムを連発するようになるのとは別のイタリアのレーベルでの録音で、
これがすごくかっこいいです。 ワンホーンで全編吹きまくっていますが、しっかりとしたピアノトリオをバックにして、
黄金を思わせる輝かしい音色で不思議と浮遊感のある演奏をしています。 なめらかなアップテンポもうるさくなく、バラードは
しっとりとしていて、これは素晴らしいです。
DU新宿ジャズ館で「傑作ハードバップ」のコメント付きで、1,600円。 騙されたつもりで買いましたが、これは買ってよかったです。
このように、現代の欧州ハードバップのいい録音は、実にいろんなところで見つけることができます。
こういうことをちゃんと知れば、訳のわからない高価な値段がついた廃盤レコードなんてだんだん欲しくなくなってきます。
高いお金を出したせいで、本当はつまらないと思っているのに、無理やり「素晴らしい」なんて自分に言い聞かせる必要もなくなってくるのです。
別に古いものや未熟なものに価値がないと言うつもりは全然なくて、古くても未熟でもいいものはいい、当然です。
うんざりするのは、以前にどこかで誰かが言ったり書いたりしたことをそのまま引用してきて、自分の意見として繰り返しているのを
見ることがあまりにも多い、ということです。
そういうのがレコードの値段を吊り上げている原因なんだと思います。 別に、お店のせいじゃないですよね。
以前にも書きましたが、あのころの演奏はやっぱり発展途上で未消化のまま終わってしまった残念な記録の残骸です。
ただ、これはあながちミュージシャンたちばかりが悪かったわけではありません。 レコード制作者側にも問題がありました。
レコードを作る際、プロデューサーやアレンジャーがジャズのことがあまりわかっていなかったため、アメリカからスタッフを呼び寄せて
アレンジを任せたら、その人がウエストコーストで仕事をしていた人で、出来上がったレコードがミュージシャンが意図したわけでもないのに
いつの間にか欧州版ウエストコースト・ジャズになっていた、というケースが多かった。
こんなちぐはぐな状態の中でレコードが作られたのですから、いいものがそんなに多く残っているはずがありません。
それに比べて、現代の演奏家たちは自分のやりたいことができるので、あちらこちらでいい作品が出てきます。

Stella / Hans Kennel Group featuring Mark Soskin
Hans Kennel はスイスのトランぺット奏者ですが、あまり情報がない人です。 コレクターには僅かにEPが1枚知られている程度。
純粋なジャズをやっていた期間は例によって短かったようで、アルプホルンを吹いてアルプス音楽をやったり、ジャズ・ロックの常設バンドに
参加したり、とジャズ以外の活動のほうが忙しかったようです。
そんな中、1996年に制作されたこのCDは、ちょっと信じられないくらいかっこいいジャズになっています。
アルトサックスを入れたクインテットですが、このアルトがしっかり鳴っていて素晴らしい。 本当にひんやりとした冷たい空気が漂う中、
切れ味鋭いハード・バップが展開されて、各楽曲も素晴らしいです。 冒頭の曲を数十秒も聴けば、これは凄い、ただごとではない、
というのにすぐ気付きます。
Amazonでカナダのセラーから新品を買いました。 341円。 送料は別ですが、それにしても何なんでしょう、この値段・・・・
ジャケットデザインも酷いですね。 売る気、あるのか? と思ってしまいます。
2カ月ほど前、DU新宿店で「強力推薦盤」というコメント付きで1,800円で中古が出ていました。
DUの店員さん、よくわかってらっしゃる。 さすがです。 無くなるのは時間の問題なので、普通に買える今のうちにどうぞ。

Mare Mosso / Fabrizio Bosso Quartet
私が離れていた時期に盛り上がっていたらしい High Five Quintet のトランペット奏者、というくらいの知識しかありません。
そのグループだって、例のクイーンの「地獄に道連れ」をやってるアルバムしか知りません。
これは、グループの成功でメジャーレーベルでつまらないアルバムを連発するようになるのとは別のイタリアのレーベルでの録音で、
これがすごくかっこいいです。 ワンホーンで全編吹きまくっていますが、しっかりとしたピアノトリオをバックにして、
黄金を思わせる輝かしい音色で不思議と浮遊感のある演奏をしています。 なめらかなアップテンポもうるさくなく、バラードは
しっとりとしていて、これは素晴らしいです。
DU新宿ジャズ館で「傑作ハードバップ」のコメント付きで、1,600円。 騙されたつもりで買いましたが、これは買ってよかったです。
このように、現代の欧州ハードバップのいい録音は、実にいろんなところで見つけることができます。
こういうことをちゃんと知れば、訳のわからない高価な値段がついた廃盤レコードなんてだんだん欲しくなくなってきます。
高いお金を出したせいで、本当はつまらないと思っているのに、無理やり「素晴らしい」なんて自分に言い聞かせる必要もなくなってくるのです。
別に古いものや未熟なものに価値がないと言うつもりは全然なくて、古くても未熟でもいいものはいい、当然です。
うんざりするのは、以前にどこかで誰かが言ったり書いたりしたことをそのまま引用してきて、自分の意見として繰り返しているのを
見ることがあまりにも多い、ということです。
そういうのがレコードの値段を吊り上げている原因なんだと思います。 別に、お店のせいじゃないですよね。