廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Yesterday's Gardenias

2013年12月29日 | Jazz LP (Pacific Jazz / World Pacific)

Russ Freeman Trio ( Pacific Jazz PJLP-8 )


Yesterday's Gardenias という古い唄が大好きで、この曲が入っているレコードやCDを見つけると、つい買ってしまいます。
昔、この曲が入ったグレン・ミラーのレコードを持っていて、よく聴きました。 できれば、また探して手に入れたいところです。

上記の Russ Freeman の小さなレコードにも、ちゃんと入っています。 原曲はノスタルジックなムードの曲ですが、ここでは快活なアップテンポに
アレンジされていて、これ以降のピアノトリオがこの曲を演奏する場合のスタンダードになっています。 この10inch盤は Joe Mondragon のベースの
音が綺麗に録れているので、ピアノトリオとしての快楽度が高いレコードです。

DUで6,300円で転がっていました。 
ジャケットのスレが酷いものが多くて買うタイミングが難しいレコードですが、これくらいならまあまあいいかな、と思いました。 





Steve Kuhn もこの曲を好んで録音しています。 Russ Freeman 同様、アップテンポでやりますが、とても上品な仕上がりでこれも大好きです。
ベースの Harbie Swartz とのデュオで録音した作品で、個人的に Steve Kuhn の一番の愛聴盤です。

私が大学1年の時に新譜として発売されて、その時から長い間聴いてきましたが、全然飽きません。 その時のジャケットデザインのほうが
好きなのですが、何年か前に未発表曲を含めて紙ジャケで再発されたので買い換えましたが、やっぱり最初のジャケットが好きなので、
中古で見つけたらまた買ってしまいそうです。




コメント (2)
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語りかけるピアノ

2013年12月29日 | Jazz CD
楽器を完全に自分のモノにして、まるで演奏家本人が語りかけてくるような演奏に出くわすことが稀にあります。

その筆頭はやはり Glenn Gould で、クラシックの音楽家にはそういう演奏をする人が結構います。
クラシックの演奏家の楽器の練習量は半端ではないので、楽器を完全にコントロールしてしまう人がやはり出てくるのですが、
ジャズの世界でも見かけることはあります。

ただ、ジャズの場合は練習量の結果として、ということではなさそうで、音楽を大きく総体的に捉えることができる人にそういう演奏ができることが
どうも多いような気がします。 まず挙げられるのは、デューク・エリントン。 この人の生み出した音楽やピアノ演奏の魅力をこんなチンケな
ブログの小さなページで語り切ることは不可能ですが、いずれは少しずつ触れていきたいと思っています。

そのエリントンのずーっと先の延長上に、Bob Florence という人が見えてくるような気がします。


Friends / Treasures / Heros Another Side Bob Florence piano solo

コレクターにはERAというマイナーレーベルから出されたピアノ・トリオ盤が中級廃盤として(中級廃盤って、何なの・・・)知られているでしょうが、
その後はビッグ・バンドの世界に移り、アレンジャー/作曲家として活躍した人です。 まあ、エリントンと同じパターンですね。
ジャズ・コンボという小さな器には収まり切れなかった人だった。

その彼が晩年、ソロでピアノを弾いたのがこのCDで、これが絶品です。

渋めのスタンダードをゆったりと語るように弾いていくのですが、もはやジャズという切り口では語り切れない深い音楽になっています。
1曲1曲が独立して録音されているというより、次から次へと思いつくままに演奏していくかのような感じで時間が流れていく。

ピアノが、そして音楽が、こちらにゆっくりとやってきて多くのことを語りかけてきます。
部屋の中が徐々に彼の澄み切ったピアノの音に満たされて、やがて湖水のようになり、水面がゆっくりと波打つ。

私にはかけがえのない、宝物のような音楽です。




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