Les Blue Stars / S/T ( 仏 Barclay 80076 )
ブロッサム・ディアリーが1952年に渡仏して、アニー・ロスやミシェル・ルグランの姉であるクリスチャンヌ・ルグランらと結成した男女混成コーラスが
このブルー・スターズで、一般的には "バードランドの子守唄" が収録されたアルバムが知られている。オリジナルは仏バークレーの10インチで、米国の
エマーシーから12インチで切られた方がよく見かけるが、このアルバムはアメリカではリリースされていない。収録された曲にジャズのスタンダードが
入っていないからかもしれないが、詳細はよくわからない。
男女混成の場合は1人の女性を中核にして男性のコーラスが厚みを持たせるのが普通だが、このグループのように両者の比重が対等なバランスで、という
のは、それが成功しているかどうかは別にして、珍しい。立ち上げたばかりのグループということもあってコーラスとしての完成度はまだまだだが、
後にダブル・シックスへと発展するこのグループの最初の姿が捉えられているのは貴重だ。
このレコードを聴いていると、コーラスの本場はやはりアメリカだったんだなと思う。アメリカのグループの取り組み方は本腰が入っており、完成度が
まったく違う。このブルー・スターズは仲間内でちょっと集まってみて、一斉にワーッと歌ってみました、という感じで、よく言えば手作り感がある。
ただフランスでは初の本格的なグループということだったのか、こうしてきちんとレコードが残っているのはよかった。
ブロッサム・ディアリーは程なくしてアメリカへ帰国するので、このグループとしては長続きしなかった。ただし、その意志を継いで次のグループへと
発展していることから、残されたメンバーにも手応えがあったに違いない。こうしてアメリカのジャズは欧州にその種を残していったのだ。