Dave Brubeck / In Berlin ( 独 CBS 62578 )
このレコードもマイルスのベルリンでのライヴ録音と同じパターンで、ドイツのCBSからのみ発売されて、アメリカでは発売されなかった。 この辺りの事情は
どうもよくわからない。 逆輸入のような形を嫌ったのかもしれないし、コロンビア・レーベルとして企画した録音ではなかったからかもしれない。
ドイツ以外では日本のCBS/SONYが発売しているだけで、ブルーベック・カルテットのレコードとしては珍しく触れる機会の少ない音盤かもしれない。
大きなコンサート・ホールだったようで、観客の拍手の量が凄い。 その熱に当てられたように、4人の演奏にも力が入っている。 アメリカのルーツ・ミュージック、
エリントンや自作のキラー・チューンを配した自己紹介的なプログラムだけど、その中に日本の印象を綴った "Koto Song" が入っているのが我々には嬉しい。
ライヴの演奏を聴くと、改めてこのグループの結束力の高さを思い知らされる。 たった4人で演奏しているとは思えないような柄の大きな音楽になっているし、
大衆性と抽象性のバランスも絶妙で、これはなかなか凄いと思う。 デスモンドのアルトのなめらかさもここに極まり、という感じだ。
アメリカのライヴ演奏は余裕たっぷりで洗練さを感じさせる演奏が多いけれど、このベルリンでのライヴは気合いの入った無骨さすら感じる演奏になっている。
いつもとは少し表情の違う彼らの様子が垣間見えるのは面白い。
それにしても、日本のレコード会社は生真面目にこういう音源もリリースしていたんだなあ、と感心する。 ドイツ盤はマイルスのレコードとよく似た感じの音質で、
若干ナローレンジ気味だけれど、こちらはモノラルとしてプレスされているので聴いていて不自然な感触はない。 デスモンドのアルトの音色も良好である。
ブルーベックの音楽って、あなどれない何かがあるような、最近、そう思うようになりました。
これは欲しいですね。
もちろん、あなどれませんよ、ブルーベックは。 ドナルド・フェイゲンも好きだと歌ってましたね。
もっとちゃんと聴かれるべきだと思います。