廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

心地好い衝撃、新たな探し物

2019年05月03日 | Jazz LP (Pacific Jazz / World Pacific)

The Mastersounds / In Concert  ( 米 World Pacific Records WP-1269 )


The Mastersounds というグループ名を聞いてメンバーをそらで言える人は果たしてどれほどいるだろう。 ましてや、そのアルバムを聴いたことがある
という人は? でも、中古レコード漁りをしている人の大半は彼らのレコードを見ているはずで、たいていの場合、それらは捨て値同然の値段でエサ箱の
隅っこで埃をかぶっている。 その姿はまるで誰か拾ってくれる人がやってこないかと目を閉じて静かに待っている捨て猫を想わせる。

聴かれた形跡のないきれいな盤から流れてきた音楽は信じられないほど洗練された初めての感触だった。 それはヴィブラフォン+ピアノトリオという
ありふれた編成だったが、流れてくる音楽はこれまでは聴いたことがない新鮮な感覚で溢れていた。 ベーシストのモンク・モンゴメリーはフェンダーの
エレクトリック・ベースを弾いている。 だから、サウンド全体が普通のジャズ・コンボよりも新しい。 そして、バディ・モンゴメリーのヴィブラフォンは
幻想的な光のカーテンが大きく揺れているように音が大きく外へと拡がっていく。 これには心地よい衝撃を受けた。

彼らのレコードはよく見かけるが、購買意欲のまったく湧かない装丁で手にすることすらせずに来てしまった。 これは探さなければいけない。
最近はこういうパターンが多い。 見ているようで、結局は何も見ていなかったというパターンである。 こうして探すレコードは減るどころか、
ますます増えていく。 愉しみが増えたということなので別に悪いことではないけれど、安レコ漁りもそれなりに深い沼だということである。
こういうのはリストアップされることもないから、足を使って探すしかない。 尤も、面倒くさいなあと思う反面、顔はにやけているかもしれない。
残った連休でどれだけ探せるかわからないけど、頑張って一巡してみるか。

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