廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

国内盤の底ヂカラ(その15)

2020年06月01日 | Jazz LP (国内盤)

Zoot Sims / Zoot  ( 日本ビクター SMJ-7425 )


音がいい。これには驚いた。下手したら、オリジナルよりこちらのほうが聴き易いかもしれない。

ステレオプレスだが、不自然なところがない。楽器の音が艶やかで非常にクッキリしている。ベースの音がよく鳴っていて、サウンド全体が分厚い。
これはイケる。

ズートの音色はズートらしさが失われておらず、実際に生で聴いたらこういう感じだったのだろうと思わせる説得力がある。これは楽しい。
ステレオの音場感で聴く "920 Special" はまったく別の新しい曲に聴こえる。もう1つの新しい "Zoot" を聴いているような印象が湧いてくる。
全体的に音楽がよりなめらかで繊細で、グッと洗練度が増している。オリジナルの乾いたサウンドで聴くとズートの好んだ古風な音楽のスタイルに
聴こえるが、このサウンドで聴くともっと現代的でスマートな音楽として立ち上がってくる。

版違いの聴き比べの楽しさはここにある。新たな発見があるから楽しいのであって、どちらが音がいいかという話ではない。
同じ1つの作品をいろんな角度で楽しめるというのは素晴らしいことだ。オリジナルと違う音質であるのは当たり前で、問題はオリジナルとは
違うもう1つ別の新しい価値を提供できているかどうかだろう。そして、この盤はそれに成功している。

国内盤、恐るべし。これだから安レコ漁りは止められない。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「いまさら盤」をいまさら語... | トップ | 国内盤の底ヂカラ(その16) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Jazz LP (国内盤)」カテゴリの最新記事