廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

DeAGOSTINIの心意気

2016年10月08日 | Jazz LP (Columbia)

Miles Davis / Kind Of Blue  ( DeAGOSTINIジャパン )


色々と話題になっているDeAGOSTINIのジャズ・LPレコード・コレクション、賛否両論振りが面白そうだったし、今週は何も成果がなかったこともあって
私も参戦することに。 DUに行くとたくさん置いてあって、ちょっと驚いた。

早速聴いてみたけど、一体これのどこに貶すところがあるの? というのが率直な感想。 素直に音楽を聴かせる、とてもいいクオリティーだ。
濡れたようなシンバルの音、深みのあるベース、丸みのあるアルト、静謐な空間表現、どれをとっても素直にいいと思う。 "So What" のイントロの
テーマが終わってチェンバースのベースが入ってくる瞬間なんて、身震いがするくらい迫力がある。 これのどこがまずいのか、私にはさっぱりわからない。

オリジナルと比べて云々、とつい言いたくなる気持ちもわかるけれど、そもそも別の工業製品なんだし、制作の目的も違うんだから、微細な所に違いがあるのは
当たり前だろう。 オリジナルにどこまで近づけるか、を目指している訳じゃない。 ジャズを聴いてみようという歓迎すべき人はこの高品質な音で聴けば
ジャズの素晴らしさに気付くきっかけになるだろうし、マニアはオリジナルとの相違点を探しながら愉しめば自尊心を満足させることもできるだろう。

まあ、これが5,000円ならオリジナルとの比較を神経質にやって、少しでも劣ったところが見つかればそれを糾弾すればいいけれど、990円だからね。
マニアを自認するなら、ディアゴスティーニ社の心意気に感じ入るのが正しいんじゃないだろうか。

うちにはモノラルの初版しかなくてステレオ初版との違いみたいなものはわからない。 でも、今からステレオ初版を買おうなんて元気はもうないから、
これで十分過ぎるくらいだ。 元々がモノラルとは根本的にサウンドの建付けが違うレコードだから、その違いをこれで愉しみながら過ごそうと思う。



Miles Davis / Kind Of Blue  ( 米 Columbia CL 1355 )



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