廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

エリントンとストレイホーン

2018年06月17日 | Jazz LP (Riverside)

Duke Ellington, Billy Strayhorn / Great Times! Piano Duets  ( 米 Riverside RM475 )


これはもちろんオリン・キープニューズが録ったわけではなく、1950年にマーサ・エリントンとレナード・フェザーが録音して、Mercer Records から10インチとして
発売されたものに、オスカー・ペティフォードとジョー・ジョーンズが加わった別セッション分を加えて、フル・スケールで発売された。 

キープニューズはマーサと復刻プロジェクトを始めたが、マスターテープを保管していたAPEXスタジオが火事で焼け、マザー・メタルが一部しか残っていなかった為、
2人はエリントン・コレクター達のところへ行き、サーフェス・ノイズの出ない10インチのレコードを探して借りてこなければいけなかった。 だから、このレコードは
マザー・メタルと板興しの混在で作られている。

当時パーティーの席で興が乗ったエリントンがストレイホーンと一緒に1台のピアノの前に座っていろんな曲を弾いて、その場にいた人たちを楽しませていたのを
見ていたレナード・フェザーがこの録音を思い付いたそうだが、確かにそういう余興的な高揚感に満ちた演奏になっていて、人々が笑いながら聴いていた
その頃のパーティー会場の光景が目に浮かんでくる。 愉しむために音楽をやっているんだ、ということが痛いほど伝わってくる。

エリントンがテーマを弾き、ストレイホーンがリフで下支えしていたかと思えば、今度はゴツゴツとしたブロック・コードをエリントンが叩き、ストレイホーンが
なめらかな旋律を紡ぐ、といった具合に入れ替わり立ち替わりながら音楽は進んで行く。 録音当時からどちらがエリントンでどちらがストレイホーンかが
話題になっていたそうだが、簡単にわかる箇所もあれば見失う箇所もあって、全てをトレースするのは難しい。 それでも、そういうことを考えながら聴くのは楽しい。
そう、これは楽しいことしかないレコードなのだ。 


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