Miles Davis / 'Round About Midnight ( 日本コロンビア PL 5062 )
エサ箱でこれを手にした時、ペラジャケ愛好家がなぜペラジャケを買うのかという疑問の答えがわかったような気がした。
これら国内初版はオリジナル盤と比べると音の質感が違うものが多いが、ペラジャケ愛好家にとってそういうのは重要なことではない。
製品としての魅力に惹かれて買うのだ。オリジナルとは音が違うということは頭ではわかっていながらも、ジャケットの淡い光沢だったり、
レトロな雰囲気だったり、盤を手にした時の重みだったり、そういう五感に直接訴えかけてくる何かに惹かれて買うのだ。
オリジナル盤を買うことを趣味とする人は、蒐集が一回りして買う物が無くなってくると、ステレオ・プレスや別国プレスに興味が移っていく。
レコードと戯れることが好きだから、買うことを止めることなんてできっこない。ディープでコアなマニアのSNSで、ステレオ・プレスの
音の良さを驚きをもって語られていないものはない。モノラルのオリジナルが唯一絶対と思い込んでいたのが、実はそうではなかったのだと
いうことにそこでようやく気が付く。
工業製品だからプレスが違えば物理的に音質が違ってくるのは当たり前で、そのことを目の当たりにした時にレコードへの偏愛に再び火が付く。
新しく目の前に現れた興味の対象に翻弄されながらも、レコードの魅力とはどれが一番音が良いかではない、それぞれに独自の魅力があるのだ、
ということがわかってくる。例えそれが自分好みの音ではなかったとしても、ジャケットの質感が好きだから、盤の手触りの質感が好きだから、
という理由で自分のお気に入りの列に加わることもあるのだ。そんな訳で、ペラジャケ愛好家はペラジャケを買うのだろう。
このアルバムも、アメリカのコロンビア盤とは音の質感は違う。録音が少し古いせいか、オリジナル盤はデッドな音場感で決して高音質という
感じではないが、楽器の音は太くしっかりとしている。それに比べてこのペラ盤の音は若干くすみがあり、やや大人しいかなという印象だが、
それでも悪くはない。
盤はレーベルがエンジで、フラット・エッジ。オリジナルよりも重い。盤の質感はこちらの方がいい。このタイトルのエンジ・レーベルは
カナダ盤の仕様で、アメリカ盤にもごく稀にあるらしいが、これはおそらくエラー・プレスだろう。グレン・グールドのバッハのパルティータの
レコードにも同じパターンがあるので、コロンビアでこういう事例は珍しくないようだ。米オリジナルは6ツ目でいいと思う。
ジャケットの写真の解像度も良好で、オリジナルとはまた違う趣がある。
但し、何でもかんでもペラジャケがいい、とまではやはり振り切れない。結局は物による。且つ、安くなければ買う気にもならない。
あくまでもそれは別荘であり、セカンド・ハウスだ。出物に遭遇した時にのんびりと買えばいいと思っている。
まさにおっしゃるとおりです。
ぼくがペラジャケにはまったのはこのレコードからでした。
ジャケットの色彩と盤の重量感に心惹かれました。
同じくペラジャケですがこのレコードは別ジャケットでも製作されていますよね。
もう1つのジャケットもいいですね、ライヴの模様の写真ですね。
ペラジャケにも何世代がプレスがあるみたいで、昔は熱心にレコードが作られていたんだなあと思います。
altomanさんのブログのようにきれいに写真が撮れなかったのが残念ですが、これはいいジャケットですね。
震災を機に更新する気持ちが失せ、そのままになっています。
変わらずレコ―ドは買っているのでまたいつか始めたいですが、ルネさんの文章を読んでしまったいまとなっては、とてもとてもです。
当時ぼくは写真ではなく、コピー機でスキャニングをしていました。
今後ともよろしくお願いします。
ペラジャケはシワが入りやすいので、そこがちょっと厄介ですね。
ジャズのペラジャケを早くから取り上げた先輩ブログとして、以前から拝見させていただいていました。
チェットのコレクションが凄くていつも見惚れていました。