廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

コンコードにおけるいいギター・ジャズ(その4)

2017年06月04日 | Jazz LP (Concord)

Ed Bickert / Bye Bye Baby  ( 米 Concord Jazz CJ-232 )


いいギター・ジャズのアルバムがあるレーベルはいいレーベルである、というのは間違いない。

デイヴ・マッケンナのピアノ・トリオをバックにビッカートが軽快にスイングする。 ピアノがいるのでコード演奏はそちらに完全に任せていて、ここでの
ビッカートはシングル・ノートで弾きまくっている。 こういうのは彼にしては珍しいかもしれない。 ギタリストにとってはあれこれと気を使わなくていいから、
このほうが楽でいいんだろうし、マッケンナの屈託ないピアノの影響もあってか、音楽全体が明るい。 休日の爽やかな早朝のような雰囲気がある。

それにしても、デイヴ・マッケンナという人は50年代の頃から何も変わってないな、というピアノを弾いている。 80年代になってもこういうご陽気なピアノを
弾いていて果たしていいんだろうか、という疑問がないわけではないけど、まあ、ここでの演奏のスコープはあくまでもゴキゲンな音楽をやることだから、
その目的はしっかりと達成している。 普段は大人しいビッカートも明らかにその雰囲気にあてられていて、前に出た演奏になっている。

キャノンボールが書いた "Things Are Getting Better" でのギターの緩くて長いソロがいい。 チョーキングを多用して曲想を演出しようとしているけど、
ちっともファンキーじゃないところが何となく可愛い。 ストレイホーンの "A Flower Is A Lonesome Thing" での漂うような哀感がいい。 

華麗なテクニックを披露するわけでもなく、ブルージーにシブくキメるわけでもないけれど、この人の淡々と音を紡いでいくギターはとても判りやすい。
クセのないテレキャスターの音は優しく耳に残る。 アルバムの最後に置かれたヴィンセント・ユーマンスの "Keeping Myself For You" の絶妙なリズム感と
テンダー・フィーリングが絶品で、アルバムが終わるのが勿体ない気分になる。 そして、いい音楽を聴いたな、という心地よい実感が残るのだ。


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