廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

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コンコードにおけるいいギター・ジャズ(その1)

2017年05月27日 | Jazz LP (Concord)

Herb Ellis, Freddie Green / Rhythm Willie  ( 米 Concord CJ-10 )


いいギター・ジャズのアルバムがあるレーベルは、いいレーベルである。 

コンコードが展開する音楽は如何にもアメリカの白人アッパーミドルをターゲットにした軟派なものだし、盤も量産されているので経済的価値もないし、
ということでコレクターが完全無視してくれるから中古市場ではそのすべてが安レコで、これがとにかくありがたい。 昔のノーマン・グランツの趣味を
現代に焼き直したようなカタログ内容で、スイングや中間派を土台にした現代ジャズというコンセプトも日本ではウケない。 ノーグランのスタン・ゲッツは
さしずめコンコードのスコット・ハミルトンになるんだろうけど、こちらもまったく相手にされない。

そんなコンコードには、いいギター・ジャズのレコードがたくさんある。 だから、コンコードはいいレーベルなんだと思う。

このハーブ・エリスとフレディ・グリーンという老巨匠が揃うアルバムは傑作だ。 集まったメンツの名前や演奏している曲名を見て昔のスイング系かという誤解を
されそうだけど、これがまったく違う。 スイングとかバップというような分類の話からはとっくに卒業している、何とも形容し難い高級な音楽だ。

和音楽器が3つあるにも関わらず、ハーブ・エリスはメロディー・ライン、フレディ・グリーンはリズム、ロス・トンプキンスは和声、と住み分けが上手くできており、
ハーモニーがぶつかって濁るということがない。 とてもすっきりとした見通しのいいサウンドになっている。 どの曲も非常に落ち着いた演奏になっていて、
ガチャガチャしたところもない。 針を降ろす前の想像とのギャップの大きさに驚かされる、とてもおだやかな大人の音楽だと思う。

ここまでくるとギター・ジャズという言葉すら突き抜けてしまっているけれど、それでもギターの魅力が溢れている。 このレーベルはいいレーベルなのだ。


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