Frank Sinatra / Christmas Songs by Sinatra ( 米 Columbia CL 6019 )
クリスマス・レコードは夏に拾うことが多い。暑い夏の日に自宅のレコードを整理していると「こんなのいらないな」という気分になるのかも
しれない。そういうのを拾ったはいいけど、やっぱりすぐに聴く気にはなれないのでこちらも冬が来るまで寝かせておき、寒さが本格的に
なってくるとゴソゴソと取り出してきて聴き始める。
シナトラはコロンビア在籍時にSP録音で、キャピトル在籍時にモノラル録音でそれぞれクリスマス・ソングを歌っている。キャピトル盤は
ゴードン・ジェンキンス指揮による私の長年の愛聴盤だが、こちらはアクセル・ストーダルが指揮をしている。コロンビア時代のシナトラは
キャピトル時代とはまるで別人のような歌い方で、まだ個性は確立されていない。曲によっていろんな人の影響が感じられる。
ここでの"White Cheistmas" なんてビング・クロスビーの影響が顕著で、発声の仕方から声のトーンまでそっくりだ。おそらくこのままで
いっていたら彼は途中で消えていたかもしれないが、レーベルを移って別人へと変貌する。
そんなまだ若い頃の控えめな青年の歌が収められたこの10インチは何から何までノスタルジックだ。アクセル・ストーダルのスコアは
クリスマスのイメージに忠実で、程よく荘厳でたっぷりとノスタルジー。短い楽曲の中で、シナトラは原曲のメロディーをストレートに歌う。
ただそれでけでこんなにもクリスマスのムードが溢れるのだから、クリスマス楽曲というのは偉大だ。だから、そのレコードもノスタルジーで
あればあるほどよく、他には何もいらない。そういう意味ではこれはクリスマス・アルバムのお手本のようなレコードだ。