報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの誕生日プレゼントを買いに行く」 2

2020-10-03 19:43:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月3日13:30.天候:曇 東京都墨田区江東橋 都営バス錦糸町駅前停留所→テルミナ(ヨドバシカメラ・マルチメディア錦糸町)]

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございました。次は終点、錦糸町駅前、錦糸町駅前。……〕

 私達を乗せた都営バスは無事に終点に到着した。
 降車用のバス停に到着すると中扉が開き、ぞろぞろと降りる。

 愛原:「じゃあ、何から買おうか」
 高野:「先生、お勧めのパソコンからでいいんじゃないでしょうか?マサのは後でで」
 愛原:「そうか」

 私達もバスを降りると、その足でJR錦糸町駅へと向かった。
 しかし駅構内に入るのではなく、その駅ビルに用がある。
 そして、その駅ビルの中にある家電量販店に入った。

〔まあるい緑の山手線♪真ん中通るは中央線♪〕

 愛原:「といってもあまり高スペックな、高額のPCは勘弁してくれな?」
 リサ:「うん」

 あくまで表向きはオンライン授業に対応できるスペックだ。
 あとはネットでもできればいいか。
 幸いネットは、家で引いたWi-Fiに繋げればOKだ。

 愛原:「えーと、ノートPCでウェブカメラの付いているもの……」

 私が予算と相談しながらノートPCを探していると、高橋も何だか物色し始めたぞ。

 高野:「マサは自分で買いなさいよ」
 高橋:「うっせーな、見てるだけだって」

 何だかんだで、レノボジャパン製のノートPCに落ち着く。

 店員:「ありがとうございまーす」

 箱に入ったPCはノートでもそれなりの重量があるが、リサはそれを軽々と持っている。
 第0形態ながら、腕力はあるようだ。

 高橋:「次は俺の出番っスね」

 高橋は今度はゲームコーナーにリサを連れて行くと……。

 高橋:「これだろ?」
 リサ:「そう!それそれ!」

 ゲームソフトを買い与えた。
 それにしてもリサ、アクションバトルものが好きとは……。
 いや、いいんだけどね。

[同日14:15.天候:曇 JR錦糸町駅ビル・テルミナ]

 ヨドバシカメラを出た私達は、同じ駅ビルの別のフロアへ移動した。

 高野:「最後は私の番ね。先生方は来づらいかもよ?」
 愛原:「どういうことだ?」

 高野君がリサに買ってあげたのは新しい服とか、靴とか……。
 まあ、別に私達が付き添っても問題無い場所だと思うが……。

 高橋:「ああ、なるほどな」

 次に来たのはランジェリーショップ。

 高野:「リサちゃんも来年からは高校生になるんだから、そろそろ可愛いのを用意してあげないとね」
 愛原:「そういうことか。じゃあ、俺達は外で待ってるよ。リサ、荷物は俺達が預かるよ」
 リサ:「分かった」
 高橋:「てか、アネゴも欲しいんだろ?」
 高野:「自分のはついでに買うだけだよ」
 高橋:「ちょっと待て!」

 すると高橋、自分の財布の中からいくらかを出して高野君に渡した。

 高橋:「これで真珠に似合うのを見繕ってくれ!サイズは……」

 高橋、見事に霧崎さんのスリーサイズを言い当てた。
 それくらいの関係になっているのは分かるが、まだ結婚は早いなぁ……。

 高野:「もうちょっと情報が欲しいな。どういう色のがいいとかある?」
 高橋:「何気にアイツは白系が似合う!」
 高野:「白系ね。了解」

 高野君はリサを連れてランジェリーショップに入っていった。
 他の服もついでに預かってる。

 高橋:「先生、俺達より時間掛かってますよ、アイツら」
 愛原:「まあ、俺達は大体既に買う物が決まってたからな。しょうがない。それにしても……」

 私は袋の隙間からリサが買ってもらった服を見た。
 上着は普通なのを選んでいたが、下は明らかに特徴があった。
 それは必ず太ももが覗くようになっているのである。
 それを防ぐ為には、その下にストッキングやレギンスを穿かなくてはならない。
 リサが全て選んだのはそれだった。
 何かこだわりがあるのかと聞いたら、リサはこう答えた。

 リサ:「先生に喜んでもらいたいから」

 悪戯っぽさと妖艶さを織り交ぜた顔で。

 高橋:「ガキの分際で先生を誘惑しようとは、一度ボコしておく必要がありますよ」
 愛原:「BOWリサ・トレヴァー日本版完全体をボコせるのならやってみろよ。俺にはできん」
 高橋:「ううっ……!」

 それからしばらくして彼女達は戻って来た。

 高野:「ほら、霧崎さん用」

 最初に高野君は高橋に、霧崎さん用のプレゼントを渡した。
 ちゃんとしっかり包装されてリボンまで付いている。

 高橋:「アネゴ、あざっす!」
 高野:「霧崎さんには、愛原先生のお許しが出るまで反省して待つように言っておくのよ?」
 高橋:「分かってるよ」
 愛原:「因みにリサは、どんなの買ったんだ?」
 リサ:「知りたかったら、私を襲ってみて」
 愛原:「いや、それ死亡フラグだろ!」
 高野:「『恋する女子高生の勝負下着』的な感じで探してみたんですけど、リサちゃん、何かガーリーなのを選びたがるんです」
 高橋:「まだ中3だろ、こいつ」
 高野:「高校生になるまでなんて、あっという間じゃない。今のうちに買っといたって、早くは無いと思うよ」
 愛原:「リサのチョイスのコンセプトは?」
 リサ:「先生のPCの動画サイトに入ってた女子達が着てた下着」
 愛原:「リサ!自分用のパソコンを買ってあげたんだから、2度と俺のPCを覗くんじゃない!分かったな!?」
 リサ:「はーい」

[同日15:15.天候:曇 墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私達は再び駅前から都営バスに乗り、来た道を戻った。
 帰りに乗ったバスも水素電池で動く最新型ではなく、やはり普通のノンステップバスだった。
 まあ、往路とは車種は違ったが。

 愛原:「ん!?」

 すると事務所のビルの駐車場に、ピカピカのロールスロイスが止まっていた。
 こんなもので乗り付けて来るのは1人しかいない。

 新庄:「お待ちしておりました、愛原様」

 そこへ運転席から、斉藤家のお抱え運転手、新庄さんが降りて来た。

 新庄:「絵恋お嬢様より、愛原リサ様への御誕生日プレゼントをお持ち致しました」

 新庄運転手はロールスロイスの車内から、大きな鍵を取り出した。
 それはまるで、プロ野球選手が日本シリーズでMVPを取った時に渡される車の鍵とよく似ていた。

 新庄:「こちらの車を贈呈させて頂きます」
 愛原:「えぇえーっ!?」
 高橋:「マジっスか!?……てか、俺が欲しい……」
 高野:「いやいやいや!リサちゃん、車の運転免許は持ってませんから!」
 新庄:「いえ、これはほんのオマケでございます」
 愛原:「は?」
 新庄:「メインはこちらでして……」

 新庄運転手は咳払いした上、何故か躊躇するように車の中からプレゼントを取り出した。
 それは大きな箱であった。
 ちゃんとリボンまで付いている。
 人が一人入れるくらいの大きさだった。

 新庄:「どうぞ、開けてみてくださいませ」
 リサ:「う、うん……」

 リサは恐る恐る箱のリボンを解き、箱の蓋を開けた。
 すると中にいたのは……。

 斉藤絵恋:「私がプレゼントですリサさん、私を食べて……

 大きな皿に乗り、そこで体育座りをしていた絵恋さんだった。
 まるでウェディングドレスのような、純白ドレスに身を包んでいる。

 リサ:(゚Д゚;)

 さすがのリサも、これには口をあんぐり。
 そして、無言で蓋を閉めた。

 リサ:「先生!これ、危険物!バイオハザード!早いとこ封印して!」
 高橋:「よっしゃ!『ヒャッハー!汚物は消毒だァーっ!』」

 高橋、どこからか火炎放射器を持ってくる。

 絵恋:「ちょっと!誰が汚物よ!私はリサさんの『食べ物』よ!」
 リサ:「いや、あからさま過ぎて食べたくない……」
 絵恋:「リサさん、『据え膳食わぬは男の恥』よ!?」
 リサ:「いや、私、女だから」

 すったもんだの末、一旦はロールスロイスごとお引き取り願った次第である。
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“私立探偵 愛原学” 「誕生日プレゼントを買いに行く」

2020-10-03 16:09:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月3日13:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 旧アンブレラの最高責任者だった者を豚箱に送り込むことができ、私達の大仕事は一定の完了を見た。
 もちろんまだ後始末等が残っているが、それらはもう公的機関の仕事になり、私達民間の探偵業者の出る幕ではない。
 そんな公的機関の1つの窓口役である善場主任からは大きな謝辞を頂き、また、多額の報酬を得ることができた。
 善場主任側から見れば、『特別報奨金』といった感じになるだろうか。
 しかも、10月1日はリサの人間としての誕生日だったことが分かった。
 それとは別にBOWとして誕生した日もあるのだが、そちらは祝うものではないだろう。
 なので、人間としての誕生日を祝った。
 しかし何ぶん急なことだったので、何とかケーキや御馳走は用意することはできたものの、会場やプレゼントなどは用意できなかった。
 なので会場は事務所にして、プレゼントは後日、皆で買いに行くことにした。
 午前中はリサも学校なので、午後に行くことにする。
 10月なので制服も合着になり、リサはブラウスの上からクリーム色のニットのベストを着て帰って来た。
 それから私服に着替えてもらい、昼食を食べて一旦事務所へ集合する。

 高野:「先生、さっき郵便局から簡易書留が来ましたよ」

 私と高橋、そしてリサとで再び事務所に行くと、高野君が封筒を持ってやってきた。

 高野:「リサちゃん宛です。相手は善場主任ですね」
 愛原:「そうなのか。じゃあリサ、ちょっと開けてみろ」
 リサ:「うん」

 リサは高野君から封筒を受け取ると、それを開けてみた。
 すると中に入っていたのは、クオカードが1枚。
 それも最高額の1万円券だった。
 しかもデザインもオリジナルで、とても凝っていた。
 それはNPO法人デイライトの職員証を模したものだった。
 しっかり『愛原リサ』とある。
 因みにリサ、人間時代の名前は使わないと宣言した。
 あくまでも今、仮名として使っている『愛原リサ』を本名として使いたいと表明した。
 理由としては、今の名前に愛着を持っているからだという。

 高橋:「これ、アレっスよね?ものすっごく強い勧誘っスよね?『断ったらコロス』くらいの勢いの」
 愛原:「そもそもリサが殺処分されなかった理由は、『そもそもまだ食人をした証拠が無い』というのは表向きで、『将来、政府エージェントとして使えそうだから』だったもんな」

 表向きの理由でいいなら、ハンターだってまだ人を襲っていなければ殺処分しないのと同じことだ。

 愛原:「将来の就職先、決まったようなものだけどいいのか?」
 リサ:「うん、いい。殺されるよりマシ。あと何より、先生と一緒にいられる」
 愛原:「もちろん、これからも人を襲って食べちゃダメだぞ」
 リサ:「うん。分かってる」
 高野:「いいじゃないですか。国家公務員ですよ。マサの給料の何倍ももらえます」
 高橋:「アネゴ!」
 愛原:「悪いな。安月給で……」
 高橋:「俺は先生の弟子でいられるだけで幸せです!」
 愛原:「まあ、とにかく早く行こう。夕方までには帰りたい」
 高橋:「了解っス」

[同日13:18.天候:晴 都営バス菊川一丁目停留所→都営バス錦11系統車内]

 事務所を出た私達は最寄りのバス停に向かった。
 本数が少ないので、時間を合わせて向かう。
 本数が少ないということは、それだけ乗客が少ないということだ。
 バス停でバスを待っていると、バスがやってきた。

〔菊川駅前経由、錦糸町駅前行きでございます〕

 前扉が開いて、そこからバスに乗り込む。
 そろそろ水素電池駆動の近未来的なデザインのバスに乗って見たいと思うが、なかなか当たらない。
 今来たのも、普通に全国的に使用されている汎用デザインのノンステップバスだった。
 確かに乗客はそんなに多くなく、空席がバラバラある。

 リサ:「先生、一緒に座ろ」

 リサに誘われ、私は彼女と空いている2人席に座った。
 もちろん高橋が難色を示したが……。

 高野:「マサ。今回はリサちゃんの誕生日プレゼントを買いに行くのよ?つまり、今回はリサちゃんが主役なの。脇役は脇に逸れてないとダメ」

 と、いなしてくれた。

 高橋:「主役って、“愛原リサの日常”じゃねーだろ」
 高野:「メタ発言しない!」

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスはドアを閉めて発車した。

〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営地下鉄新宿線をご利用のお客様は、お乗り換えです。次は、菊川駅前でございます〕

 進行方向左側の席の窓側に座ったリサ、窓の外を見ている。
 リサは学校が終わってからすぐに帰って来たが、比較的帰りが遅い生徒もいる。
 そんな生徒達が新大橋通りの歩道を歩いているわけだ。
 10月という暑くも寒くも無い時季のせいか、生徒はワイシャツだけだったり、その上からベストを着ていたりとバラバラだ。
 さすがにポロシャツの生徒はいない。
 何でも、ポロシャツは盛夏用なのだそうだ。
 リサは私服に着替えているが、黒いスカートは裾が短く、太ももが露出している。
 さすがに今日は高野君がいるから、スカートの下にスパッツは穿いているだろう。

 愛原:「リサ。ちょっと聞きたいんだけど……」
 リサ:「なーに?」
 愛原:「斉藤さんに自分の誕生日のこと、話したか?」
 リサ:「話してない。……んだけど、何故かバレた」
 愛原:「んっ?」

 リサが少し顔を蒼くさせて言った。

 リサ:「うん。私は何も言ってないし、サイトーに自分のスマホを見せてもいないのに、何故かバレた。サイトー、『リサさんのことは何でもお見通しなのよ!』なんて言ってたけど……」
 愛原:「そ、そうか。他に何か言ってたか?」
 リサ:「『リサさんの誕生日なのね!分かったわ!私もプレゼントあげる!後で持って行くから待ってて!』だって……」

 何だろう?思いっ切り嫌な予感しかしない。
 それはリサ本人も同じなようで、こう言った。

 リサ:「先生、今日はこのまま帰らない方がいいかも……」
 愛原:「気持ちは分かるが、そういうわけにはいかないからなぁ……」
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