[10月14日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日の私の仕事だが……おっと、電話だ。
高野:「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます」
ボス:「私だ」
高野:「渡司様ですね。本日はどのような御依頼でございましょうか?」
ボス:「あー……愛原君に替わってくれ」
高野:「はい。少々お待ちください」
もはや高野君のイジりにスルーするボスだった。
愛原:「はいはい、お電話替わりました。いつもお世話になっております」
ボス:「うむ。キミの活躍、聞いているよ」
愛原:「ありがとうございます。それで、本日はどのような仕事の御紹介で?」
絶対、探偵業はこのような仕事の受け方はしない。
これはあくまでもフィクションだと思って、そう受け取って頂きたい。
ボス:「4つある。『迷子の子猫捜し』『創価学会池田名誉会長の安否確認』『顕正会浅井会長の出自調査』『ゾンビを倒せ』この4つの中から選んでくれ」
愛原:「ボス!フザけるのもいい加減にしてください!」
ボス:「私は大いに真面目だがね。無論、どれも気に入らないなら断って頂いて結構。但し、次の仕事の斡旋がいつになるか分からんぞ?」
愛原:「だったらもう一択しか無いじゃないですか」
ボス:「そうだろうそうだろう。キミのことだ。当然、『ゾンビをたおs』」
愛原:「『迷子の子猫捜し』でお願いします」
ボス:「は!?」
愛原:「命懸けで手に入れる大金より、目の前の小金稼ぎですよ」
ボス:「それ……経営者にはあってならぬ考え方だぞ」
愛原:「『迷子の子猫捜し』でお願いします」
ボス:「……分かった。キミがどうしてもそう言うのなら、他の仕事は他の探偵に回すとしよう。だが、こんなチャンス滅多に無いことだけは憶えておけよ?」
愛原:「分かってますよ」
私は電話を切った。
高橋:「先生!仕事ですか!?」
愛原:「ああ。依頼書がファックスでやってくる。その後で仕事開始だ」
高橋:「了解っス!」
しばらくしてファックスが受信された。
愛原:「来た来た。えーと……なになに?場所は江東区森下で、黒猫捜しか。隣の区だな。さっさと行くぞ」
高橋:「ファッ!?先生ともあろう御方が、迷子の猫捜しっスか!?」
愛原:「高橋。これだってクライアントにとっては深刻な問題なんだ。『たかが』とは言ってはいけない」
高橋:「さ、サーセン!」
愛原:「高野君、これはきっと1日掛かりになると思う」
高野:「分かりました。行ってらっしゃい」
愛原:「今回はリサにも協力してもらう」
リサ:「私も?」
愛原:「停学中は毎日、家でレポートだろ?『家の手伝い』をしたと書けば、学校の評価も上がるぞ」
リサ:「おー!」
因みに義務教育の中学校で停学なんてあるのかと思われるが、私立では『謹慎』とか『特別教育』とかの名の元に存在することがある。
東京中央学園もそうだというわけだ。
休校期間中ではあるが、授業はオンラインで行われている。
しかしリサは謹慎中である為、それを受けることもできない。
愛原:「じゃあ早速行こう。高橋は車回してくれ」
高橋:「うっス」
愛原:「まずはクライアントの家まで行くぞ」
[同日18:00.天候:晴 神奈川県川崎市某所 トチロ~家]
トチロ~:「何か突然このコが家に迷い込んで来てしまって……」
愛原:「うん。確かに写真の通りの黒猫だ。首輪の特徴も一致している。お預かりありがとうございます。この猫は私達が責任を持って、飼い主に返しておきますので」
トチロ~:「よろしくお願いします」
私は黒猫をキャリーの中に入れた。
愛原:「さっさと引き上げるぞ」
高橋:「うっス」
私達は車に乗り込んだ。
高橋:「先生。それにしても、江東区で行方不明になった猫が何で川崎にいると分かったんですか?」
愛原:「クライアントの家の近くで、引っ越しがあったというのは聞いてるな?」
高橋:「はい」
愛原:「そのトラックの上に黒猫がいたという目撃証言があった。そのトラックは川崎ナンバーで、しかも引っ越し先がこの近所ということなら、この辺りを総当たりすればヒットすると思った」
高橋:「でも普通、トラックが動き出せば猫は飛び降りると思うんですがねぇ……」
愛原:「しかし、例外があった。あとはクライアントから預かった、例の黒猫の匂いのついた物をリサに覚えさせ、その後を追うまでだ」
高橋:「犬以上の嗅覚じゃないスか、こいつ」
愛原:「だが、おかげで助かったよ」
タイラントやネメシスがターゲットをどこまでも追えるのは、ターゲットの匂いを覚えるからだという説がある。
そんなBOWを使役することができるリサなら、同じ能力を持っているのではないかと思ったのだ。
リサ:「かわいい猫ちゃん」
黒猫:「ニャー」
リサ:「美味しそうな猫ちゃん」
黒猫:「ニャッ!?」
うちではペットは飼えない。
マンションで禁止されているからだけでなく、リサにとっては愛玩兼捕食対象だからである。
高橋:「じゃあ、江東区まで直行しますんで」
愛原:「頼むぞ」
高橋:「因みに、他の仕事は何だったんスか?」
愛原:「ロクでもない仕事だよ。最後の仕事なんか、ゾンビ無双しろだって」
高橋:「何なんスか、それ?」
愛原:「さあな。ラジオ点けろ、ラジオ」
高橋:「はい」
助手席に座る私は手を伸ばしてラジオを点けた。
〔「……こちら……警察署です。現在、中には犯人が立てこもっており、どういうわけか、暑内にいた人達の一部も犯人に加担して、次々と……っています!」〕
愛原:「な、何だ?」
電波が悪い。
高橋:「先生、テレビにしてはどうですか?」
愛原:「そ、そうだな」
私はテレビに替えてみた。
〔「……警察署に安置されていました遺体が突然起き上がり、周囲にいた関係者や来庁者を次々と襲うという事件が発生しました」〕
愛原:「えっ!?」
〔「現在、警視庁の機動隊が警察署を取り囲んでいるところですが、これは○×県霧生市で発生した暴動とよく似ており、関連性が疑われています」〕
愛原:「この警察暑、うちの近くじゃないか!?」
高橋:「誰かウィルスばら撒いたんスか!?」
愛原:「ボスの『ゾンビ無双』依頼ってこれかよ!?」
リサ:「あっ!」
その時、リサが何かに気づいたようだ。
愛原:「どうした、リサ?」
リサ:「私、確かに体のウィルスを相手に植え付けてやることができるの。もちろん、したくない場合はしない」
愛原:「それがどうした?」
リサ:「あの、三上先生の死体って、どこに運ばれたの?」
愛原:「そりゃあ、まずは警察署に……ん!?」
リサ:「三上先生を殺したのは『9番』。『9番』は自分の触手を三上先生に突き刺して殺した。ということは……その時、Tウィルスを植え付けた可能性がある……」
愛原:「なっにー!?何でそれを早く言わないんだ!?」
リサ:「わ、私も今思い出したから……」
善場主任がリサの『捕食』を全面的に禁止したのは、それが理由でもある。
リサは自由にできるらしく、今まで『捕食』したコにTウィルスを植え付けるようなことはしなかったそうだが。
愛原:「善場主任に電話するよ!」
私は善場主任に電話した。
すると彼女はもう現場に到着していて、あとはBSAAの到着を待つだけだそうだ。
善場:「今のところ、ゾンビは警察署内に留められている状態です。そいつらが外に出てしまったら、東京中が霧生市の再来になってしまいます」
リサ:「『9番』は後で殺す!」
高橋:「おう、俺も手伝うぜ。気づくのが遅ェお前も反省が必要だな」
リサ:「ごめんなさい」
ボスはこれを知ってて私に依頼してきたのか。
いや、しかし私も事情はリサから聞いていたんだ。
それで察するべきだったな。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日の私の仕事だが……おっと、電話だ。
高野:「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます」
ボス:「私だ」
高野:「渡司様ですね。本日はどのような御依頼でございましょうか?」
ボス:「あー……愛原君に替わってくれ」
高野:「はい。少々お待ちください」
もはや高野君のイジりにスルーするボスだった。
愛原:「はいはい、お電話替わりました。いつもお世話になっております」
ボス:「うむ。キミの活躍、聞いているよ」
愛原:「ありがとうございます。それで、本日はどのような仕事の御紹介で?」
絶対、探偵業はこのような仕事の受け方はしない。
これはあくまでもフィクションだと思って、そう受け取って頂きたい。
ボス:「4つある。『迷子の子猫捜し』『創価学会池田名誉会長の安否確認』『顕正会浅井会長の出自調査』『ゾンビを倒せ』この4つの中から選んでくれ」
愛原:「ボス!フザけるのもいい加減にしてください!」
ボス:「私は大いに真面目だがね。無論、どれも気に入らないなら断って頂いて結構。但し、次の仕事の斡旋がいつになるか分からんぞ?」
愛原:「だったらもう一択しか無いじゃないですか」
ボス:「そうだろうそうだろう。キミのことだ。当然、『ゾンビをたおs』」
愛原:「『迷子の子猫捜し』でお願いします」
ボス:「は!?」
愛原:「命懸けで手に入れる大金より、目の前の小金稼ぎですよ」
ボス:「それ……経営者にはあってならぬ考え方だぞ」
愛原:「『迷子の子猫捜し』でお願いします」
ボス:「……分かった。キミがどうしてもそう言うのなら、他の仕事は他の探偵に回すとしよう。だが、こんなチャンス滅多に無いことだけは憶えておけよ?」
愛原:「分かってますよ」
私は電話を切った。
高橋:「先生!仕事ですか!?」
愛原:「ああ。依頼書がファックスでやってくる。その後で仕事開始だ」
高橋:「了解っス!」
しばらくしてファックスが受信された。
愛原:「来た来た。えーと……なになに?場所は江東区森下で、黒猫捜しか。隣の区だな。さっさと行くぞ」
高橋:「ファッ!?先生ともあろう御方が、迷子の猫捜しっスか!?」
愛原:「高橋。これだってクライアントにとっては深刻な問題なんだ。『たかが』とは言ってはいけない」
高橋:「さ、サーセン!」
愛原:「高野君、これはきっと1日掛かりになると思う」
高野:「分かりました。行ってらっしゃい」
愛原:「今回はリサにも協力してもらう」
リサ:「私も?」
愛原:「停学中は毎日、家でレポートだろ?『家の手伝い』をしたと書けば、学校の評価も上がるぞ」
リサ:「おー!」
因みに義務教育の中学校で停学なんてあるのかと思われるが、私立では『謹慎』とか『特別教育』とかの名の元に存在することがある。
東京中央学園もそうだというわけだ。
休校期間中ではあるが、授業はオンラインで行われている。
しかしリサは謹慎中である為、それを受けることもできない。
愛原:「じゃあ早速行こう。高橋は車回してくれ」
高橋:「うっス」
愛原:「まずはクライアントの家まで行くぞ」
[同日18:00.天候:晴 神奈川県川崎市某所 トチロ~家]
トチロ~:「何か突然このコが家に迷い込んで来てしまって……」
愛原:「うん。確かに写真の通りの黒猫だ。首輪の特徴も一致している。お預かりありがとうございます。この猫は私達が責任を持って、飼い主に返しておきますので」
トチロ~:「よろしくお願いします」
私は黒猫をキャリーの中に入れた。
愛原:「さっさと引き上げるぞ」
高橋:「うっス」
私達は車に乗り込んだ。
高橋:「先生。それにしても、江東区で行方不明になった猫が何で川崎にいると分かったんですか?」
愛原:「クライアントの家の近くで、引っ越しがあったというのは聞いてるな?」
高橋:「はい」
愛原:「そのトラックの上に黒猫がいたという目撃証言があった。そのトラックは川崎ナンバーで、しかも引っ越し先がこの近所ということなら、この辺りを総当たりすればヒットすると思った」
高橋:「でも普通、トラックが動き出せば猫は飛び降りると思うんですがねぇ……」
愛原:「しかし、例外があった。あとはクライアントから預かった、例の黒猫の匂いのついた物をリサに覚えさせ、その後を追うまでだ」
高橋:「犬以上の嗅覚じゃないスか、こいつ」
愛原:「だが、おかげで助かったよ」
タイラントやネメシスがターゲットをどこまでも追えるのは、ターゲットの匂いを覚えるからだという説がある。
そんなBOWを使役することができるリサなら、同じ能力を持っているのではないかと思ったのだ。
リサ:「かわいい猫ちゃん」
黒猫:「ニャー」
リサ:「美味しそうな猫ちゃん」
黒猫:「ニャッ!?」
うちではペットは飼えない。
マンションで禁止されているからだけでなく、リサにとっては愛玩兼捕食対象だからである。
高橋:「じゃあ、江東区まで直行しますんで」
愛原:「頼むぞ」
高橋:「因みに、他の仕事は何だったんスか?」
愛原:「ロクでもない仕事だよ。最後の仕事なんか、ゾンビ無双しろだって」
高橋:「何なんスか、それ?」
愛原:「さあな。ラジオ点けろ、ラジオ」
高橋:「はい」
助手席に座る私は手を伸ばしてラジオを点けた。
〔「……こちら……警察署です。現在、中には犯人が立てこもっており、どういうわけか、暑内にいた人達の一部も犯人に加担して、次々と……っています!」〕
愛原:「な、何だ?」
電波が悪い。
高橋:「先生、テレビにしてはどうですか?」
愛原:「そ、そうだな」
私はテレビに替えてみた。
〔「……警察署に安置されていました遺体が突然起き上がり、周囲にいた関係者や来庁者を次々と襲うという事件が発生しました」〕
愛原:「えっ!?」
〔「現在、警視庁の機動隊が警察署を取り囲んでいるところですが、これは○×県霧生市で発生した暴動とよく似ており、関連性が疑われています」〕
愛原:「この警察暑、うちの近くじゃないか!?」
高橋:「誰かウィルスばら撒いたんスか!?」
愛原:「ボスの『ゾンビ無双』依頼ってこれかよ!?」
リサ:「あっ!」
その時、リサが何かに気づいたようだ。
愛原:「どうした、リサ?」
リサ:「私、確かに体のウィルスを相手に植え付けてやることができるの。もちろん、したくない場合はしない」
愛原:「それがどうした?」
リサ:「あの、三上先生の死体って、どこに運ばれたの?」
愛原:「そりゃあ、まずは警察署に……ん!?」
リサ:「三上先生を殺したのは『9番』。『9番』は自分の触手を三上先生に突き刺して殺した。ということは……その時、Tウィルスを植え付けた可能性がある……」
愛原:「なっにー!?何でそれを早く言わないんだ!?」
リサ:「わ、私も今思い出したから……」
善場主任がリサの『捕食』を全面的に禁止したのは、それが理由でもある。
リサは自由にできるらしく、今まで『捕食』したコにTウィルスを植え付けるようなことはしなかったそうだが。
愛原:「善場主任に電話するよ!」
私は善場主任に電話した。
すると彼女はもう現場に到着していて、あとはBSAAの到着を待つだけだそうだ。
善場:「今のところ、ゾンビは警察署内に留められている状態です。そいつらが外に出てしまったら、東京中が霧生市の再来になってしまいます」
リサ:「『9番』は後で殺す!」
高橋:「おう、俺も手伝うぜ。気づくのが遅ェお前も反省が必要だな」
リサ:「ごめんなさい」
ボスはこれを知ってて私に依頼してきたのか。
いや、しかし私も事情はリサから聞いていたんだ。
それで察するべきだったな。