[10月10日07:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
リサ:「う……ん……」
リサは目を覚ますと、大きく伸びをした。
そして自室を出て、洗面所に向かった。
愛原:「おはよう、リサ」
そこには愛原学という先客がいた。
リサ:「おはよう、先生」
愛原:「ちょっと待ってな。今、洗面所空けるから」
リサ:「うん」
高橋は朝食を作っており、キッチンにいる。
だがそんな時、彼のズボンのポケットに入れているスマホの着信音が鳴った。
高橋:「あ?何だよ、朝っぱらから……」
高橋が火を止めてスマホを取り出す。
高橋:「真珠かよ。……おう、どうした?何かあったのか?……あ?リサに替われ?」
リサ:「兄ちゃん」
リサが高橋の所に行って手を伸ばす。
高橋:「真珠がオマエに用だってよ」
リサ:「うん。もしもし?」
霧崎:「リサ様、おはようございます」
リサ:「おはようございます」
霧崎:「実は今日、御嬢様が体調を崩されまして……」
リサ:「何かあったの?」
霧崎:「今回はアレがヒドくて、ちょっとお辛いのだそうでございます。大事を取って、今日はお休みさせて頂きます」
リサ:「分かりました。サイトーによろしく」
すると突然、斉藤絵恋が電話に出た。
斉藤:「り、リサさん……ごめんなさい……。ちょっと今日は……ツラくて……」
リサ:「いや、いい。サイトー、ゆっくり休んで」
リサは電話を切って高橋に返した。
愛原:「何だって?」
リサ:「サイトー、生理がヒドいから今日は休むって」
愛原:「そうか。女の子は大変だなー」
愛原はうんうんと頷いた。
高橋:「昨日、アネゴの機嫌悪かったのもそれっスかね?」
愛原:「可能性はあるな。リサはどうなんだ?生理がツラいってことあるか?」
リサ:「生理はあるけど、私は別に学校休むほどじゃない」
高橋:「BOWなのに生理あるんスか?」
愛原:「元人間だぞ。それに、人間の姿をしていられるんだから、そりゃあるだろ」
不思議とリサは月経前症候群が殆ど無いという。
それは人間だった頃からの体質なのか、それともBOWだからなのか、それは分からない。
恐らく、後者が理由であると思われる。
リサ:「だから、先生の子供産めるよ?」
愛原:「それはリサが人間に戻ってから考えような?」
高橋:「今妊娠しやがったら、どんな化け物が産まれてくるか分かんないっスよ」
愛原:「そういうことだ。それに……」
リサ:「それに?」
愛原:「今妊娠したら学校行けなくなるぞ?それでもいいのか?」
リサ:「それはヤダ!」
愛原:「分かったら、もう暫く待つんだ。具体的には人間に戻るまで」
リサ:「それはいつ?」
愛原:「まだ不明だ。だけど善場主任としては、リサが学生でいられるうちには達成したいと言ってる。人間に戻って、すぐ人間と同じ生活ができるかどうかも分からないしな」
高橋:「人間に戻った途端ガイジになっても困るっスからね」
愛原:「あくまでも差別意識は無いという前提で言わせてもらうと、高橋の懸念するようになってしまったら、善場さん達の計画もパーになるからな。それは何としてでも避けたいところだろう」
リサは洗面所に行った。
高橋:「でも先生、BOWが妊娠・出産した例ってあるんスか?」
愛原:「どうも無いみたいだな。皆して性欲より食欲の方が最優先のようだ」
高橋:「ですよねぇ……」
愛原:「ま、資料を全部見たわけじゃないから、もしかしたら一例くらいはあるのかもしれないが……。今のリサには関係無いだろう」
高橋:「そうッスね」
愛原:「むしろ今関係あるとしたら……」
高橋:「何か、ラストサムライみたいなヤツのことっスか?」
リサが顔を洗い、再び部屋に戻って着替えると、ダイニングに向かった。
既に制服に着替えている。
最初は洗面所の前で着替えていたのだが、さすがに愛原が注意した。
愛原:「リサ、ちょっとこれから注意してもらいたいことがある」
リサ:「なに?」
愛原:「お前の仲間……まあ、仲間ではないんだろうけど、お前と同じ『リサ・トレヴァー』達が謎の怪死を遂げているんだ」
リサ:「怪死?」
愛原:「刀か剣のようなもので、首を刎ねられて死んでる。……朝食の前にこんな話で申し訳ないが、次はお前が狙われないとも限らないからな」
リサ:「その場合、返り討ちにして食い殺してもいいの?」
愛原:「あーっと……それは……。もしも相手が人間だったら、それはダメだ。もしもBOWだったら、そうしてくれていい」
高橋:「刀か剣を使うBOWなんているんスか?」
愛原:「分からんぞ?ラクーン市の事件で現れたネメシスなんか、ロケランとか使ってたそうじゃないか」
高橋:「アメリカではロケラン、日本では刀剣っスか。平和なモンすね」
愛原:「俺達にとってはな。……そう。人間は襲われてないんだ。襲われたのは、日本版リサ・トレヴァー達だけさ」
リサ:「『1番』はやられた?」
愛原:「いや、そんな話は聞いてない。やっぱり『1番』は特別なのか?」
リサ:「強さは私と同じなんだって。だけど、霧生市の研究所に来てからすぐにお別れしたから、よく分かんない。私よりも人間を『捕食』しているなら、私よりも強いかも……」
愛原:「そうなのか……」
[同日12:30.天候:雨 墨田区某所 東京中央学園墨田中学校]
土曜日なので、授業は昼過ぎで終わり。
本来なら完全週休2日制なのだが、コロナ禍による長期休校の為、土曜休みを返上して、遅れを回復する措置が取られている。
小島:「愛原さん。今日は斉藤さんが休みだし、今日は私と帰らない?」
リサ:「うん。そうしよう」
小島:「でね……。私、またちょっとお腹の具合が悪くなったんだ。もし良かったら、また『捕食』して欲しいなぁ……なんて」
リサ:「分かった。でも、もうあのトイレは使えない。私の家に来る?保護者の先生達、昼間は家にいないの」
小島:「ほんと!?じゃあ……」
淀橋:「ねぇ、ちょっと」
リサ:「なに?ヨドバシ」
淀橋:「1年生のコが愛原さんに用があるみたいよ?」
リサ:「ん?1年生?」
淀橋:「ほら、あのコ」
淀橋が教室のドアを指さすと、そこには小柄な女子生徒が立っていた。
リサに向かってペコッと御辞儀をする。
あれはリサが目を付けて、『捕食』した者である。
あれもまた再度の『捕食』希望者なのだろうか。
リサ:「あなたは……」
栗原愛里:「1年5組の栗原愛里と言います。あの……ちょっといいですか?」
リサ:「『捕食』されたいの?」
愛里:「は、はい」
リサ:「悪いけど、もうあのトイレは使えない。それに、今日はもう先約があるから。さすがに私も、一気に2人は『食べれ』ないよ」
愛里:「ちょっとだけ、お話しさせてもらえませんか?」
リサ:「……!」
1:愛里に付き合う。
2:突き放す。
3:また後日にしてもらう。
4:理由を問い質す。
リサ:「う……ん……」
リサは目を覚ますと、大きく伸びをした。
そして自室を出て、洗面所に向かった。
愛原:「おはよう、リサ」
そこには愛原学という先客がいた。
リサ:「おはよう、先生」
愛原:「ちょっと待ってな。今、洗面所空けるから」
リサ:「うん」
高橋は朝食を作っており、キッチンにいる。
だがそんな時、彼のズボンのポケットに入れているスマホの着信音が鳴った。
高橋:「あ?何だよ、朝っぱらから……」
高橋が火を止めてスマホを取り出す。
高橋:「真珠かよ。……おう、どうした?何かあったのか?……あ?リサに替われ?」
リサ:「兄ちゃん」
リサが高橋の所に行って手を伸ばす。
高橋:「真珠がオマエに用だってよ」
リサ:「うん。もしもし?」
霧崎:「リサ様、おはようございます」
リサ:「おはようございます」
霧崎:「実は今日、御嬢様が体調を崩されまして……」
リサ:「何かあったの?」
霧崎:「今回はアレがヒドくて、ちょっとお辛いのだそうでございます。大事を取って、今日はお休みさせて頂きます」
リサ:「分かりました。サイトーによろしく」
すると突然、斉藤絵恋が電話に出た。
斉藤:「り、リサさん……ごめんなさい……。ちょっと今日は……ツラくて……」
リサ:「いや、いい。サイトー、ゆっくり休んで」
リサは電話を切って高橋に返した。
愛原:「何だって?」
リサ:「サイトー、生理がヒドいから今日は休むって」
愛原:「そうか。女の子は大変だなー」
愛原はうんうんと頷いた。
高橋:「昨日、アネゴの機嫌悪かったのもそれっスかね?」
愛原:「可能性はあるな。リサはどうなんだ?生理がツラいってことあるか?」
リサ:「生理はあるけど、私は別に学校休むほどじゃない」
高橋:「BOWなのに生理あるんスか?」
愛原:「元人間だぞ。それに、人間の姿をしていられるんだから、そりゃあるだろ」
不思議とリサは月経前症候群が殆ど無いという。
それは人間だった頃からの体質なのか、それともBOWだからなのか、それは分からない。
恐らく、後者が理由であると思われる。
リサ:「だから、先生の子供産めるよ?」
愛原:「それはリサが人間に戻ってから考えような?」
高橋:「今妊娠しやがったら、どんな化け物が産まれてくるか分かんないっスよ」
愛原:「そういうことだ。それに……」
リサ:「それに?」
愛原:「今妊娠したら学校行けなくなるぞ?それでもいいのか?」
リサ:「それはヤダ!」
愛原:「分かったら、もう暫く待つんだ。具体的には人間に戻るまで」
リサ:「それはいつ?」
愛原:「まだ不明だ。だけど善場主任としては、リサが学生でいられるうちには達成したいと言ってる。人間に戻って、すぐ人間と同じ生活ができるかどうかも分からないしな」
高橋:「人間に戻った途端ガイジになっても困るっスからね」
愛原:「あくまでも差別意識は無いという前提で言わせてもらうと、高橋の懸念するようになってしまったら、善場さん達の計画もパーになるからな。それは何としてでも避けたいところだろう」
リサは洗面所に行った。
高橋:「でも先生、BOWが妊娠・出産した例ってあるんスか?」
愛原:「どうも無いみたいだな。皆して性欲より食欲の方が最優先のようだ」
高橋:「ですよねぇ……」
愛原:「ま、資料を全部見たわけじゃないから、もしかしたら一例くらいはあるのかもしれないが……。今のリサには関係無いだろう」
高橋:「そうッスね」
愛原:「むしろ今関係あるとしたら……」
高橋:「何か、ラストサムライみたいなヤツのことっスか?」
リサが顔を洗い、再び部屋に戻って着替えると、ダイニングに向かった。
既に制服に着替えている。
最初は洗面所の前で着替えていたのだが、さすがに愛原が注意した。
愛原:「リサ、ちょっとこれから注意してもらいたいことがある」
リサ:「なに?」
愛原:「お前の仲間……まあ、仲間ではないんだろうけど、お前と同じ『リサ・トレヴァー』達が謎の怪死を遂げているんだ」
リサ:「怪死?」
愛原:「刀か剣のようなもので、首を刎ねられて死んでる。……朝食の前にこんな話で申し訳ないが、次はお前が狙われないとも限らないからな」
リサ:「その場合、返り討ちにして食い殺してもいいの?」
愛原:「あーっと……それは……。もしも相手が人間だったら、それはダメだ。もしもBOWだったら、そうしてくれていい」
高橋:「刀か剣を使うBOWなんているんスか?」
愛原:「分からんぞ?ラクーン市の事件で現れたネメシスなんか、ロケランとか使ってたそうじゃないか」
高橋:「アメリカではロケラン、日本では刀剣っスか。平和なモンすね」
愛原:「俺達にとってはな。……そう。人間は襲われてないんだ。襲われたのは、日本版リサ・トレヴァー達だけさ」
リサ:「『1番』はやられた?」
愛原:「いや、そんな話は聞いてない。やっぱり『1番』は特別なのか?」
リサ:「強さは私と同じなんだって。だけど、霧生市の研究所に来てからすぐにお別れしたから、よく分かんない。私よりも人間を『捕食』しているなら、私よりも強いかも……」
愛原:「そうなのか……」
[同日12:30.天候:雨 墨田区某所 東京中央学園墨田中学校]
土曜日なので、授業は昼過ぎで終わり。
本来なら完全週休2日制なのだが、コロナ禍による長期休校の為、土曜休みを返上して、遅れを回復する措置が取られている。
小島:「愛原さん。今日は斉藤さんが休みだし、今日は私と帰らない?」
リサ:「うん。そうしよう」
小島:「でね……。私、またちょっとお腹の具合が悪くなったんだ。もし良かったら、また『捕食』して欲しいなぁ……なんて」
リサ:「分かった。でも、もうあのトイレは使えない。私の家に来る?保護者の先生達、昼間は家にいないの」
小島:「ほんと!?じゃあ……」
淀橋:「ねぇ、ちょっと」
リサ:「なに?ヨドバシ」
淀橋:「1年生のコが愛原さんに用があるみたいよ?」
リサ:「ん?1年生?」
淀橋:「ほら、あのコ」
淀橋が教室のドアを指さすと、そこには小柄な女子生徒が立っていた。
リサに向かってペコッと御辞儀をする。
あれはリサが目を付けて、『捕食』した者である。
あれもまた再度の『捕食』希望者なのだろうか。
リサ:「あなたは……」
栗原愛里:「1年5組の栗原愛里と言います。あの……ちょっといいですか?」
リサ:「『捕食』されたいの?」
愛里:「は、はい」
リサ:「悪いけど、もうあのトイレは使えない。それに、今日はもう先約があるから。さすがに私も、一気に2人は『食べれ』ないよ」
愛里:「ちょっとだけ、お話しさせてもらえませんか?」
リサ:「……!」
1:愛里に付き合う。
2:突き放す。
3:また後日にしてもらう。
4:理由を問い質す。