報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサに忍び寄る影」

2020-10-11 23:37:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月10日07:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 リサ:「う……ん……」

 リサは目を覚ますと、大きく伸びをした。
 そして自室を出て、洗面所に向かった。

 愛原:「おはよう、リサ」

 そこには愛原学という先客がいた。

 リサ:「おはよう、先生」
 愛原:「ちょっと待ってな。今、洗面所空けるから」
 リサ:「うん」

 高橋は朝食を作っており、キッチンにいる。
 だがそんな時、彼のズボンのポケットに入れているスマホの着信音が鳴った。

 高橋:「あ?何だよ、朝っぱらから……」

 高橋が火を止めてスマホを取り出す。

 高橋:「真珠かよ。……おう、どうした?何かあったのか?……あ?リサに替われ?」
 リサ:「兄ちゃん」

 リサが高橋の所に行って手を伸ばす。

 高橋:「真珠がオマエに用だってよ」
 リサ:「うん。もしもし?」
 霧崎:「リサ様、おはようございます」
 リサ:「おはようございます」
 霧崎:「実は今日、御嬢様が体調を崩されまして……」
 リサ:「何かあったの?」
 霧崎:「今回はアレがヒドくて、ちょっとお辛いのだそうでございます。大事を取って、今日はお休みさせて頂きます」
 リサ:「分かりました。サイトーによろしく」

 すると突然、斉藤絵恋が電話に出た。

 斉藤:「り、リサさん……ごめんなさい……。ちょっと今日は……ツラくて……」
 リサ:「いや、いい。サイトー、ゆっくり休んで」

 リサは電話を切って高橋に返した。

 愛原:「何だって?」
 リサ:「サイトー、生理がヒドいから今日は休むって」
 愛原:「そうか。女の子は大変だなー」

 愛原はうんうんと頷いた。

 高橋:「昨日、アネゴの機嫌悪かったのもそれっスかね?」
 愛原:「可能性はあるな。リサはどうなんだ?生理がツラいってことあるか?」
 リサ:「生理はあるけど、私は別に学校休むほどじゃない」
 高橋:「BOWなのに生理あるんスか?」
 愛原:「元人間だぞ。それに、人間の姿をしていられるんだから、そりゃあるだろ」

 不思議とリサは月経前症候群が殆ど無いという。
 それは人間だった頃からの体質なのか、それともBOWだからなのか、それは分からない。
 恐らく、後者が理由であると思われる。

 リサ:「だから、先生の子供産めるよ?」
 愛原:「それはリサが人間に戻ってから考えような?」
 高橋:「今妊娠しやがったら、どんな化け物が産まれてくるか分かんないっスよ」
 愛原:「そういうことだ。それに……」
 リサ:「それに?」
 愛原:「今妊娠したら学校行けなくなるぞ?それでもいいのか?」
 リサ:「それはヤダ!」
 愛原:「分かったら、もう暫く待つんだ。具体的には人間に戻るまで」
 リサ:「それはいつ?」
 愛原:「まだ不明だ。だけど善場主任としては、リサが学生でいられるうちには達成したいと言ってる。人間に戻って、すぐ人間と同じ生活ができるかどうかも分からないしな」
 高橋:「人間に戻った途端ガイジになっても困るっスからね」
 愛原:「あくまでも差別意識は無いという前提で言わせてもらうと、高橋の懸念するようになってしまったら、善場さん達の計画もパーになるからな。それは何としてでも避けたいところだろう」

 リサは洗面所に行った。

 高橋:「でも先生、BOWが妊娠・出産した例ってあるんスか?」
 愛原:「どうも無いみたいだな。皆して性欲より食欲の方が最優先のようだ」
 高橋:「ですよねぇ……」
 愛原:「ま、資料を全部見たわけじゃないから、もしかしたら一例くらいはあるのかもしれないが……。今のリサには関係無いだろう」
 高橋:「そうッスね」
 愛原:「むしろ今関係あるとしたら……」
 高橋:「何か、ラストサムライみたいなヤツのことっスか?」

 リサが顔を洗い、再び部屋に戻って着替えると、ダイニングに向かった。
 既に制服に着替えている。
 最初は洗面所の前で着替えていたのだが、さすがに愛原が注意した。

 愛原:「リサ、ちょっとこれから注意してもらいたいことがある」
 リサ:「なに?」
 愛原:「お前の仲間……まあ、仲間ではないんだろうけど、お前と同じ『リサ・トレヴァー』達が謎の怪死を遂げているんだ」
 リサ:「怪死?」
 愛原:「刀か剣のようなもので、首を刎ねられて死んでる。……朝食の前にこんな話で申し訳ないが、次はお前が狙われないとも限らないからな」
 リサ:「その場合、返り討ちにして食い殺してもいいの?」
 愛原:「あーっと……それは……。もしも相手が人間だったら、それはダメだ。もしもBOWだったら、そうしてくれていい」
 高橋:「刀か剣を使うBOWなんているんスか?」
 愛原:「分からんぞ?ラクーン市の事件で現れたネメシスなんか、ロケランとか使ってたそうじゃないか」
 高橋:「アメリカではロケラン、日本では刀剣っスか。平和なモンすね」
 愛原:「俺達にとってはな。……そう。人間は襲われてないんだ。襲われたのは、日本版リサ・トレヴァー達だけさ」
 リサ:「『1番』はやられた?」
 愛原:「いや、そんな話は聞いてない。やっぱり『1番』は特別なのか?」
 リサ:「強さは私と同じなんだって。だけど、霧生市の研究所に来てからすぐにお別れしたから、よく分かんない。私よりも人間を『捕食』しているなら、私よりも強いかも……」
 愛原:「そうなのか……」

[同日12:30.天候:雨 墨田区某所 東京中央学園墨田中学校]

 土曜日なので、授業は昼過ぎで終わり。
 本来なら完全週休2日制なのだが、コロナ禍による長期休校の為、土曜休みを返上して、遅れを回復する措置が取られている。

 小島:「愛原さん。今日は斉藤さんが休みだし、今日は私と帰らない?」
 リサ:「うん。そうしよう」
 小島:「でね……。私、またちょっとお腹の具合が悪くなったんだ。もし良かったら、また『捕食』して欲しいなぁ……なんて」
 リサ:「分かった。でも、もうあのトイレは使えない。私の家に来る?保護者の先生達、昼間は家にいないの」
 小島:「ほんと!?じゃあ……」
 淀橋:「ねぇ、ちょっと」
 リサ:「なに?ヨドバシ」
 淀橋:「1年生のコが愛原さんに用があるみたいよ?」
 リサ:「ん?1年生?」
 淀橋:「ほら、あのコ」

 淀橋が教室のドアを指さすと、そこには小柄な女子生徒が立っていた。
 リサに向かってペコッと御辞儀をする。
 あれはリサが目を付けて、『捕食』した者である。
 あれもまた再度の『捕食』希望者なのだろうか。

 リサ:「あなたは……」
 栗原愛里:「1年5組の栗原愛里と言います。あの……ちょっといいですか?」
 リサ:「『捕食』されたいの?」
 愛里:「は、はい」
 リサ:「悪いけど、もうあのトイレは使えない。それに、今日はもう先約があるから。さすがに私も、一気に2人は『食べれ』ないよ」
 愛里:「ちょっとだけ、お話しさせてもらえませんか?」
 リサ:「……!」

 1:愛里に付き合う。
 2:突き放す。
 3:また後日にしてもらう。
 4:理由を問い質す。
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