報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「特急はちおうじ1号」

2020-10-31 19:47:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月30日18:00.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・中央線ホーム→中央線5201M電車12号車]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はこれから八王子に行こうとしている。
 別に八王子の町に用事があるわけではなく、ただ単に前泊するだけである。
 夕方ラッシュの慌ただしい中、1面2線しか無い中央線ホームに特急列車がやってくる。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。2番線に停車中の列車は、18時ちょうど発、特急“はちおうじ”1号、八王子行きです。この列車は、全車両指定席です。グリーン車は、9号車です。発車まで、しばらくお待ちください〕

 何故だか先頭車が指定されていた。
 最近の指定席の制度は変わっていて、座席未指定券とかあったりする。
 もちろん私達のは指定席特急券なので、そのまま指定された席に座れば良い。
 座席未指定券とは自由席特急券のことではなく、まあ、ウィキペディアでも参照して頂きたい。
 全車両指定席の為、自由席特急券では乗れないが、要はそれに乗車する権利を持つ券のこと。
 但し、着席権に関しては指定席券の方が上位の為、空いている席に座っていても、そこへ指定席券を持った客が来たら席を立たなければならないというもの。

〔♪♪♪♪。ご案内致します。この列車は18時ちょうど発、特急“はちおうじ”1号、八王子行きです。……〕

 私は窓側に座り、高橋はその隣。
 私の後ろのリサが座り、その隣に高野君といった感じだ。

 リサ:「お腹空いたー」
 高野:「食べ過ぎには注意するのよ」
 愛原:「やれやれ……」

 私は駅弁と一緒に缶ビールを出した。
 プシュッとプルタブを開けると……。

 高野:「あっ、先生!出張の最中にビールなんて……」
 愛原:「い、いいじゃないか、350ml缶1個くらい……」
 高橋:「そうだぜ、アネゴ。ケチケチすんじゃねーよ」
 高野:「マサ!アンタまで!」
 リサ:「いいなぁ。先生、私も飲みたーい」
 愛原:「一口飲むか?」
 高野:「飲ませるな!リサちゃんもあと5年ガマンしなさい!」

 そうしているうちに列車が走り出した。
 本当に回送として到着後、折り返すのが早い。
 夕方ラッシュ真っ只中の為、どうしても余裕時分が無いのだろう。
 如何に特急列車でも、“はちおうじ”号にあっては最高時速95キロに抑えられている。
 どうしても同じ線路を入る快速や特快と合わせなければならないのだろう。
 正に護送船団方式だ。

〔♪♪♪♪。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は、特急“はちおうじ”1号、八王子行きです。停車駅は新宿、立川、終点八王子です。座席は全て指定席となっております。【中略】次は、新宿です〕

 まだ空席が半分くらいあるのは、新宿からの乗車客用であろう。
 車両は普段“あずさ”や“かいじ”に使用されるものと全く同じ。
 最長、白馬や南小谷まで行くような列車が、今は東京都からも出ない列車に使用されている。

 愛原:「どうだ、高橋?俺達は恵まれてるぞ?」
 高橋:「先生ほどの御方なら、グリーン車に乗るべきでしょうに、普通車とはナメてますね」
 愛原:「アホか。本当だったら、そっちのメチャ混み通勤電車でもいいくらいなんだぞ」

 私は並走して走る中央緩行線の電車を指さした。
 黄色い帯を巻いて走る電車のことである。
 夕方ラッシュということもあってか、今は三鷹方面、千葉方面両方向の電車が混雑していた。
 もちろん、オレンジ色の快速電車も似た状況である。

 愛原:「俺達は半ば巻き込まれたようなものだからな。そこは善場主任も察してくれてるんだよ」
 高橋:「はあ……。つーか、元はと言えば、こいつが見境無く『捕食』したのが悪いんスよ」
 リサ:「……ごめんなさい」
 愛原:「だから、それはもう言いっこ無し。決闘を申し込んだ栗原さんは、全部自腹なんだから」
 高野:「彼女は前泊するんでしょうか?」
 愛原:「さあね」

 私は肩を竦めた。
 資料にはそんなこと書いてなかったし、そこまで私が気を使うこともないだろう。
 高橋の言ではないが、リサはまだ自業自得な所があるものの、私達にとっては単なる巻き添えに過ぎないのだから。

[同日18:54.天候:晴 東京都八王子市 JR八王子駅]

〔♪♪♪♪。まもなく終点、八王子、八王子。お出口は、左側です。中央線、高尾、大月方面。八高線、横浜線、相模線はお乗り換えです。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 電車が終点駅に近づく。
 特急の割にはゆっくり走る電車なのと、サラリーマン客を乗せて走ることもあって車内も静か。
 おかげで、眠気を誘う。
 リサも最初は駅弁をガツガツ食べて、その後は景色でも見ていたのだが、いかんせん中央線は真っ直ぐな区間が長く、景色も単調ということもあり、そのうちウトウトするようになった。

〔「ご乗車ありがとうございました。八王子駅3番線到着、お出口は左側です。……」〕

 愛原:「どれ、降りる準備するか」
 高橋:「はい」

 3番線は副本線のようだ。
 ホームに進入する前、速度を落とし、それからポイントを通過する大きな揺れが来た。
 ここが終点、または始発駅とする中央線電車のホームらしい。
 立川駅で下車した乗客もいたが、大半の乗客が終点まで乗り通した。
 停車してドアが開く。

〔はちおうじ~、八王子~。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 ホームの向かい側、2番線には大月行きの電車が停車していた。
 更に遠くへ行く乗客が、その電車に向かってダッシュしている。
 乗り換え時間は僅か1分だが、階段の昇り降りは無いし、ちゃんと乗り換え希望者が乗り終わるまで待っててくれるだろう。
 藤野に行くのなら、あの電車に乗ればいいが、今夜はこの町に泊まることになっているので、今日は乗らない。

 愛原:「八王子の方が少し寒いな」
 高野:「ヒートアイランドの都心か離れてますからね。山もありますし」
 愛原:「かもしれない。早くホテルに行こう」

 私達は改札口へ向かった。
 指定された列車に乗ったし、これから指定されたホテルに泊まろうとしている。
 多分、善場主任はGPSで私達のことを追っているのだろうが、この辺りの費用を全て持ってくれている以上、文句は言えない。
 私達を、というより、BOWたるリサの行動を監視する為なのかもしれない。
 そう考えると合点が行く。
 だとしたら、反発して別のホテルに泊まったりすると、余計面倒なことになるということだ。
 うん、電車も別の電車に乗らなくて良かったかもしれない。
 明日の早朝の電車も、早朝ならまだ本数も少ないので、何時何分の電車に乗れという指示も可能だということだ。
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“私立探偵 愛原学” 「JR東京駅」

2020-10-31 15:57:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月30日17:30.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

 
(夜の東京駅丸の内側。写真はWikipediaより)

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 私達は事務所前からタクシーに乗り、それでJR東京駅に向かった。

 高野:「すいません、領収証お願いします」
 運転手:「はい。ありがとうございました」

 今回の決闘に関する私達側の費用は、NPO法人デイライトが持ってくれることになっている。
 高野君もそれを承知で領収証を取ったのだろう。
 因みに東京駅から電車に乗るわけだが、それに関しては、キップが送られて来た。

 愛原:「さすがにもうすぐ11月ともなると、夜は冷えてくるなぁ」
 高野:「こんなもん、まだラクショーっスよ」
 リサ:「うん、ラクショー」

 私はスーツの下、ワイシャツの上にセーターを着ている。
 しかし高橋はパーカーを着ただけ、リサもブラウスの上に紺色のニットのベストを着ているが、その上にブレザーを着ただけだった。

 愛原:「いいなぁ、若いって」

 私が羨ましがっていると、高野君が助手席から降りて来た。
 当事務所の会計担当だからである。

 高野:「お待たせしました」

 その高野君はベージュ色のドレスコートを着ている。
 薄い生地のものなので、春・秋用のコートだろう。

 愛原:「ああ。じゃあ、行こうか」

 私達は帰宅客で賑わう東京駅構内に入った。

 愛原:「キップは1人ずつ持とう」
 高橋:「あざっス。俺、先生のお隣でお願いします」
 愛原:「あいよ」
 リサ:「いいなぁ」
 高橋:「あぁ?そこは年功序列だぜ」
 愛原:「意味分かって言ってる?」
 高橋:「もちっス!」
 愛原:「リサが決闘に勝ったら、帰りはリサが隣でいいな?」
 高橋:「ええーっ?」
 高野:「『えー』じゃないよ。先生の言う事は絶対でしょ?」
 高橋:「うう……そうだった」
 高野:「というわけだから、リサちゃん、頑張るのよ?」
 リサ:「うん!頑張る!」
 高橋:「つっても、リサが負けたら、そもそも帰れねーんじゃないスか?」
 愛原:「そんなこと俺に言われても知らんよ。負けたらどうなるかなんて、資料に書いてないし」

 まあ、書くまでもないのだろう。
 そもそも決闘会場を藤野にした時点で、【お察しください】。
 あそこには地下に秘密の研究施設がある。
 リサが勝ったら勝ったで、栗原さんはまたケガをすることになるだろうから、医療施設も整っている。
 リサが負けたら、そのまま研究施設に搬送してその材料にしてしまうのだろう。
 また、リサが強い一般人と戦ったらどうなるかの戦闘データも取れる。
 正に、デイライトに取ってはどう転んでもいい事ずくめなのである。
 そこは強かというかなんと言うか……。

 愛原:「18時ちょうど発、特急“はちおうじ”1号、八王子行きか。少し昔の“中央ライナー”だな。まだ時間がある。夕食の駅弁でも買って行こうか」
 リサ:「おー!駅弁!」
 高野:「これも請求すれば出るんでしょうか?」
 愛原:「分からんな」

 資料には『交通費、宿泊費等は当方(デイライト)負担』と、書いてあるだけだった。
 なので駅まで乗って来たタクシー代は『交通費』に含まれると思われるが、食費に関しては含まれているのかどうかは不明だ。

 愛原:「ま、せっかくの小旅行だ。駅弁でも買って、少しは味わおうや」
 高野:「はい」

 改札口からコンコースに入ると、多くの帰宅客でごった返している。
 幸い今のところ、ダイヤ乱れは無いもよう。

 愛原:「そういえば、八王子へ行くルートの中に、京王線も選択肢としてあるんだよな」
 高野:「京王八王子ですね。確かに、菊川からだったら、都営新宿線に乗れば、そのまま京王線に入れるのに、少し面倒なことをしたんですね」

 都合良く菊川から京王八王子行きの電車は出ていないから、笹塚だの、調布だので乗り換えることにはなるだろう。
 しかし同じホームで乗り換えることは可能だし、JRよりも京王の方が運賃も安いだろうに、どうして善場主任は私達をJRで行かせるのかは謎だ。

 高野:「本数の多いただの通勤電車だと、私達の追跡ができないのかもしれませんね」
 愛原:「そうなのか?」
 高野:「特急“はちおうじ”は全車指定席の特急ですから、先にこのキップを私達に送っておけば、私達は間違いなくこの電車に乗ろうとするでしょう?」
 愛原:「現に、それに乗ろうとしてるな」

 善場主任がその電車に乗るよう指定してきたので、その話に乗ったまでだ。
 でも確かに、それを拒否して別の電車に乗っても良いのだ。
 しかし実際、こうやってキップまで送って寄越して来たのだから、私達としては乗らざるを得ない。
 そして、封筒の中には、前泊先のホテルの宿泊券も入っている。
 つまり、このホテルに泊まれということだ。
 そうすることで、私達の動きを管理しやすくしているのだろう。

 愛原:「でも、京王は京王で、“京王ライナー”があるだろう?あれも確か全車指定席とかじゃなかったか?それだとダメなのかな?」
 高野:「それは京王新宿駅が始発なので、都営新宿線の新線新宿駅とはまた違うんですよ。却って乗り換えが不便だからではないでしょうか?」
 愛原:「なるほどな」
 高野:「それに、お役所は数字しか物事を見ないこともあります。実際うちの事務所、東京駅と新宿駅、明らかに東京駅が近いでしょう?」
 愛原:「そりゃそうだ」
 高野:「私達がタクシーに乗ることを見越して、近い東京駅から乗るよう、仕向けたのかもしれませんね」
 愛原:「そういうことか」

 いや、別に“京王ライナー”に乗れというのなら、新宿駅まで都営新宿線で行くつもりだったのだがな。
 菊川から東京駅に向かう公共交通機関が都営バスしか無く、それだとダイヤ通りに走れるかどうか微妙なので、乗り遅れないようにする為、タクシーで向かった次第だ。

 リサ:「先生、私これがいい」
 愛原:「さすがリサは肉が好きだな。高橋は?」
 高橋:「俺は先生の残飯で結構です」( ー`дー´)キリッ
 愛原:「……おい」
 高野:「先生が困ってるじゃないの!ちゃんと選びなさい!」
 高橋:「じゃあ、先生と同じヤツがいいです」
 愛原:「そうか?じゃあ、俺も早く選ばないとな」
 高野:「結果的には中央線の方が良かったかもですね」
 愛原:「どうしてだ?」
 高野:「京王新宿駅だと、駅弁売ってませんから」
 愛原:「あっ、そうか!」

 こうして駅弁選びができるのは、JRの強みか。
 私達は駅弁を選ぶと、早速それを購入した。
 そしてそれを手に中央線ホームへと向かった。
 
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“私立探偵 愛原学” 「決闘前日」

2020-10-31 11:32:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月29日23:00.天候:晴 東京都墨田区江東橋 都立墨東病院]
(※この部分は三人称となります)

 ケガも回復し、リハビリに勤しむ栗原蓮華。
 持ち前の根性と、リサに対する執念の復讐からそれは順調に進んだ。
 そしていよいよ明日退院という日、その前日に栗原は『毎夜の儀式』を行った。
 最近は直接性器に電マを当てるよりも、ショーツの上から当てる方が気持ちいいことに気づいてそうしている。
 性欲を発散した後は、しばらく火照った体をクールダウンする。
 このまま寝落ちしてしまうと、電マやらグショ濡れになったショーツやらで、看護師達にバレてしまうので、寝落ちはガマンしないといけない。
 幸い個室に入っており、そこはトイレが付いているので、わざわざ暗い廊下に出て共用トイレに行く必要は無い。
 左足が無いので、右足だけで器用にトイレに進む。
 起きている時は義足を着けているが、さすがに就寝時は外している為。
 トイレに行って『後処理』すると、またトイレを出た。

 栗原:「ん?」

 トイレを出てベッドに戻ろうとすると、何か気配を感じた。
 さっきまで寝ていた自分のベッドに何かいる?

 ???:「ふーん……。こうやるのねぇ……」

 ベッドに座っているそいつは、まだ片付けていない電マを手に取ると、スイッチを入れて自分の股間へ当てる仕草をした。

 栗原:「だ、誰だっ!?」
 ???:「シーッ。大きな声を出したら、大騒ぎになっちゃうでしょう?」
 栗原:「ば、化け物……?!」

 それは白い仮面を着け、白いセーラー服を着た日本版リサ・トレヴァーに他ならなかった。

 リサ・トレヴァー:「見たわよ。あなたのオ・ナ・ニ・ィ♡ 1日何回するわけ?リサ・トレヴァー殺しの『退魔士』さんはスケベですねぇ……?」
 栗原:「だ、黙れ!化け物の分際で!」
 リサ・トレヴァー:「明後日、『2番』と決闘なんですってね。『1番』も私も皆、あなたを応援してるからね?」
 栗原:「なぜ?お前達は仲間じゃないのか?」
 リサ・トレヴァー:「あら、ライバルは減った方がいいもの。フフフフ……」
 栗原:「『1番』というのは、私の兄弟を食い殺したヤツだな?今度会ったら伝えとけ。私は必ずオマエの首を刎ねてやると」
 リサ・トレヴァー:「伝えるまでも無いね。もっとも、その前に私と戦ってもらうことになるけど?」
 栗原:「なに!?」
 リサ・トレヴァー:「ああ、今じゃないよ。今簡単に殺しても、他のリサ・トレヴァー達には自慢できないものねぇ……。キャハハハハ!」
 栗原:「こいつ……!」

 リサ・トレヴァーは体を変化させて行く。

 リサ・トレヴァー:「それじゃ、おやすみなさい」
 栗原:「ま、待て!」

 しかしリサ・トレヴァーは天井に張り付いた。
 そして体を小さくすると、通気ダクトの中に入って行った。

 栗原:「あんな所から……!」

 BOWは神出鬼没。
 ましてや、ザコ・クリーチャーでさえ、中にはああやってダクトの隙間から侵入してくる者もいるという。

 栗原:「肩をケガしてる場合じゃない。早く治して、あんな化け物ども、早く殺してやらないと……って、ああっ!」

 ベッドの上にあった電マが無くなっていた。

 栗原:「あのやろ!持ち逃げしやがった!」

 リサ・トレヴァー:「ウフフフフ……♡ 私もやってみよ♡」

[10月30日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
(※ここから先は愛原学の一人称となります)

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。

 愛原:「今日は栗原蓮華さんが退院する日だ」
 高野:「いよいよですか」
 愛原:「いよいよだ。そして明日、ついに決闘が開始される」

 すると高橋、何故か現役時代の特攻服を着てくる。
 リアルGTOだ!

 高橋:「加勢します!」

 手には鉄パイプを手にしており、ズボンの腰にはマグナム44が差さっていた。

 愛原:「んなゾッキー、今時おるかい!」
 高野:「明らかにそれ、GTOのコスプレでしょ?今年はコロナのせいで、コミケが中止になったもんねぇ……」

 本当はサークル参加ではなく、コスプレ参加したかった高橋だった?

 愛原:「ダメだ、高橋。あくまで決闘はリサと栗原さんの一対一だ。俺達が加勢することは許されない」
 高野:「そうよ。リサちゃんが反則負けになっちゃうでしょう?」
 高橋:「チッ……!」
 高野:「それで、決闘場所はどこなんですか?」
 愛原:「前に行った、あそこだよ。ほら、藤野の研修センター。あそこだ」
 高橋:「なるほど。って、ええっ!?遠くないスか?」
 愛原:「遠いな。だが、明らかにこの決闘が、善場主任達の組織が噛んでいることが分かるってものだよ」
 高野:「別の意味での真剣勝負なんでしょうね」
 愛原:「そういうことになるな」

 リサが第一形態で戦うことを許可しているので、リサの正体が不用意に外に漏れるのを防ぐ為というのもあるかもしれない。

 高橋:「それじゃ、車を回しますんで……」
 愛原:「いや、今回は電車で来いってことだ」
 高橋:「ええっ!?じゃ、またあの合宿所に前泊っスか!?」
 愛原:「いや、そういうことじゃないな……」

 因みに私は善場主任からメールで送られた資料を見ている。
 PDFで送られて来たので、これを印刷して事務所の皆に渡している。
 リサには、学校から帰って来たら渡すとしよう。

 愛原:「俺達は八王子で前泊だ」
 高橋:「八王子!?何で八王子!?」
 愛原:「知らんよ。で、翌日早朝、俺達はほぼ始発に近い時間帯の電車に乗って藤野に向かう。藤野駅からは善場主任が車で迎えに来てくれるらしい」
 高橋:「ケチっスね。どうせなら、八王子駅まで車で来いって感じです」
 愛原:「まあまあ。俺達は恵まれてる側だよ」
 高橋:「どういうことっスか?」
 愛原:「栗原さん達は前泊そのものが認められていない。というか、俺達の場合は交通費やら前泊の宿泊費やらは善場主任達側が負担してくれるが、栗原さんはそれが認められていないということだ。どうしても前泊したかったら、自腹ってことさ」
 高野:「まあ、栗原さんが善場主任の説得を聞けば、こんなことにはならなかったわけですからね」

 都内のどこかでやるのかと思ったが、意外な、しかし改めて考えれば納得のできる場所が指定された。
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