[10月14日20:00.天候:曇 東京都江東区森下 クライアントの家→墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日の仕事は猫捜しだ。
それも無事に終わった。
魔女:「使い魔がいなくなって困ってたんたぜ。見つけてくれてありがとうだぜ」
愛原:「では、黒猫ちゃんの報酬は後程、指定の銀行口座にお願いします」
魔女:「分かったぜ」
高橋:(霧○魔理○!?いやいやいや!)
愛原:「よし、じゃあ引き上げるか」
高橋:「先生、今の何スか!?」
愛原:「クライアントだろ。金髪の外人さんだって言ったじゃないか。日本語ペラペラで助かったよ。ポケトークの出番無かったな」
高橋:「あの黒猫が魔女の使い魔ってヤバくないスか!?」
愛原:「高橋。クライアントの依頼、引き受けて契約した以上は、どんなことがあっても履行する。これが鉄則だ。その後のことは考える必要は無い」
高橋:「さ、サーセン!メモっておきます!さすが先生は一流の探偵っスね!感動して涙が出ます!」
愛原:「いいからそれより、一旦事務所に戻るぞ」
高橋:「アネゴ、もう帰ってんじゃないスか?」
愛原:「例の警察署のバイオハザード、もしかしたら何か俺達に依頼が来てるかもしれないだろ?」
高橋:「そ、そうか!先生が猫捜し仕事を引き受けたことで、『ゾンビ無双』は他の探偵が引き受けたんでしたっけね!その探偵はどうせ先生よりヘボだろうから、逃げ出してるか、ゾンビに食い殺されてるかのどっちかっスね!」
愛原:「そういうことだ。というわけで、さっさと事務所に戻るぞ」
高橋:「了解っス!」
私達は車に戻った。
車内ではリサがウトウトと舟を漕いでいる。
リサ:「ん……?猫ちゃん、返してきたの?」
愛原:「ああ。これで報酬はバッチリだ」
高橋:「猫捜しじゃ、大した額じゃないんじゃないスか?」
愛原:「それは言わない約束だ。それより、早く事務所へ」
高橋:「は、はいっ!」
高橋は車を事務所の方へ走らせた。
高橋:「このNV200バネット、リースで借りといて良かったっスね」
愛原:「ああ。やっぱり探偵の仕事に、車は必須だからな。本当はハイエース辺りがいいんだけど、いい値段するからなぁ……」
一応この車、4ナンバーのバンではなく、5ナンバーのワゴンである。
つまり、タクシーと同じ仕様ということだ。
それならセレナの方がいいのではと思うだろうが、やっぱりこっちの方がリース料が安いのだ。
高橋:「ハイエースならストーキング、誘拐、煽り運転、AVの撮影、何でもござれですからね」
愛原:「そうそう。……って、何でお前は犯罪臭しかしない用途しか思いつかんのだ!」
リサ: 「プッ……w」
私と高橋のやり取りに、寝落ちしかけていたリサが吹き出した。
リサ:「キャハハハハハ!」
どうやらツボに入ったらしい。
意外とリサ、笑いの沸点が低いんだな。
怒りの沸点は、まあまあだとしても。
まあ、その方がいい。
そんなこんなで、私達は事務所に辿り着いた。
事務所にはまだ電気が点いていた。
高野:「先生、お帰りなさい」
愛原:「高野君、まだ帰って無かったのか?」
高野:「先生をお待ちしておりました」
愛原:「仕事の依頼でもあったのか?」
高野:「いいえ、ありません」
愛原:「だったら、帰っても良かったのに……」
高野:「この事件が気になりまして……」
高野君は事務所内のテレビを指さした。
確かに今も、バイオハザードの起きた近くの警察署のことを特別番組でやっている。
高橋:「仕事してねーから、残業代はナシだな」
高野:「別にいいよ」
愛原:「電話とか掛かってきた?」
高野:「間違い電話が1件だけでした」
愛原:「うう……。間違い電話でも、応対してくれたんだから、残業代は払うよ」
高野:「大丈夫ですって。もうタイムカードは定時で押してしまいましたし……」
愛原:「そうかい?」
〔リポーター:「あっ、突入です!現在、国連組織BSAA日本地区本部の部隊が警察署に突入しました!」〕
愛原:「何だ、BSAAがもう来てるんじゃん。だったらもう俺達の出る幕は無いな」
〔キャスター:「御覧頂けますように、たった今、東京警視庁、○×警察署にBSAA部隊が突入しました。BSAAは国連軍の一部として活動しておりましたが、近年になって国連軍から独立した組織となっています。BSAAは世界各国で問題となっております生物兵器によるバイオテロなどの鎮圧に特化した特殊部隊として活躍しており、国内では201×年に起きました、霧生市のバイオハザード事件において、警察や消防よりも組織的な活動を【以下略】。また、最近では中国・武漢市で起きました新型コロナウィルス発生に伴う都市封鎖を、中国人民解放軍のオブザーバーとして活動しています」〕
高橋:「先生!リッカーが外に出てきましたけど!?」
愛原:「確かゾンビが人間を捕食し過ぎた奴が、そうなるんだったっけな?」
そしてそれが女性であるならば、その一部の個体は妖怪・逆さ女(サスペンデッド)へと変化する。
但し、確率は低いのか、海外ではアメリカのラクーン市で一匹だけしか確認されていない。
都市壊滅規模でないと、発生しないようだ。
霧生市でも、ようやく大山寺の境内に一匹いただけだったもんな。
……てか、八丈島近海の離島の村にもいなかったけか?
高野:「ああ、でもちゃんとBSAAが仕留めたわね」
さすがバイオテロ慣れしているBSAA。
警察署周囲の封鎖は完璧で、警察署敷地の外にゾンビやリッカーが出たということはなさそうだ。
〔リポーター:「……中の状況ですが、遺体安置所に安置されていた遺体が突然起き上がり、周囲の警察職員等に襲い掛かったのが発端とのことです。遺体は学校法人東京中央学園墨田中学校で見つかりました男性教諭のものと思われ、襲われた職員達も次々と周囲の人間に襲い掛かったとのことです。これは霧生市のバイオハザード事件の発生状況と酷似しており、男性教諭は何らかの原因でTウィルスに感染していたものと見られます。BSAA並びに警視庁は警察署の周囲1キロメートルほどを立入禁止にしており……」〕
愛原:「ゾンビとリッカー、それに警察犬ゾンビだけなら確かにBSAAだけで対応できそうだな」
高橋:「ハンターやタイラントがいないだけマシってなもんです」
愛原:「逆さ女もな」
高野:「私達、感覚が絶対に一般離れしてるよねぇ……」
結局、私の所に『ゾンビ無双』の仕事の依頼は無かった。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日の仕事は猫捜しだ。
それも無事に終わった。
魔女:「使い魔がいなくなって困ってたんたぜ。見つけてくれてありがとうだぜ」
愛原:「では、黒猫ちゃんの報酬は後程、指定の銀行口座にお願いします」
魔女:「分かったぜ」
高橋:(霧○魔理○!?いやいやいや!)
愛原:「よし、じゃあ引き上げるか」
高橋:「先生、今の何スか!?」
愛原:「クライアントだろ。金髪の外人さんだって言ったじゃないか。日本語ペラペラで助かったよ。ポケトークの出番無かったな」
高橋:「あの黒猫が魔女の使い魔ってヤバくないスか!?」
愛原:「高橋。クライアントの依頼、引き受けて契約した以上は、どんなことがあっても履行する。これが鉄則だ。その後のことは考える必要は無い」
高橋:「さ、サーセン!メモっておきます!さすが先生は一流の探偵っスね!感動して涙が出ます!」
愛原:「いいからそれより、一旦事務所に戻るぞ」
高橋:「アネゴ、もう帰ってんじゃないスか?」
愛原:「例の警察署のバイオハザード、もしかしたら何か俺達に依頼が来てるかもしれないだろ?」
高橋:「そ、そうか!先生が猫捜し仕事を引き受けたことで、『ゾンビ無双』は他の探偵が引き受けたんでしたっけね!その探偵はどうせ先生よりヘボだろうから、逃げ出してるか、ゾンビに食い殺されてるかのどっちかっスね!」
愛原:「そういうことだ。というわけで、さっさと事務所に戻るぞ」
高橋:「了解っス!」
私達は車に戻った。
車内ではリサがウトウトと舟を漕いでいる。
リサ:「ん……?猫ちゃん、返してきたの?」
愛原:「ああ。これで報酬はバッチリだ」
高橋:「猫捜しじゃ、大した額じゃないんじゃないスか?」
愛原:「それは言わない約束だ。それより、早く事務所へ」
高橋:「は、はいっ!」
高橋は車を事務所の方へ走らせた。
高橋:「このNV200バネット、リースで借りといて良かったっスね」
愛原:「ああ。やっぱり探偵の仕事に、車は必須だからな。本当はハイエース辺りがいいんだけど、いい値段するからなぁ……」
一応この車、4ナンバーのバンではなく、5ナンバーのワゴンである。
つまり、タクシーと同じ仕様ということだ。
それならセレナの方がいいのではと思うだろうが、やっぱりこっちの方がリース料が安いのだ。
高橋:「ハイエースならストーキング、誘拐、煽り運転、AVの撮影、何でもござれですからね」
愛原:「そうそう。……って、何でお前は犯罪臭しかしない用途しか思いつかんのだ!」
リサ: 「プッ……w」
私と高橋のやり取りに、寝落ちしかけていたリサが吹き出した。
リサ:「キャハハハハハ!」
どうやらツボに入ったらしい。
意外とリサ、笑いの沸点が低いんだな。
怒りの沸点は、まあまあだとしても。
まあ、その方がいい。
そんなこんなで、私達は事務所に辿り着いた。
事務所にはまだ電気が点いていた。
高野:「先生、お帰りなさい」
愛原:「高野君、まだ帰って無かったのか?」
高野:「先生をお待ちしておりました」
愛原:「仕事の依頼でもあったのか?」
高野:「いいえ、ありません」
愛原:「だったら、帰っても良かったのに……」
高野:「この事件が気になりまして……」
高野君は事務所内のテレビを指さした。
確かに今も、バイオハザードの起きた近くの警察署のことを特別番組でやっている。
高橋:「仕事してねーから、残業代はナシだな」
高野:「別にいいよ」
愛原:「電話とか掛かってきた?」
高野:「間違い電話が1件だけでした」
愛原:「うう……。間違い電話でも、応対してくれたんだから、残業代は払うよ」
高野:「大丈夫ですって。もうタイムカードは定時で押してしまいましたし……」
愛原:「そうかい?」
〔リポーター:「あっ、突入です!現在、国連組織BSAA日本地区本部の部隊が警察署に突入しました!」〕
愛原:「何だ、BSAAがもう来てるんじゃん。だったらもう俺達の出る幕は無いな」
〔キャスター:「御覧頂けますように、たった今、東京警視庁、○×警察署にBSAA部隊が突入しました。BSAAは国連軍の一部として活動しておりましたが、近年になって国連軍から独立した組織となっています。BSAAは世界各国で問題となっております生物兵器によるバイオテロなどの鎮圧に特化した特殊部隊として活躍しており、国内では201×年に起きました、霧生市のバイオハザード事件において、警察や消防よりも組織的な活動を【以下略】。また、最近では中国・武漢市で起きました新型コロナウィルス発生に伴う都市封鎖を、中国人民解放軍のオブザーバーとして活動しています」〕
高橋:「先生!リッカーが外に出てきましたけど!?」
愛原:「確かゾンビが人間を捕食し過ぎた奴が、そうなるんだったっけな?」
そしてそれが女性であるならば、その一部の個体は妖怪・逆さ女(サスペンデッド)へと変化する。
但し、確率は低いのか、海外ではアメリカのラクーン市で一匹だけしか確認されていない。
都市壊滅規模でないと、発生しないようだ。
霧生市でも、ようやく大山寺の境内に一匹いただけだったもんな。
……てか、八丈島近海の離島の村にもいなかったけか?
高野:「ああ、でもちゃんとBSAAが仕留めたわね」
さすがバイオテロ慣れしているBSAA。
警察署周囲の封鎖は完璧で、警察署敷地の外にゾンビやリッカーが出たということはなさそうだ。
〔リポーター:「……中の状況ですが、遺体安置所に安置されていた遺体が突然起き上がり、周囲の警察職員等に襲い掛かったのが発端とのことです。遺体は学校法人東京中央学園墨田中学校で見つかりました男性教諭のものと思われ、襲われた職員達も次々と周囲の人間に襲い掛かったとのことです。これは霧生市のバイオハザード事件の発生状況と酷似しており、男性教諭は何らかの原因でTウィルスに感染していたものと見られます。BSAA並びに警視庁は警察署の周囲1キロメートルほどを立入禁止にしており……」〕
愛原:「ゾンビとリッカー、それに警察犬ゾンビだけなら確かにBSAAだけで対応できそうだな」
高橋:「ハンターやタイラントがいないだけマシってなもんです」
愛原:「逆さ女もな」
高野:「私達、感覚が絶対に一般離れしてるよねぇ……」
結局、私の所に『ゾンビ無双』の仕事の依頼は無かった。